ふるさと加東の歴史再発見

少し気をつけて周囲を見回してみると、身近なところにふるさとの歴史を伝えるものがある。

小野道風と蛙の話-明治20年刊「尋常小学讀本」より

2023年10月19日 06時17分43秒 | Weblog

 

 先日この歴史ブログで紹介した、明治20年(1887)発刊の尋常小学校教科書、『小學校教科用書 尋常小學讀本 明治二十年五月 文部省編輯局』には、いろいろな話が取り上げられています。今から130年ほど前の社尋常小学校で実際に使われていた教科書です。

 その中の第三十課に、平安時代の書家、小野道風の逸話が掲載されていました。小野道風の名は知っていましたので、読んでみると、蛙が何度も柳の枝に飛びつこうと挑戦し、やっと成功したのを見て、道風は書道の練習に励んだという話でした。本文は次の通りです。

 此人は、小野のたうふうで有ります。たうふうは、雨の降る中に立ちて、かはづを見てゐます。此かはづは、やなぎの枝にとび付かうとして、たびたびおちたれど、たゆまず勉めてつひにとび付きました。たうふうは、これを見てかんしんし何ごとにても、べんきやうすれば、出来るものだと思ひました。それからたうふうは、雪の朝にも早く起き、雨の夜にもおそく迄、べんきやうして、字を習ひ、つひに名高い手かきとなりました。

  小野 雨 勉 字 習(※この課の新しく出てきた漢字)

 こういう先人の逸話を学びながら、勉学の志や態度を養っていたんですね。今では、蛙が木に飛びつく場面どころか、蛙そのものを見る機会が減ってしまいました。先日、このブログで、庭の木にじっと止まって変色している蛙を見つけましたが、さしずめ「辛坊」を学ぶ機会だったのでしょうか。

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