炎の人ゴッホ(Lust For Life、1956米、122分)
監督:ヴィンセント・ミネリ、原作:アーヴィング・ストーン
カーク・ダグラス(ゴッホ)、アンソニー・クイン(ゴーギャン)、ジェームズ・ドナルド(テオ)
この映画の存在は知っていた。日本封切りの時の宣伝だったか、その後の名画座などの上映予定だったかは定かでないが。カーク・ダグラスが主演ということも頭にあった。その顔がゴッホのイメージと重なったからだろうが、映画製作の過程でも実はそうだったらしい。
全体としては、伝道師として自ら貧しい炭坑町におもむき、うまくいかなくて、その後画家の道に。いろいろあってゴーギャンとアルルへ赴き、精神に変調をきたし死に至るまでが、世界中のミュージアムの協力を得て、その多くの傑作のイメージも使いながら、描かれる。
おそらく、実際の伝記からはそうはなれていないのだろうが、逆にそれに止まっているともいえる。なにより出演を懇請されたカーク・ダグラスがちょっと気の毒で、彼はやはり強い人、それが悲劇的だったとしても(たとえばスパルタカス)であって、芸術の、内面のそれこそlust、熱い欲望で、破滅的な一生を送る、という役は似合わない。
アンソニー・クインはこれでアカデミー助演男優賞をもらったらしいのだが、この人にこの演技で授賞というのは失礼だろう。ゴーギャンはこんなに強かったのかな。
アルルでよく面倒を見てくれた郵便夫が登場するが、彼を描いた絵があったはずなのに、出てこなかったように思う。
そして、ゴッホが耳を切り落としてから、本人をこれだけ描写しながら最後の30分というのは首をかしげる。明らかに病気なのであって、独白と絵や関連風景の描写を選んだ方がよかったのではないか。
今、ゴッホを描くとすれば、この映画でもジェーズ・ドナルドが好演している弟テオの眼からみた画家の半生、という形にするのがよいのではないだろうか。
なお、カーク・ダクラスは存命で100歳、もうすぐ101歳になるそうだ、なんと。
監督:ヴィンセント・ミネリ、原作:アーヴィング・ストーン
カーク・ダグラス(ゴッホ)、アンソニー・クイン(ゴーギャン)、ジェームズ・ドナルド(テオ)
この映画の存在は知っていた。日本封切りの時の宣伝だったか、その後の名画座などの上映予定だったかは定かでないが。カーク・ダグラスが主演ということも頭にあった。その顔がゴッホのイメージと重なったからだろうが、映画製作の過程でも実はそうだったらしい。
全体としては、伝道師として自ら貧しい炭坑町におもむき、うまくいかなくて、その後画家の道に。いろいろあってゴーギャンとアルルへ赴き、精神に変調をきたし死に至るまでが、世界中のミュージアムの協力を得て、その多くの傑作のイメージも使いながら、描かれる。
おそらく、実際の伝記からはそうはなれていないのだろうが、逆にそれに止まっているともいえる。なにより出演を懇請されたカーク・ダグラスがちょっと気の毒で、彼はやはり強い人、それが悲劇的だったとしても(たとえばスパルタカス)であって、芸術の、内面のそれこそlust、熱い欲望で、破滅的な一生を送る、という役は似合わない。
アンソニー・クインはこれでアカデミー助演男優賞をもらったらしいのだが、この人にこの演技で授賞というのは失礼だろう。ゴーギャンはこんなに強かったのかな。
アルルでよく面倒を見てくれた郵便夫が登場するが、彼を描いた絵があったはずなのに、出てこなかったように思う。
そして、ゴッホが耳を切り落としてから、本人をこれだけ描写しながら最後の30分というのは首をかしげる。明らかに病気なのであって、独白と絵や関連風景の描写を選んだ方がよかったのではないか。
今、ゴッホを描くとすれば、この映画でもジェーズ・ドナルドが好演している弟テオの眼からみた画家の半生、という形にするのがよいのではないだろうか。
なお、カーク・ダクラスは存命で100歳、もうすぐ101歳になるそうだ、なんと。