メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ゴーギャン 「ネヴァーモア」

2018-02-27 20:54:51 | 美術
今日(2月27日)の日本経済新聞朝刊文化欄に音楽評論家林田直樹が連載している「音楽と響き合う美十選」9回目で取り上げられているのは、ゴーギャンの「ネヴァーモア」である。
 
見た記憶のない絵だが、載っている写真を見ると裸の女性が横たわっていて、少しおびえている。その後ろに奇妙な絵柄の鳥がいて、絵の題名からおそらくエドガー・アラン・ポーの「大鴉」と関係があるだろうと想像される。
 
ゴーギャンはこの関係を否定したそうだが、英国出身の作曲家ディーリアスが購入していたといい、それは意識していたらしいという。
 
それはそうだろう。nevermoreと間にブランクなしに使われることは普通なくて、これは「大鴉」なんだろう。ネヴァーモアはこの鳥が発する唯一の人間が理解できる言葉で、そう考えるとこの絵から多少イメージが広がってくるかもしれない。もっとも長編で難解と言われる「大鴉」だから、私としては確かなことは言えない。
 
nevermore、実はこのところちょっと縁があって、同名の映画でも有名な「酒とバラの日々」のジョニー・マーサー作の歌詞に謎のような形で出てくる。時々歌っていたが、昨年はジャズ発表会でピアノを弾いた。
 
大画家ゴーギャンには失礼だが、このジョニー・マーサーの歌詞の方がネヴァーモアのとらえ方としては深いように思うのだが。
 
ネヴァーモアと大鴉については、前にも書いたように吉増剛造の自伝で初めて知ったわけで、こういう風にいくつもつながっていくのは面白いものである。

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