メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ヘンダーソン夫人の贈り物

2008-05-10 21:52:36 | 映画
「ヘンダーソン夫人の贈り物」(Mrs. Henerson Presents、2005、英、103分)
監督:スティーヴン・フリアーズ、脚本:マーティン・シャーマン、音楽:ジョージ・フェントン
ジュディ・デンチ、ボブ・ホスキンス、ウイル・ヤング、ケリー・ライリー
 
第2次世界大戦が始まる少し前の英国、富豪の夫に先立たれその豊富な遺産を相続したヘンダーソン夫人(ジュディ・デンチ)が、つぶれかかった劇場を買い、支配人(ボブ・ホスキンス)を雇うがうまくいかなくなり。夫人のアイデアで当時フランスにはあったがイギリスにはなかったヌードレビューを始める。
その当局との攻防、劇場内のいざこざ、そして戦争の中でこの演目の意味を見つけ、世間に認めさせていく経緯と、支配人との葛藤、そして第1次世界大戦で失った息子の記憶などを織り交ぜながら、最後は銃後の人間的な世界の勝利につなげていく。
 
この話は、実話ベースのアイデア段階である程度の成功を確保したようなものだろう。ジュディ・デンチはオスカー主演女優賞ノミネートである。オスカーはともかく、デンチは期待どおり、ホスキンスもうまい。
 
でも、よく考えてみると、これは一時代前、かの第2次世界大戦はこんなに人を大事にし、戦争中でも人間性を失わなかった、という勝利者の誇りであって、我々からすると、確かにそうだろうが、勝った上にそこまで自慢されてもね、と後から思ってしまうパターンである。
 
その後何十年の間、これら戦勝したヒューマニズム先進国が、その目的のためにはそんな余裕などなくて必死に戦う他国に苦しめられる、ということになるのである。
 
だから、単にこの話のよさに思いを馳せるわけにはいかない、今となっては。
 
当時のレビューの再現、そして音楽はよく雰囲気を出している。

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