物臭狸の『花日記』

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色々な植物たちを紹介しています。

ナワシロイチゴ  ~2018~

2018-06-28 11:00:00 | バラ科
ナワシロイチゴ(苗代苺)
<学名:Rubus parvifolius L.
バラ科 キイチゴ属 落葉低木


              


日本全国に分布する蔓性の落葉低木。
畑地や道路脇の石垣や小川の岸辺など日当たりの良い傾斜地に
垂れ下がって生育していることが多い。
茎は軟毛が密生し下向きの刺があり木質化するが、立ち上がらず、
他の草の上に覆い被さるように育ち、その茎から出る枝は
短く立ち上がる。

撮影日 2018.6.24: 群馬県
匍匐性の地上茎を伸ばして、その先端部で接地した場所で、ラミートと呼ばれる子株を形成します。匍匐性の地上茎は、二年目に開花・結実し、その後枯死します。その結果、子株は、自動的に母株から分離され独立します。したがって、ナワシロイチゴは、モミジイチゴなどの「地下分枝型」キイチゴ類のクローン成長とは異なり、独立した子個体を形成することから「栄養繁殖(無性繁殖)」を行っていると見なすことができます。親株はもとより、新たに形成された子株からも毎年、地上茎を伸ばし成長することから、空いた空間であれば占有し、その株数を急速に増大させることが出来ます。さらに、他の植生が存在する場合でも、地上茎の蔓性植物として、他の植物に乗りあがり、被圧を回避することも出来ます。こうしたキイチゴ類は「布石型」キイチゴと呼ばれ、その移動性は、植物は移動しないものという概念を打ち破るもので、ナワシロイチゴの場合、条件さえ良ければ、年に3mほどの地上茎を伸ばすことができ、その先に新たな子株を形成することが出来ます。「布石型」キイチゴ類としては、フユイチゴ類をはじめ、ゴヨウイチゴサナギイチゴキビナワシロイチゴなどがあります。ブラックベリー(セイヨウヤブイチゴ)もその一つです。
落葉性の葉は互生、長さ8〜14cmの3出、まれに5小葉からなる
奇数羽状複葉。小葉の葉先は丸く、あらい二重の鋸歯がある。
葉の表は明るい黄緑で、葉脈がくぼむのでしわがあるように見える。
葉裏は白い綿毛を密生する。
真夏の日射が強いときには葉を丸め、裏面の白さが目立つようになる。
夏の日射しを避けているようである。

頂小葉は長さ3〜5cmの菱形状倒卵形。先はまるく、縁には欠刻状の
重鋸歯がある。葉柄は長さ3〜5cm。葉柄と葉軸には軟毛と小さな刺が
ある。托葉は長さ約5mm。

花期5〜6月、短く立ち上がる枝の先に散房状に上向きにつく。

花は赤っぽい紫だが花弁が小さいので目立たない。

5枚の花弁は雄しべに寄り添い包んだまま開かない。
花を分解してみると、たくさんの花柱が束になっていて、
基部が合着した雄しべが周囲を取り巻いている。
その基部には蜜が分泌されている

ナワシロイチゴは、花弁が開かず、もっぱら花弁の裏側でのみ、訪花昆虫を誘引します。エビガライチゴやミヤマウラジロイチゴなどでも見られ受粉効率が下がるといったことはないようです。さらにご丁寧にも、受粉後にガク片が閉じ、果実の成長と共に開いて行きます。もちろん、これは果実の成長過程を昆虫類の被食から守るための手段と考えられます。

果実は集合果。直径約1.5cmの球形で、6月頃に橙色から暗紅色に
熟し、食べられる。
生食には向かないが、砂糖を加えてジャムにすると美味。
⦅果実は美味く、酸っぱみもあり、ジャムの材料としては打って付けのものです。⦆

果実の写真は↑の実のリンク開いて見てください。


核は長さ約1.5mm、表面に網状のしわがある。



ちょうどイネの種を蒔く「苗代」を作る頃に赤い実が熟すことから、
苗代苺の名が付いた。
別名アシクダシ、サツキイチゴ、ワセイチゴ、サオトメイチゴ、
ウシイチゴなどがある。




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