チムどんどん「明石通信」&「その後」

初孫との明石暮らしを発信してきましたが、孫の海外移住を機に七年で区切りに。現在は逗子に戻って「その後」編のブログです

「たこフェリー」-沈み行く太陽の如く

2010-11-08 07:14:09 | 明石風物
11月8日(月)

 明石海峡の代表的な風物の一つの「たこフェリー」、とうとう姿を消すことになりました。

 明石淡路フェリー(愛称「たこフェリー」)については、一昨年の11月15日付と今年の1月23日付の記事で紹介してきたのですが、明石に来てから2年余り、まさかこんな寂しい話題をブログ記事に載せることになるとは思いもしませんでした。

 たしかに、高速料金の値下げで、大半の車が明石海峡大橋を利用するようになって、ガラガラの状態が続いていたのは事実です。
 そんな中でも、保有船3隻、常時2隻が30分間隔の運行の態勢を続けてきたのですが、赤字補填のため、今年の年明けに青とピンクのイルカの絵がデザインされた「あさなぎ丸」が東南アジアに売却され、その後は「あさしお丸」と「あさかぜ丸」の2隻のフル稼働という形で頑張っていました。

 しかし、船を売却したところで、それは客足を取り戻す対策ではないのですから、状況は変わるはずもなく赤字は増えるばかり。9月にはなんと、「これぞ、たこフェリー」と思っていたデザインの、赤いたこの絵がユーモラスに描かれていた「あさしお丸」も売却されてしまいました。

  つい最近まで、あの猛暑の日々も毎日眺めていた「あさしお丸」
    

 「とうとう1隻になってしまったか」と溜め息とともに寂しく白い船体の「あさかぜ丸」を眺めていましたが、便数が減ればそれだけ乗客も離れるということで、最後に残った「あさかぜ丸」も11月15日をもって運行終了。船は解雇される従業員の退職金に当てるために売却されることになるそうです。

 あと一週間、できればお別れの乗船をしようと思っていますが、明石海峡の人気者の「たこフェリー」、残念ながら、立冬の一週間後に冬の夕陽とともに姿を消してしまうのです。

  文化の日にKAZU君と見送った「あさかぜ丸」
  



  海峡の寂しき海に漂える消え行く船や秋の夕暮れ
                         弁人



 明石暮らしに馴染んできたころ、秋の日差しの中を「たこフェリー」に乗って淡路へ渡った時に、いつでも気軽に海峡の景色を満喫できることに感動しました。あの時は日帰りの温泉にも浸かって最高のひと時だったと心に残っています。

  その時に淡路から眺めた「たこフェリー」
  

 あれから何回「たこフェリー」に乗ったことか。とにかく、海峡の光景からひとつの大切な映像が消えてしまうと思うと残念でなりません。


    往にし日のたこの笑顔や冬来たる    弁人


 そんな感傷に浸っている中、現実に困っている人もいるという話題が地元のニュースで流れてきました。
 実は、淡路と明石の間を自転車や小型バイクで行き来している人がかなりいるようなのです。もちろん、橋は高速道路なので250CC以上でないと通行できません。幸いに、自転車は平行して運行している高速船の「ジェノバライン」に載せることができるのですが、フェリーがなくなると、小型の二輪車の行き来が不可能になってしまうのです。

 橋ができて便利になったとはいえ、淡路には大型のスーパーやショッピングセンターは数えるほどしかないのです。雨の心配のない日に、気軽に明石の街へ買い物にという楽しみが奪われる人、いや、バイク通勤でフェリーを使っている人だっているのです。時代の流れの中とはいえ、目立たないところで庶民の一部が見捨てられて行く現実。

 民主党さん、そういうところも是正してくれると期待して、政権交代に一票を投じた庶民もいるのですよ。
 当たり前のことなのですが、やっぱり、そういうところは政治家とかのお偉いさんの視野には入らないのでしょうね。



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