毎週の出来事をお伝えします
電話室便り
読書・2010年上半期
2010-06-24 / 本
2010年の半分が終了しようとしています。
今年の上半期に読んだ本を、忘れないうちに記しておこうかな、と思います。
『 朗読者 』
ベルンハルト・シュリンク著
映画 『 愛を読むひと 』 を観た事に伴い再読。
30代に初版を読んだ時とは大きく違った読後の感想に少々驚く。
静かで深いそのテーマ、10年後に再々読することがあったなら、一体どんな感想を
持つだろうか・・・。 主人公ミヒャエルが、村上春樹の物語の主人公のタイプ ( 育ち
が良くて教養も十分で几帳面 → 男子としては◎なのでしょうけど、ワタシはどうも・・・
) で、そこが唯一私がノレない部分。
『 ドリアン・グレイの肖像 』
オスカー・ワイルド著
紅顔の美青年ドリアン・グレイ、彼の肖像画を描いた新進画家バジル、バジルの悪友ヘンリ
ー・ウォットン卿、この3人の男色嗜好を隠し味に、イギリスの上流社会への風刺、
若さと美の変容を描いた退廃的かつ恐ろしいメルヘン。
このヘンリー卿ってのがもう、どうしょうもなく悪なんです。
ドリアンをヘルムート・バーガーが演じた映画版があるそうな。観たいです。
デヴィッド・ボウイの愛読書でもあるのですって。納得です。
『 小さき者へ 生まれ出づる悩み 』
有島武郎著
「 生まれ出づる悩み 」 が、こんな小説だったなんて!! ちょっとした衝撃だった!
舞台は北海道。岩内町。土地の言葉の素晴らしさと、作家が厳しく選び抜いた語句の
美しさ。今や失われてしまった日本語というべきか。読んでいて、泣けてくるほど。
特に、青年が父と兄と漁に出て、大嵐に見舞われ死闘する段は、もうもう、溢れる涙を
止めることができませんでした。
「 あなたが助かってよござんした 」
「 お前が助かってよかった 」
読み返しても泣けてくる・・・・・。
『 居酒屋 』
エミール・ゾラ著
ルーゴンマッカール叢書を読破しようという密かなる野望を改めて誓いつつ、ゾラ2冊目。
「 ジェルミナール 」 の主人公エチエンヌ・ランティエの母さんジェルヴェーズの物語。
はじめに、ゾラによる序文があり、これが全く痺れます。
これを数行読むだけで、大作に向かう自分にぐっと本腰が入ったのを感じます、まず。
そして、褌のひもを締め直し ( 精神の、デス )、背筋をびしっと伸ばし、これから始ま
る予想をはるかに超える悲惨な物語の第一行目に飛び込むのでした。
「 ジェルミナール 」 もそうですが、「 居酒屋 」 においても、ゾラの描写力の緻密さは
圧倒的。ジェルヴェーズとヴィルジニーの洗濯場での大乱闘、当時の洗濯店の女職人達の
生態や作業の様子、物語の折り返し地点となるジェルヴェーズの誕生祝いでの大宴会、
グージェの鍛冶工場、などなど、まさにゾラ以外には書ききれないというくらいの名場面
がいくつもあり、重厚な読書の幸福にとっぷりと浸れました。
それにしても、悲惨。陰惨。愚か。救い無し。
ゾラは、それをそのまんま、教訓めかず、安易な慰め一切なくして19世紀末のパリの
貧民労働者の生活を暴露したってわけです。
日本人憧れの ” PARIS ” の街の石畳の下に流れる庶民の歴史の一片を知るための
驚愕の作品。
『 カラマーゾフの兄弟 』
フョードル・ドストエフスキー著
約2年越しで読了、というなんといっていいかわからん大読書、でした・・・。
というのも、もうはっきり覚えていませんが、確か出産後ちょっと落ち着いてから着手
して、当時、ああ、いよいよ 『 カラマーゾフの兄弟 』、勇気を持っていってみよー!!
と、始まったんでしたが、息子が乳児期から幼児期に入り、家での読書時間が全くとれなく
なって、加えて、読んでいたその版が、世界文学全集のでっかくて厚いハードカヴァー
( カラマーゾフがなななんと1冊に収まっているんです! ) でして、いくら私でも、
通勤の行き帰りに持ち歩くには少々重たすぎ、因って三分の二くらいまでは読み進んで
いたのですが、自然に中断されてしまって早2年の月日が経っていたのでした。
ところが今年、メトロ文庫で同じ翻訳者での文庫版を見つけ、もう忘れかけていたくらい
だったのですが、「 ああ、これで読破だ、読み終われる、ということだ。 」 と。
前半の詳細を忘れてはおりませんでしたが、あまりにも長期にわたり休止していた為、
ここでこの物語の感想なりを述べるには、出直して来い、というものです。
そして、少し前に話題になった新訳で再挑戦したい! と強く思いました。
この世界の根源的な二面性 ( 善と悪、とか 神の存在の有り無し、とか ) の問題が
網羅されている。どの部分を読み解こうとしても、一大研究テーマになる感じ。
もう1度一気に読むのは勿論ですが、
ドストエフスキーもその著作群は マスト、でしょうねえ。
『 なにもかも二倍 』
『 はじめてのことがいっぱい 』
よしもとばなな著
めぐたんが貸してくれました。
よしもとばななのエッセイってとってもおもしろい、とは以前より思ってましたが、
この2冊も ” 特殊 ” におもしろかった。
2007年と2008年のウェブ上での日記です。1年分を各一冊ごとに文庫化しているも
ので、数年前からの人気シリーズらしい。過去のも読みたいなあ。
なぜ、どんどん読めてしまうのか・・・・ナゾじゃ。
毎日更新。食べたもの、行ったところ、会った人たち、チビちゃん ( 息子・2007年
で4歳だったかな ) の言動、時折 ここんところはビシッと言っておきたいのよね、と
いうようなコト・モノについてのばなな's 見解 ・・・・などなどの繰り返し。
彼女の文章力に負うのでしょうけど、それにしても、不思議。
このことは、サトミちゃんも同じく不思議がってました。
チビちゃん就学前に虫歯すぎ~
よしもとさん 風邪でゼッ不調の時はいくらお仕事でもお酒止しましょうね~
なんてことは繰り返し感じた小さなコト。
それにしても、書店に平積みされている近著の表紙写真、本人も書いてたけど
どっちり貫禄のオバサマ然となっていらっしゃって、アラまあまあ ・・・・・
こちらもびっくり。
『 愛の妖精 』
ジョルジュ・サンド著
随分昔から実家の本棚にあった1冊。
でも父も母も弟も誰も読んではいなかったし、私も今まで手にすらしていませんでした。
( じゃあ何故本棚にあったのかなあ? 誰が買ってきたのかなあ??? )
ゾラとドストエフスキーという超ヘヴィ級のあとは、しばらくは完璧にハッピーなもの
しか受け付けなかったからかしらん、何かスッと選んで読んでいました。
目的大達成♪ 選んで大正解♪ のどかで楽しくて、素敵にかわいい、善い一篇でした。
フランスの田舎コッス村が舞台ですが、のどかでみずみずしい自然の描写に癒され、気持ち
も明るくなるのでした。
シルヴィネとランドリという裕福な農家に生まれた双子の兄弟と、森の中に住む薬草使い
のファデばあさんの孫 野生の小動物のようなファデットという女の子の、成長と恋の
物語です。 著者のジョルジュ・サンドというひとにも多大なる興味をもちましたが、
きめ細かで丁寧な物語の作り方進め方は、サンドの持ち味なのかなあ?
やっぱりこのお方も、他の作品も読んでみたいな。
以上8冊が読み終えた本でした。
ふう、もっと読みたいのですが、今のところは、こんなペースでしょうなあ。
そして、ただ今読んでいるのは、『 チャタレイ夫人の恋人 』 なんです。
もう、夢中です。
ご報告は、年末に。 ああ、コニーよ、メラーズよ、二人はどうなっちゃうのおー!!!
コメント ( 9 ) | Trackback ( 0 )
« クリーン / ... | ブームいろいろ » |
観てみたいです!残念ながら日本ではビデオにもDVDにもなってないみたいですが。。。
私はやっぱり絵本と児童書とそれ関係の雑誌ばかりを読んでいて、大人が読むものとなると「そうか、もう君はいないのか」 城山三郎 著を読みました。今は「あけがたにくる人よ」永瀬清子 著を読んでいますが詩なんですが物事を知らない私には難しいです。。。
どういうアンテナをはっていたらそんな素敵な本たちに辿り着けるのですか(?o?)
『ドリアン・グレイ 美しき肖像』でした(^0^;
詩はいいですね、といってもぜんぜん知らないのです
が・・・・魂の読み物・・・そんな気がします。
私は、タイトルだけはよーく知ってるけれど読んだ事
ナシ、という本がほとんでなので、4~5年前から
自称 ” 世界文学全集の旅 ” を始めたのです。
基本的に海外の、全集になっているくらいの有名な
作品を中心に進めております。
始めたら、もう、おもしろくってやめられない。
日本の現代小説ももっと読みたい気もします、が、
今は時間的な余裕がないのと、クラシック好き、なの
ですよね。
ですが、読書好きなひとでしたら、このへんは
中・高生くらいで読み終えているのでしょう。
全く、育児だけじゃなく、読書も大幅に遅れてスター
トです。
絵本の世界も奥が深いですよね、私ももっともっと
知りたい。出会いたいです。
トミー・デ・パオラ というひとの『 ノックメニ
ーの丘の 巨人とおかみさん 』 を買いました。
初めて買いました、この人の作品。
まだ、ちゃんとは読んでいません。
気になりつつまだ読んだことない作家さんです。。
読んでみます!
世界文学全集の旅
すてきんぐーヽ(´▽`)ノ
私は海外の作品なら翻訳した人が違うのを集めてそれで引き出しにしまって満足してしまっています・・・
岩内出身の木田金次郎ですね~
またじっくり読んでみたくなりました
美術館もたくさんありますので、機会があったら
是非足を延ばしてみてくださいね♪
私も、今まで ( 実際に読んでいくまで ) は、
翻訳者のことなんて全く気にしていなかったのです。
ですが、最近はちょっと気になるようになりました。
そして、私もどんどん積んで積んで、本部屋は、もう
凄い事になっております・・・本気でマズイ・・・・
地震も怖いし、探そうにも大騒動、何よりも部屋と
して邪悪な感じすらしてきているし・・・・
今は暑いから、秋になったら整理整頓、ですね。
せっかくちぇりさんが ” ステキング ” と書いて
くれたのに、ねえ。アハハ。
そうです!そうです!
木田金次郎がモデルなんですってね。
この小説を読んでいる間、岩内という文字が出てくる
たびに、ふうさんが一緒に頭の中に出てきてました。
ふるさとの誇りですね。
木田金次郎美術館 ( 正式の名称かどうかな? )に
は、かなり昔にいとこ達と一緒に行った事ありますが
海の絵ばっかりの印象がかすかに残っているだけ、
というテイタラクぶりです、、、恥ずかしや。
改めて、ちゃんと観たいです。
その時は、おいしい最高に新鮮な海の幸も一緒に
いただきたいものです。
高さは怖いですね。。不安定ですし。。
床に敷き詰めるしかありませんな( ̄ё ̄)p
を維持しております。
しかも、いわゆる 「 うなぎの寝床 」 タイプの
小部屋なんです、日の当たらない・・・。
両側に一応本棚が並んでいて、
そこに入りきらないニューカマー達が床をじわじわ
占領しつつありまして、このままいくと、ちぇりさん
の予言 ( 笑 ) 通り、床敷き詰めになるでしょう。
夫婦揃って、モノとしての本そのものが好きなので、
借りて返すより、持っていたいタイプ、なんですネエ
この本部屋につきましては、
その後のご報告を、そのうちまたしますね。
お楽しみに!!