ありがほし  / シミー書房

 

 

56 x 70 mm の、手のひらサイズの小さな本の中で、

小さな小さなアリが、やりたい放題いろいろにやっている本なのです。

なんたってアリですから、

それは小さくて本当に小さくて簡単に打ち負かされたってしょうがないって

いうか、気付かれもしないって思うでしょ?

もうぜーんぜんそうじゃない。驚くほど。

この本の中で暴れまくっているアリさんはですねえ、犬とファイティングしたり、

でっかくて真っ黒くて剛毛で洒落たストライプのシャツを着た ( 白カフス ) の

ネコを挑発したり、あっかんべーしたり、黒猫の逆襲をひょいっとかわしてみたり。

グラサンかけてカフェで寛ぎ、DJ のごとくレコード盤をまわし ( っていうか、盤

に乗っかって踊る、なんたってアリだから ) 、サーフィンをしてバイクに跨がる。

調子にのって、落ち込んで、うなだれたかと思うと飽きたりもして。

アリなのだけれど ( 脚と手6本、触覚~~!みごと~~見たら納得です  )

アリを描いているというわけでもなく( シミー書房ファンの皆様方ご承知のとおり)、

だからといってアリの姿を借りての何かの象徴ということではぜんぜんなく。

どっちでもよくて、どう解釈してくださってもいいのです・・・

というシミー書房的ゆるやかさの魅力が、これまで以上に増している

これは新たなる傑作。

 

岡部氏の描くアリ以外には、新明氏の選ぶ言葉のセンスなしには、生み出され得

なかったこの小さな本 ( シミー書房の作品群すべて。当たり前ですが ) 。

紙の質感、色合い、活字、ページ構成、

「 あり 」 から始まる単語の連なりは、美しさと遊びに満ちて、

それを視覚化してみせる画、画、画、

詩情とナンセンス、滑稽味とリズム感の絶妙な均衡。

そして、全てをまとめる製本の粋。

それらが、ページをめくるたびに同時にくる、その悦楽感!

繰り返し読んで楽しんで、

ふと思った 「 これって、JAZZ 。」 と。

最高のジャズのコンボ演奏のめくるめくソロと

深く響くハーモニーのごとしと。

そして、

小さな小さな 『 ありがほし 』 最後に一粒手のひらに残るのは、

小さな小さなアリさんの、ありがほしと望む、あわれの、いのちの、一粒。

いのちが尊く輝くんです。

 

シミー書房には、今回も降参してしまいます。

 

 

 

 

明日金曜日は、パスキューアイランド・パン販売の日。

シミー書房展 『 冬は寒くて暖かい 』 あと3日となりました。

どうぞこの機会に、シミー書房の ” 書房 ” 作品を手にとってご覧頂きたく思います。

寒い季節にむかう楽しみ、そして日々への賛歌を感じることでしょう。

選んだ本と一緒に、温かい飲み物とパンのご用意を。

至福の冬のひとときをお約束いたしますよー!

 

明日も、こんがりと焼けた丸いパンを山盛りにして、みなさまのご来店を

お待ちしております!!

 

グラハム粉の丸いプチパン

1個 150yen

 

 

 

 

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