毎週の出来事をお伝えします
電話室便り
部屋
シミー書房・岡部 亮氏の描く ” 部屋 ” がとても好きです。
簡素な感じの部屋なのだけれど、
何ともいい部屋、と思うのです。
その部屋には、( 例えば私が人生に ) 欠かせないと思うものが全部あると思う。
それは、テーブル。
大きかったり小さかったりの、角形や丸形のテーブルがある。
テーブルの上には、時に花があり、時にマグがあり、時に一緒にケーキもあり。
時にワインボトルとグラスがあって、
それはたぶんおもてなしのセッティングで、かたまりの大きなパンもちゃんとある。
それは、薪か石炭かのストーブ ( 我が家は違うけどね ) 。
冬は、真っ赤に燃えていて、上にはやかん、やかんからは白い湯気がシュンシュンと。
窓。
窓から季節ごとの庭や空模様のうつろいが見え。
本。
たいていはハードカバーの本が積まれている、床に、サイドテーブルに。
小さな棚や、大きな本棚に本がぎゅっと並んでいる。
そして、
椅子があり。
くつろぐため、語らうため、食べるため、ゆっくりともの想うための椅子があり。
私が知っている範囲で、なのだけれど、でもたぶん大体これらのものが、絵によっては
多少の違いはあるけれど、岡部さんが描く ” 部屋 ” にはいつもあると思う。
部屋の主のとても個人的な 「 普通の部屋 」 。
部屋の主にとって必要なもの・大事なことが、きちんとオーガナイズされている。
くつろぎと満足、やすらぎや愉しみなど、こころの必須栄養素をもっとたっぷりと摂取
したいと思っているのに、忙し癖がついてしまっていつも不足気味でいる私にとって、
この 「 普通の部屋 」 で生活し、ゆっくりと自分自身を養っている主人たちは、本当に
素晴らしいと思うのだ。
岡部さんの描く ” 部屋 ” を眺めるとき、私はきっと憧れの気持ちと同時に、自分にとっ
っての大事ってやつを、いつも無意識に再確認しているのかもしれないなぁ、
「 なんて落ち着く部屋なのだろう 」
「 なんて豊かな生活なのだろう 」
そして、「 なんて自由なのだろう 」 ってね。
こんなにも伝わる部屋を描くって、
岡部さんのこころの半分くらいは、こどもの時の記憶とともにあるのかしら?
そうでなけりゃ、ねぇ、描けないよねぇ、こんな ” 部屋 ” をねぇ。