毎週の出来事をお伝えします
電話室便り
あれから 5年
2012-01-25 / 日々
『 今日 』
今日、わたしはお皿を洗わなかった
ベッドはぐちゃぐちゃ
浸けといたおむつは
だんだんくさくなってきた
きのうこぼした食べかすが
床の上からわたしを見ている
窓ガラスはよごれすぎてアートみたい
雨が降るまでこのままだとおもう
人に見られたら
なんていわれるか
ひどいねえとか、だらしないとか
今日一日、何をしていたの? とか
わたしは、この子が眠るまで、おっぱいをやっていた
わたしは、この子が泣きやむまで、ずっとだっこしていた
わたしは、この子とかくれんぼした。
わたしは、この子のためにおもちゃを鳴らした、それはきゅっうっと鳴った
わたしは、ぶらんこをゆすり、歌をうたった
わたしは、この子に、していいこととわるいことを、教えた
ほんとにいったい一日何をしていたのかな
たいしたことはしなかったわね、たぶん、それはほんと
でもこう考えれば、いいんじゃない?
今日一日、わたしは、
澄んだ目をした、髪のふわふわな、この子のために
すごく大切なことをしていたんだって。
そしてもし、そっちのほうがほんとなら、
わたしはちゃーんとやったわけだ。
伊藤比呂美 訳 / ニュージーランドのお母さんの詩。読み人知らず。
きのう、区民センターに保育所関連の提出書類を出しに行って、受付のカウンター
にあった 「 のこたべ 」 という食を中心にした子育て小冊子を何気なしにいただい
てきました。その中に掲載されていた詩、なんです。
ぐーーーっときましたねえ。
じわりとした潤いと、こころの芯のあたりが震えるような切なさと。
そうだった、そうだった。
あなたは、わたし、ですよ、まるで。
そんな日々が一日、一日とたち。
「 今日 」 を目一杯やって。
もう5年も経ちました。
やれやれ、ごくろうさん、わたし、そして、世の中のすべてのお母さんたち。
そして、小いちゃかったわたしの赤ちゃん、それから、何もかもに、ありがとう。
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