ブーリン家の姉妹

蠍座にて、先月観ました。

人間のあらゆる心の在りよう、そして、運命 というものがぎゅーっと凝縮されて

展開し、結果、” おぞましい ” といってもいいくらいの悲劇に導かれる物語、

『 ブーリン家の姉妹 』 。

私は、映画中でなんと言っても悲運だったのは、当のブーリン姉妹ではなく、

姉妹の兄と、この3人の子供たちの母、だと思うんですよ。

兄は、お家のために、父親のよって大嫌いな女と結婚させられ、しまいには

今や落ち目の王妃になりはてた野心家の妹アンの、” 命乞い ” の頼みを

受け入れ( ざるをえず )、その極秘の手段が発覚してしまったものですから

ああ、あわれ牢獄につながれて、あっという間に斬首刑!!

お母さんは、裕福な貴族の生まれであったにもかかわらず、貧乏貴族ブーリン氏と

結婚したがために、夫の上昇志向の手段に 手塩にかけて育てた美貌の娘2人と

一人息子を使われて、あげく、子供たちもお家も破滅してしまったのですから

もう、何と申し上げてよいのやら、掛ける言葉さえありませぬ。

ナタリー・ポートマンの演じるアン・ブーリン ( 姉 ) と スカーレット・ヨハ

ンセンの演じるメアリー・ブーリン は、( 兄・・・名前すら忘れちゃった・・・

も含めて ) 仲良しきょうだいだったのに、16世紀の英国の専制君主の絶対権力

と貴族階級の権力闘争に引きずり込まれていき、物凄く特殊な人生をおくるのです

が、オープニングの幼い3人が野原で笑い転げているシーンからのあっという間の

その展開に、個人の倫理観とか愛とかなんか全く通用しない時代と運命を生きざる

を得なかった「 可哀想さ 」 というものがぐっと増幅される感じでした。

それにしましても、ポートマン、ヨハンセンの競演はみごとでしたねー。

演技力といい、美しさといい、見ごたえ十分です。まさに互角。

なんだけど、ポートマン、よかったなあ、私は。

10年前に観た ケイト・ブランシェットの 『 エリザベス 』 が 『 ブーリン

家の姉妹 』 の直後から始まる歴史物語なんですねえ、なんだかパズルが

ぴったりはまって解けた!っていう、すっきりとした気持ちにもなり、

英国の歴史の血なまぐささに息を呑み ( まあ、どこのお国も似たり寄ったりの

荒々しい歴史を経ているのでしょうが )、

2時間におさめるには、ちょっと無理があるといえる濃厚な内容の1本でした。







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