レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

3月のコミックスリスト いらぬ続編と打ち切りはどちらが悪いかの愚痴

2012-03-04 06:59:12 | マンガ
 本屋でもらってきた三月のコミックスリストを改めてチェックしなおすと、
河村恵利『青野赤原ーー室町足利伝』
桑田乃梨子『放課後よりみち委員会 1』
が購入予定に加わった。
 いちばん早いのは、7日の『教師諸君!』2巻(芳文社 A5判)である。めでたくも2巻目。
 ついでに脱線する。
 このタイトルで検索すると、『生徒諸君! 教師編』がずらずらと出てくる。
 本編は私が中学生のころに始まって長いこと続いていたヒット作、私はまったく読んだことないが。主人公が教師になって母校(たぶん)に赴任、新任の挨拶で「生徒諸君!」ーーでラストだということしか知らなかった。ブランクののちに「教師編」が出てきたけど、ネットでは悪評しか目にしていない。これも終わって、いまは「最終章 旅立ち」なんてやっているらしい。
 そういえば、『悪魔(デイモス)の花嫁』は、これまたブランクののち、いまは『最終章』なんて言って既に2巻は出ているようだ。
 河惣益巳『ツーリング・エクスプレス』も、本編のあとの「特別編」がだらだらあったかと思えばさらに「Euro編」なんて出てきている始末だ。
 たまに続刊が出るけど読者を嘆かせることの多い『ガラスの仮面』、続きを描くといいながら実行されない『七つの黄金郷』。外的理由により打ち切られた多くの作品。
 中だるみ知らずでコンスタントに描かれてみごとにクライマックスを迎えた『緋色い剣』などはなんと幸せな作品であったことだろうか。

 大河便乗で、河村恵利作品の源平ものが再編集版で出ている。でも、これでも全部ではないのだな、少なくとも、義仲や義経の『冬の落日』、敦盛とそっくりな少女の出てくる話、私の覚えているだけでも2つは漏れている。あ、教経と徳子もあったか。
 私の知っている限りでは、能登守教経は一の谷で討ち死にしたのが史実で、『平家物語』での壇ノ浦の大奮戦はフィクションだということだけど、改めて読んだこの作品群では、それを両方生かして話に盛り込んであって感心した。
 「歴史ロマンDx」での佐久間智代の平家シリーズも文庫化されている。これはたぶん漏れなくはいっていると思う。
 ここの弁慶、見かけも朴訥な性格も、ーードラマ『ローマ』のアグリッパに見えてきた。記憶喪失の行き倒れで徳子に拾われて、彼女の役にたちたいがために刀千本集めを始めたのに千本目で牛若の家来にされてしまって、このあと苦悩するはずだった。ーー「歴ロマ」の休刊のせいで打ち切られてしまった物語の一つ。
(大竹直子版源平もあったな。)
 
 外的条件で打ち切られて読者に惜しまれるのと、だらだら続いたり復活したりでダメになって嘆かれるのとどちらがましか、難しいところではある。
 (私はどちらかといえば後者のほうをいっそう憎む。)

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2 コメント

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Unknown (サラ)
2012-03-04 08:09:35
今年はえらい河村さん優遇ですね。
河村作品のお江さんシリーズ「淡つみ御寮」、お茶々もの、お初ものを、昨年はスルーしっぱなしだったのに。

>敦盛とそっくりな少女の出てくる話、

「幻夢」です。
ちょっと待て、これは河村さんの平家作品のなまでは、わたしは一番好きなのですが、収録されていないですと!?

「あなたを、兄と読んでみたい、一度だけ」
(わたしは心がにごっている…)
葉月と敦盛のこのやりとりがとてもいい場面なのに~。

>続きもの

ネット上で悪い評判しかないのに、こんだけ続いているってすごいですね、「生徒諸君」

ところで、「生徒諸君」最終巻の22巻に「マリア・テレジア」が収録されているのはご存じでしょうか?
あんなのでも貴重なマリア・テレジアものなので単独本なら割高でも購入しようかと思っていましたが、買う気が失せました。
うちの本箱に「生徒諸君」の背表紙が並ぶのはわたしの美意識(笑)に反します!

続編というなら、あもい潤さんの「レーゲンデ」が「テルマエ」便乗のローマブームにのって…と、なりませんかしらね?
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いまからでも出していいのに (レーヌス)
2012-03-04 15:26:50
 その『幻夢』は今回ありません。佐久間版と比べるのも一興だったのに。
 河村恵利本、手元にとってはおかないけど復刊の際にはまた買うのが常です。浅井姉妹もののアンソロが出るならばこれからでも結構です。来年は便乗するものがなさそう。

>ネット上で悪い評判しかないのに、こんだけ続いているってすごいですね、「生徒諸君」

 まったくですね。「教師編」で20何巻も出てて。
 最終巻に収録の件、ネットで見ました。最悪な収録の仕方ですよ。歴史ものだと、その題材のゆえに手を出してみる読者は多少なりといるかもしれませんが、そのために、大長編の最終巻だけ買うなんて、実にみっともない(?)!


 
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