レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

「すてきな主婦たち」5月号

2006-04-17 13:39:43 | マンガ
双葉社の月刊誌。
ふだん買う雑誌ではないです。今月は「さくら」を買わないのでその代わり、というわけでもなく、ほかでもないあずみさんの再録があるから手にしました。その作品は前にも買っていたからどうしようかと思ったけど、ほかに結構好きな作家たちが載っていたので買いました。

あずみ椋『ライオンの牙』
シングルマザーの由加は、見合いパーティーで出会った美青年柊也と即座に惹かれあって結婚、しかし彼には秘めた残忍性があった。雄ライオンは、奪った雌ライオンに自分の子を産ませるために前の雄の子を殺すと語り、それを実行してみせる。
 遠い昔の戦士たちの世界でならば、多少の野蛮さも強引に納得させられないでもないが、現代日本の話での異常心理は恐ろしさが引き立つ。そうロコツな描写があるわけではなくても、いわゆる耽美型の絵でなくてもセクシーさを感じさせる。
 それにしても、後妻または妾が自分の子を跡継ぎにしようと画策する設定は多いが、男にも自分の血に執着する心理はあるというテーマにはある種の安心感を覚える。

名香智子『マダム・ジョーカー』
初めて読んだシリーズ。財閥の長(ハンサムで貞節)の妻の蘭子は、知人のバザーで知り合った人に不倫の相談を受けて逆恨みされる。もののわかった知人曰く、不倫でヒロイン気分を味わっていて自慢したいのがああいう人の本音、答えなんか自分で出してるからそれと違うことを言ったら気を悪くされるのだと。
 結局、その不倫妻は、夫でないほうの子でもいいから子供を産んでしまおうと思っているのだった。しかしその浮気相手は明らかにガイジン、それじゃバレるだろーー!?ってオチ。
 私としては、子の父がどちらになるかよりも、そんな浅はかな女が親になることが怖ろしい・・・。
 ところで、蘭子さんの容姿は『シャルトルシリーズ』のレオポルディーネのような、いかにも名香さんらしい(日本人に見えん)ゴージャス美人だけど、知人杉浦さんというのがはっきり言ってゴリラのようなおばさん、そしてそれが意外に浮いてない。名香さんはキラキラ絵のわりに美形の描き分けも豊富だと思っていたけど、ふーん、こういうブサイクキャラもいけるのか。

神坂智子『白の花嫁』
東京の大学生綾子は、結婚の約束をした先輩ケイとともに彼の実家に来る。地方の旧家であるその家には花嫁姿の亡霊が現れる。
 かつて、そこに嫁いだ菊乃は夫に省みられず、夫は女中の桜子と蔵で忍びあい、子を産ませた。菊乃は桜子を惨殺し自殺、跡を継いだ桜子の息子の嫁は変死し、妾で子を成した。そうして代々、どの嫁も早死にし、妾腹の子で継がれてきたという。
 そもそも悪いのは夫なのに、妻の殺意が愛人のほうに向いたことがやりきれない。正妻をなだめる器量もない男に浮気する資格なんかない!

 偶然、上記の3作とも、女=産む ということが多少なりと意識された話であった。
 ほかに、この号で好きな作家といえば、河あきら、魔木子。これらはほのぼの路線。前者は犬の活躍するホームドラマ、後者は霊能者が人助けする時代劇。
 全体として、悪くない手ごたえの雑誌だった。また買うことになってもイヤじゃない。
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