レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

罪と誤りと美人薄命

2016-09-08 14:16:14 |   ことばや名前
 昔読んだ英米のジョークにこんなものがあった。

 教会の懺悔で
「わたくしは今日虚栄の罪を犯しました、自分を美しいなどと思ったりして」
「それは罪(sin)ではありません、誤り(mistake)です」


 日曜の習慣であったサザエさん&まる子を見ることをしばらく前にやめたが、ネットの記事でたまに反響を知ることがある。
 先日の『サザエさん』の『美人はつらいよ』は、ワカメが「美人薄命」という言葉を知って落ち込んでという騒動。これに対してネットでは、「視聴者からも「ワカメってこんなナルシストキャラだったのかよ」「美人薄命で悩むワカメ、闇が深すぎる」「自意識過剰ぶり腹立つwww」とツッコミの声が多数上がった。」という。「おたぼる」からの記事による。
 「ナルシスト」と、自分を美しいと思っている人とは同じではないと思うのだが。公正に判断して美しいと認めるのが妥当である人は存在するだろうし、美しいと思っていなくても自分大好きの人間もいるだろう。

 上記記事からまた引用:

そしてカツオのクラスメイトの間でも“美人薄命”という言葉が話題に。しかし、作中屈指の美少女のかおりちゃんと、正直フォルムはまったく美少女じゃないが何故か作中で美少女扱いを受けている早川さんは“美人薄命”を気にする様子は全く見せない。これに疑問をもったカツオは二人に理由を聞くと、「私、美人じゃないもん」とのこと。心まで美人なこの二人には「謙虚なかおりちゃんマジ天使」「これこそ真の美少女」「早川さんは実際ブスだけど(小声)」と絶賛の声が飛び、自称・美少女のワカメと格の差を見せつけた。

 引用終わり。

 あの絵では、これは美人の設定だと理解できても実際に美しいと思えはしないのであるがそれはおいて、

「私、美人じゃないもん」
 

 尼寺だの修道院だの、美醜にこだわることがタブーである環境で育ったから無頓着、
  または逆に、
 周囲が美形だらけなので自分がさほどどは思えない
ーーな~んていう事情ならばともかく、明らかに美人である人がそれを否定などするのはかえってイヤミだと思う。

 酒井順子さんならばこの感覚わかってくれると思う。(美人であることを自覚していないふりする人に「ゲロっちまえば楽になるぜ」とカツ丼さしだしたくなる、と書いてあったのはどの本か、あ、『私は美人』だ)

 「謙虚なかおりちゃんマジ天使」なんてコメントしたのはどうせ男だろう。「心まで美人なこの二人」なんて書いた記事の担当者も。
 男はこうだ、女はこうだ、と決めつけることはよくないが。女の記者が担当したら、少なくとも、「心まで美人」なんてことは書かなかったのではと私は思う。美人と自信があることは心の美しさに反するとでも言うのかい、おめでたいな!

 ワカメは「ナルシスト」ではなく、単にミステイクを犯しているだけだ。
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