レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

漫画の星 漱石 リチャードⅢ

2014-03-23 11:04:21 | マンガ
松山花子『少女よ漫画の星となれ』
 芳文社「まんがタウン」に連載されていて面白かったので今月の単行本化を購入した。地元の有隣堂では、4コマの棚になかったので店の人に尋ねたら別の棚にあった。しかしたいていの客は4コマで探すだろうから不都合ではあるまいか。
 自衛官の父を持つ星明日花。母がマンガゆえに家を出てしまったので父は明日花に固くマンガを禁じ、「非合法」娯楽であるなどという大嘘を吹き込んでいた(藤波竜之介の親父並)。しかし高校で成り行き上入らされたマン研でマンガに目覚める。ほかに、お嬢様の六条淡(ほのか)、BL好きの植田早苗。
 非常識なほど珍しい環境での見聞を身近なモデルとして奇想天外な設定のマンガを次々に思いつく天然の明日花。恵まれているようで中々努力が報われない淡は、才能のない姫川亜弓さんのようだと思う。
 まともな文学少年を逃げさせていたという早苗の蔵書ラインナップは『五代将軍』『禁色』『仮面の告白』『孤島の鬼』『車輪の下』『ヴェニスに死す』『ドリアン・グレイの肖像』『草の花』『稚児』「男色大鑑』『武士道とエロス』『饗宴』ーー過半数読んでいるぞ。『車輪の下』を男色ものと言うのは乱暴だけど。
 近頃のコミックスは、カバーをはがすと表紙にもマンガが描いてあるということが時々ある。これもそうである。
 カバーの中のひとコマ、マンガの専門学校での授業風景で、「少年漫画で大事なのは いかに正当な理由で人を殺しまくれるかです!  とりあえず何かと戦う」ーーこれは相当にインパクトがあるので、書店ではこの表紙が見えるように陳列しておいたほうが効果があると思うなぁ。

香日ゆら『漱石とはずがたり』1  メディアファクトリー
 『先生と僕 夏目漱石を囲む々』の姉妹編。発売リストでチェック漏れしていて、店頭でいきなり知った。
 漱石・鴎外・芥川の三人が好きな甘いものについて語る場面で、「汁粉の美味しさは世界を制する」という芥川のセリフは出典があるのだろうな。ーーあんな可愛くない顔して甘党かい、ちょっとはかわいく思えてきた。

菅野文『薔薇王の葬列』1
 シェイクスピアの『ヘンリー六世』『リチャード三世』が原案、ヘンリーの外見がやたら若くて中身が浮世離れしていて、リチャードは両性具有でお互いに正体知らずに時々出逢っているという大胆な物語。マーガレット王妃が猛女なのはデフォルトだけど、リチャードの母もかなり悪そうで、これならばあとでリチャードが母に不貞の濡れ衣着せることも理解できそう。リチャードにつきまとっている「魔女」ジャンヌ・ダルクの霊(?)、氷栗優『カンタレラ』も連想する。
 ところで、このリチャードの外見は鬼太郎を思い出してしかたない。


コメント (2)
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