レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

お弁当を持って海辺へ行こう

2007-06-26 05:42:12 | 
 --というのは先日、講談社文庫から出た清水義範のエッセイ集『清水義範のできるまで』収録のタイトル。海辺の生き物観察に、おにぎりつくって玉子焼きを焼いてお茶持って出かけるそうだ。もしかすると上記タイトルから『Making of動物のお医者さん』を連想する人もいるだろう。私もそうだった。しかし、佐々木倫子の場合はホテルで用意されたお弁当であり、ヨシノリンは自分でつくっていくことが違う。おっさんが自作のお弁当を楽しんでいるのはなんだか微笑ましさが増す。
 「MOE」の読者カードで、「好きなお弁当のおかず」というアンケートがついていたことがある。1は大差で「玉子焼き」。2が「鶏のからあげ」だったかな。タコさんウインナーも5位にはいっていた。だいたいはわかりやすい、奇抜でないものが並んでいた。私にとっての定番は、グリーンアスパラ(冷凍もの)とチーズちくわ。(狭い意味ーーご飯といっしょに口にするーーでの「おかず」ではない。) 

 同じヨシノリンの単行本新刊が5月は2冊。
『疑史世界伝』集英社
 まえに『偽史日本伝』という本があった。姉妹編なのだけど、『日本伝』の、「大化の改新」の端緒となった蘇我入鹿暗殺事件を実況する設定とか、弁慶が実は義経だったとか、あのぶっとび方に比べると、題材に対する読者の知識が日本史よりも乏しいという前提なので、『世界伝』のほうがはるかにマトモである。ハンニバルの話に義経ネタがちょこっとダブらされてるとか、『あきんどの国』のイギリス少年たちが既成キャラのパロになってるとか、『ガリラヤのエキストラ』は『ダ・ヴィンチコード』よりも過激ではないかとか、『あわただ史記』は中国4千年を短編でまとめてしまおうという無謀さがそれでもう笑いを誘うとか、そういうギャグはもちろんある。総じて、欧米よりもアジア視点でという傾向。史実の説明じたいはだいたいオーソドックスに書いてあるのではなかろうか。ウンチク本として持っていても損はあるまい。
 やはり私はヨーロッパ話題のほうがノれるけどね。
 
『独断流「読書」必勝法』 講談社
 『坊ちゃん』、『ロビンソン・クルーソー』その他、東西の古典の紹介・ツッコミ・再解釈。私自身読んだのは半数くらいか。ほんとは再読してからこういうのを読むほうがいいんだろうけどな。
 『細雪』(読んでない)について、登場人物の生活ぶりがあんまりゼイタクで腹たってくる、と書いてるけど、やはり紹介されている『魔の山』byトーマス・マンだってそんなところあるんじゃないのか? 世間知らずのボンボンのハンス・カストルプは学校終えて、これから働き始めようというときに、サナトリウムの従兄を見舞いに行き、自分も結核だと診断されてそのまま7年いつくことになる。そこでいろいろなヘンな人々に議論をふっかけられ、ロシア婦人に恋をし、雪山で遭難しかけたり。1日5食、する仕事もないし、たまに人の出入りはあるけどたいへんにヒマ。決闘で死ぬヤツまでいる。ーー結核になったところで療養する金もない人々からすると腹のたってくる世界ではなかろうか。
 私自身の体験:98年にフライブルク留学の際、学校のパンフに「生活費は家賃込みで~~マルクが目安」と書いてあった。『魔の山』でハンスが入院にあたって親戚に要求していた生活費と比べると、20世紀初頭の話だっていうのに後者のほうが高かった! ゼイタクなやつめ。 苦労しまくる話よりもそういうののほうが私は読んでてラクだけどね。
コメント
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