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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

6月17日の中国宇宙ステーション(カラー撮影)

2023年06月21日 | CSS(中国宇宙ステーション)
6月17日に撮影した中国宇宙ステーション(CSS)の記録です。

 CSSのカラー撮影はこれまでPowermate2×を外して短焦点( f1,500mm)で撮影していましたが、今回からは Powermate2× を装着して超拡大撮影( f3,000mm)に挑戦です。

 今回の通過は最大仰角が60°で距離は424km、光度も-1.7等級なのでベストとは言えないイベントですが太陽高度が -17.8° と薄明がほぼ終了した暗い空なのでテスト撮影には最適です。


 
 撮影システムは、30cmドブ+Powermate2×+ASI290MC+UV/IRcut 、露出は Shutter=0.860ms、Gain=270 (45%) に設定しました。 撮影開始ポイントはしし座と北斗七星の中間にあるこじし座付近、屋根で見えなくなる東北東が撮影終了ポイントです。

 このコースは逆光の状態で西の空に現われるので見え始めはそれほど明るくなりません。なのでスムーズな撮影開始のためには双眼鏡を使って早めに位置を確認しておくことがマストです。

 双眼鏡を覗いていると高度15°付近で移動光点が見えました。CSSです。まだ眼視では見えません。肉眼で見えたのはしし座のレグルスを過ぎたところ… 予定どおりこじし座付近で撮影開始です!

 最大仰角付近から光度が増してきましたが、こぐま座を過ぎた直後に屋根に隠れて撮影終了です。ではさっそく動画を見てみましょう。

6月17日の中国宇宙ステーション(カラー撮影)


 ふむ、当てずっぽうの割には露出がバッチリだったようです。さすが超拡大撮影です。これまでの焦点距離1,500mmで撮影したCSSとは格段に解像度が違います。

 では、ここから画像処理です。今回は大気の揺れでコンポジットできる画像がほとんど無かったので最大で4枚しかコンポジットできませんでした~。

20:57:12 高度52° 推定距離468km 4枚コンポジット画像(photo


20:57:13 高度53° 推定距離466km 4枚コンポジット画像(photo


20:57:19 高度55° 推定距離452km 4枚コンポジット画像(photo


20:57:30 高度59° 推定距離437km 1枚画像 (photo


20:57:34 高度60° 推定距離435km 4枚コンポジット画像(photo


 コンポジット画像は画質が滑らかになることと強めの画像処理に耐えられるという利点がありますが、そもそも大気の揺らぎでピッタリ重なることの無い画像を無理にスタックしているので、どーしても細部がつぶれてしまいますね~。結果的に今回は1枚画像の方が解像度が良かったようです。

 さて、今回のテスト撮影を終えて、視直径が小さいのでカラー撮影はムリと思っていたCSSで予想を上回る高解像度画像が撮れたことに正直オドロキを感じました。運良く好条件通過と気象条件が重なれば今回以上の高解像度画像が撮れる可能性もあります。

 この夏は暑くなるという予報もありますので期待を込めてそのチャンスを待つことにしましょう。


3月20日の中国宇宙ステーション(カラー撮影)

2023年03月24日 | CSS(中国宇宙ステーション)
3月20日に撮影した中国宇宙ステーションの撮影記録です。

 3/20の通過は直距離454km、最大仰角56°のいわゆる中接近なので高精細な画像は期待できないな~と思って一度は撮影をパスすることも考えたのですが、この通過以降は早朝の通過イベントになるので貴重な露出テストの機会として撮影に臨みました。


 CSSカラー撮影は前回、前々回の撮影でカメラのゲインを220にして露出オーバーだったので今回はゲインを180まで落としてテスト撮影です。ここまで落とすと露出アンダーになることが予想されますが適正範囲を知るためにはその方が都合がいいので大胆に落としてみました。

 夕方のこのコースは最大仰角までは逆光となって暗い状態で飛行します。なので撮影は最大仰角を過ぎてからが勝負となりますが金星の近くを通過するのでそのポイントを待ち伏せ地点として待機していたのですが…

 なんと時間になっても眼視で見つけることができませんでした。(ちょっと焦りました~) 目をこらしてやっと発見できたのは金星を過ぎてからで光度は2等星より少し明るい程度でした。

 本日の撮影システムは30cmドブ(f1500mm)+ASI290MC+UV/IRcut です。CSSの発見は遅れましたがこのシステムは写野が広いので撮影時の追尾はほぼ完ぺきでした。撮影データはShutter 0.897ms、Gain 180(30%) です。通過記録はATOM com2 で撮影しました。

3月20日18時36分 CSS通過の様子(おうし座から地球の影に入るまで)3倍速再生

      全画面表示で見ると左下の電線付近で地球の影に入る様子が分かります。↑


↓ こちらは拡大撮影したCSSのフルバージョン動画です。
CSS(中国宇宙ステーション)拡大撮影 (おうし座付近~最大仰角~地球の影に入るまで)

 この動画では逆光で太陽電池パネルが橙色になっている状態から最大仰角(天和がフレアを起こす付近)を通過してCSS全体が白色になる様子が写っています。高度が低くなると大気分散で徐々に青色と赤色の分離が強くなっていく様子や地球の影に入る瞬間も捉えることができました。


 さて、動画から静止画をキャプチャーして画像処理をする過程ですが、今回は距離がそれほど近くないので苦労しました~。上記動画は300pixel×300pixel で切り出していますがCSSの大きさは画角の1/3以下で最大仰角でも80pixel × 80pixel 程度です。なので元画像はご覧のとおりガタガタです。(photo


 ここからいつもの秘伝の方法で画像処理をしていきますが、今回は思うように画質が上がらず四苦八苦でした~。最終的にはこれが限界の完成型です。まだまだ修行が足りませんね。(photo


 こちらは最大仰角を過ぎて順光になった時のCSSです。(photo


 一番明るくなった頃のCSS…これを見ると今回の露出は適正だったと言えます。(photo


 これが今回のベストフォトかな…(photo


 今回のコースは太陽光の照射角度が良かったので結果的にこれまででベストの解像度になりました。船尾にドッキングしている補給船「天舟5号」が太陽電池パネルも含めてここまではっきり写るのはめずらしいことだと思います。(photo

 船首にドッキングしている有人宇宙船「神舟5号」もよく見ると帰還モジュールとサービスモジュールの色の違いが分かります。(かなりひいき目な見方ですが…)

〈参照資料〉CSS(中国宇宙ステーション)にドッキングしている神舟13号

サービスモジュールとドッキングモジュールは白色だが帰還モジュールだけ色が違う。


 今後CSSは3月24日から4月23日まで早朝の通過イベントとなります。早朝のコースは昇る朝日に向かっていくCSSを撮影することになるのでなかなか難しいものがあります。(…というよりは単純に好みではないと言う方が正しいかな)

 次回夕方の通過イベントになるのは4月26日以降です。その頃になると気流も落ち着いてくるのでそこからが本格的な拡大撮影スタートといった感じですね。

1月19日のCSS通過の様子

2023年01月22日 | CSS(中国宇宙ステーション)
昨年末に購入したATOM com2 でCSS通過の様子を撮影してみました~。

 ATOM com2 は感度がいいので流星検出にも使えると評判ですが、今のところは家に居ながらにして空の様子が分かるお天気チェックカメラとしてのみ使っています。(^^ゞ

 これをISSやCSSの撮影時の記録用カメラとして使えたらお気楽に撮影できるのでどんなものか試してみました。以下そのレポートです。

 と、その前に ATOM com2 のスペックですが、焦点距離は2.8mm、画角120度、デジタルズーム8倍、解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)でナイトビジョン機能もあるので小さい割には優秀な性能といえます。

 撮影は天気に恵まれずなかなかできなかったのですが1月19日にチャンスが巡ってきました。衛星はCSSなので最大光度は-1.8等級ですが暗い方が感度を確かめられるのでむしろ好都合です。

 で、こちらが撮影した動画です。(動画は3倍速で再生しています)
 中国宇宙ステーション通過の様子 2023.1.19

 通過図とイベントデータはこんな感じでした。


 今回の撮影は感度の高いナイトビジョンモードで撮影していますが、月明かり程度の光量があれば(感度はやや低下しますが)鮮明なカラー撮影ができるカラーナイトビジョンモードもあるので、様々なシチュエーションでテスト撮影をしていくことにしましょう。

12月3日の中国宇宙ステーション(カラー撮影)

2022年12月04日 | CSS(中国宇宙ステーション)
12月3日に撮影した中国宇宙ステーションの撮影記録です。


今回の撮影システムも、30cmドブ(f1500mm)+ASI290MC+UV/IRcut
Shutterは 0.901ms、Gainは 220(36%) です。

今回の通過図とイベントデータ



 天気は雲量ゼロの快晴だったの高度10度から目視できましたが前半はPCの動きが悪かったのでROIを小さくしてから惑星カメラを再スタートさせたので、動画は天頂通過後の後半のみとなりました。

 で、こちらがその動画です。

12月3日の中国宇宙ステーション(カラー撮影)*天頂~地球の影に入るまで


う~む、露出オーバーですね


前回の撮影が露出オーバーだったのでゲインを抑えたつもりでしたが…


あらためて確認すると前回とゲインがほぼ変わっていませんでした。(^^ゞ


しっかり確認すべし! このシステムでゲイン220はオーバー感度です!

11月8日の中国宇宙ステーション(カラー撮影)

2022年11月08日 | CSS(中国宇宙ステーション)
11月8日未明にCSSの好条件パスがあったので2度目になるカラー撮影を行いました。

 今日のパスは11月6日とほぼ同じ時刻でまもなく市民薄明が始まろうとする時間ですが、どーも日の出が近づいた時間になると雲が発生するらしく、ピン合わせの時の雲量0が撮影時に雲量5~6になる空は11月6日とまったく同じでした。

 今回の撮影はPowermate2×を使わず30cmドブに直接ASI290MCを入れて拡大率を下げています。気流対策として行ったのですが薄雲でかなり透明度が悪かったので効果の程はイマイチ分かりませんでした。

 撮影時の露出は Shutter=0.923ms、Gain=227 (32%) です。Gainは火星の模様が写るように調整してみましたがやや露出オーバーでした。


↑ この画像は最大高度に向けて上昇しているところですが、進行方向に問天と夢天があるのが分かります。11月6日は天舟4号が前だったのでこの2日間で180°回転して通常姿勢に戻ったようです。

↓ 通過図は観望に近い形にするため反転してあります。



↓ かろうじて太陽電池パネルが写った画像

↓ これは最大高度直前の画像です。かなりボケボケです。

このあとは逆光&透明度の悪さでほとんど写っていませんでした。

 さて、11月6日はISS通過10分後にCSSが通過しましたが、今日はCSS通過の10分後にISSの通過がありました。距離は709kmで最大仰角は34°です。これまでに撮影した最低仰角は36°でしたので撮影に成功すれば記録更新です。

 俄然やる気が出てきたのですが、通過コースに沿って雲があって見えたのはオリオン座とおおいぬ座の間の一瞬だけ! 撮れたのはたったの64フレームという… え、うそでしょ! と言いたくなる撮れ高でした。画質も説明されないとISSとは分からないレベルなので、最高級の画像処理をしてあげました。(笑)



で、仕上がった画像がこちら… 会心の出来です!(自画自賛)
700km彼方の国際宇宙ステーション、撮影時仰角34° で記録更新です。

ADCを入れなかったのにそれほど大気分散がなかったのが不思議ですね~。

拡大撮影の飽くなき挑戦はこれからも続きます。乞うご期待を…

11月6日の中国宇宙ステーション

2022年11月07日 | CSS(中国宇宙ステーション)
前回のブログの続きで~す。




 う~む、すでにCSSはオリオン座を通過しているはずですが、雲でオリオン座のリゲルもベテルギウスも見えません。CSSはオリオン座のど真ん中を昇ってくるので、まもなく… お、見えました! 光度は…

 う~む、先ほどISSを見てしまったので、それほど明るくは感じませんが、青空に近い明るい空の中で見えているのでマイナス等級はありますね。では、撮影を開始しましょう。最大仰角は82°です。


 今回の撮影システムと露出はISSと同じで、30cmドブ+Powermate2×+ASI174MM+IR Pass Filter 、Shutter=0.938ms、Gain=250 (62%) です。

 11月1日にドッキングした夢天は、11月3日に左舷ポートへの引っ越しを完了しているので、今日のCSSは完成型ということになります。


 こちらは最大高度を過ぎて南東へ移動してからの写真です。天和・問天・夢天の各モジュールがほぼ同じ長さだということが分かりますね。



 今回のISSとCSSは飛行高度と飛行コースが近似していて、撮影カメラも同じなので大きさ比べをして見ました。軌道高度が40km程度違うので正確ではありませんが、大きさの差はだいたいこんな感じですね。 (^^ゞ



 今週はCSSの通過が何回かありますので、天気の具合を見て再度撮影にチャレンジしてみることにしましょう。

10月20日の中国宇宙ステーション(カラー撮影)

2022年10月21日 | CSS(中国宇宙ステーション)
カラーカメラによる中国宇宙ステーションのテスト撮影記録です。



 今回のパスは南天を通過する比較的追尾しやすいコースですが、仰角が最大で51°なので大気分散の影響が多分に出るコースでもあります。ということで今回は大気分散プリズム(ADC)を装着して撮影してみることにしました。


 システムとしては30cmドブ+Powermate2× + ADC +ASI290MC +UV/IR cutフィルターです。まー、かなりの狭写野ですがそれも含めてテストしてみましょう。

 CSSはISSに比べ視直径がかなり小さいので解像度の悪いカラーカメラ向きの対象ではありませんが、問天がドッキングする前に一度だけカラーカメラで撮影をしたことがありました。

 その時は夕方のパスで、北西から垂直上昇をして天頂で地球の影に入る通過だったのですが… 惑星カメラに写っていたのは、え!? カメラ壊れたの? と思えるような変な写真だったので、それ以来カラー撮影は無理だなーとおもって封印していました。

 みごとに大気分散を拾って青と赤の2色だけになっていますね~。なぜか地球の影に入るまですべてこのような画像でした。

 で、今回の撮影ですが、直前までは雲一つ無い快晴だったのにCSSが地平線から出るのに合わせて雲がやってきて、発見できたのは南西の仰角20°のところ… その後も雲に入ったり出たりだったため全体的にダメダメ不鮮明動画となりました。気流もイマイチだったのでダブルでダメダメでした。


2022年10月20日の中国宇宙ステーション(カラー撮影)


↓ こちらは4枚コンポジットした画像ですが大気分散も拾って青が強く出ています。



Shutter=0.833ms Gain=300 (50%)

 今回の動画を見ると、進行方向に神舟4号の貨物船があって後方に天和のドッキングポートがあるようにみえます。10月31日の夢天ドッキングに備えて逆向き飛行をしているのでしょうかね~。



10月18日の中国宇宙ステーション

2022年10月20日 | CSS(中国宇宙ステーション)
10月18日に撮影した中国宇宙ステーションの撮影記録です。


 今回のイベントはほぼ天頂を通過する最良のコースですが…

 仰角が80°を超えると天頂付近の追尾が容易でないことと天頂通過後に鏡筒回転をしなければならないので、一番条件の良いところを取り逃してしまう悲しいコースでもあります。


↓ こちらは事前にグーグルカレンダーに入れていた撮影計画と事前の気象情報です。

西北西10°→南南西85° →東南東47°(影に入る)
モノクロ拡大撮影 ASI290MM
Shutter=0.869ms Gain = 300
Windy: 250hPA(10km) = 南西77m/s 悪
windy:雲量2% SCW:雲量20%~50%

 上記の雲量についてはあくまで予報であってあまり当てにはなりませんが、Windyの風予報は大きく外れることがないので気流の状態を予測するには使える数値です。

 250hPA(上空10km) の風速はジェット気流(偏西風)との対応がいいのでこれを見ると偏西風が今どこを流れているかがおよそ分かります。で、秒速77mはズバリ!最悪寄りの〈悪〉です。

 季節は初冬なので大きな期待はしてませんが、せめて秒速50m以下であってほしいですね。通過時の18時15分頃の雲量は0になりましたがベガが激しく瞬いていたので気流は予報どおりだと感じました。

 このコースでは天頂までは逆行になるため暗いのですが、天頂を過ぎると順光になってかなり明るくなります。しかし今回は天頂通過後に地球の影に入ってしまうので鏡筒回転後にどれだけ素早く導入できるかが鍵になります。

 で、これが今回撮影した動画のフルバージョンです。天頂付近はすっぽり抜けていて、天頂通過後は鏡筒回転のため中国宇宙ステーションの向きが一気に変わります。そして案の定、すぐ地球の影に入るため後半はあっという間に見えなくなります。

2022年10月18日の中国宇宙ステーション


 やはり、気流が悪すぎるので予想どおりの写りかたでした。前半は画像処理に耐えられる画像が皆無だったので後半部分から1枚をセレクトしてステライメージで処理したのが下の画像です。



 今日の気流ではこれが限界ですね~。下は地球の影に入る直前で最も明るくなったときの写真ですが、天舟4号の太陽電池パネルが写っていたのでかなりシャドウを上げてあぶり出してみました。


 これから季節が進むと気象条件はさらに悪くなりますが10月31日に問天・科学実験モジュールがリフトオフしますのでもう少し中国宇宙ステーションの追っかけをしてみることにしましょう。

10月15日の中国宇宙ステーション

2022年10月16日 | CSS(中国宇宙ステーション)
9月30日にL型になった中国宇宙ステーションの初撮影に成功しました~。



 通過コースは北天の仰角45°で直距離が532kmなので条件としては良くありませんが明るくなったCSSはまだ撮影していないので露出テストを兼ねて撮影にチャレンジしてみました。

本日の通過コース

イベントデータ


 今回の撮影はμ210+Powermate2× にASI290MM+IR Passfilter(685nm)を装着したかつての ISSモノクロ高解像度撮影システムです。お久しぶりですね~。

 で、肝心要の露出ですが過去のデータをいろいろと見て今回はシャッタースピードを0.882ms、Gainを300(50%)としてみました。これはISSの撮影で基準となる露出なのでこれで露出オーバーになることはないだろう…という算段です。

 今日のCSSの光度は-1.5等級なのでCSSとしてはやや暗い方ですが撮影した動画を見るとほぼ適正露出のようです。天頂通過の好条件パスではもう少し露出をアンダーにしてもいいかもしれませんね。


10月15日の中国宇宙ステーション

*GIFアニメで見ると問天の太陽電池パドルが一瞬ですが格子状に見えます。→GIF

 今後の予定では10月31日~11月5日に問天と同型の科学モジュール・夢天がCSS前方にドッキングするのでなかなか面白い形になりますね。今週は日没後のCSS通過パスが複数回ありますので天気の具合を見て夢天ドッキング前のL型CSSの撮影に再チャレンジしてみることにしましょう。


 さて、話は変わりますが、CSSパスを待っているとき、時刻は17時50分頃ですがマイナス等級の人工衛星が北西から南東へ仰角50°前後の高度で通過したので急遽望遠鏡を向けたところ運良く導入に成功して撮影することができました。


10月15日に撮影した正体不明の人工衛星(撮影時間:17時50分07秒~17時50分51秒)

*GIFアニメはこちら→GIF

 かなり明るい衛星だったのでHeaven-Aboveの「明るい衛星の日ごとの予測」やステラナビで調べてみましたが特定することはできませんでした。形状からすると地球周回軌道を回っているロケットボディ(第2段または第3段)と思われますが、CSSと比較すると長さが15mはありそうです。


 通過速度はISSよりやや速い感じがしたのでまもなく落下するロケットボディかもですね。

地球の影に入る中国宇宙ステーション(CSS)

2022年10月12日 | CSS(中国宇宙ステーション)
7月24日に実験棟モジュール(問天・Wentian)がドッキングして明るくなったCSSをウオッチングしてみた。実験棟がドッキングする前のCSS光度は1等級だが、現在の最大光度は-2等級オーバーである。

 CSSを眼視で観望できたのは10月8日の18時30分を過ぎたころ…

南西方向から現われたCSSは高度を増すにつれてどんどん増光し高度50°で最大光度-1.9等に達したあと地球の影に入ってすっと見えなくなった。かなり明るい… 正直な感想としてCSSがこれほど明るくなっているとは思ってなかった。-1.9等級は単純計算で1等級の約40倍の明るさだがそれを納得させるのに十分な増光ぶりだった。


 はてさて、ドッキングしただけで中国宇宙ステーションの輝きを40倍も明るくさせた科学実験モジュール(問天)とはいったいどのようなものなのか? 興味がわいたので深掘りしてみた。


 問天は全長約18mの科学実験モジュールだが、天和ドッキングポートにあるエアロックよりかなり広めの船外活動用エアロックや天和コアモジュールのバックアップ機能(ナビゲーションアビオニクスや推進装置)なども備えている機能満載の宇宙船だ。

 おもな装備品は図のとおりだがひとつISSには無い装備品があるので注目したい。その名はインデックスロボットアーム。ドッキングポートに装備されている再ドッキング自動システムだ。

 これは何をするものかというと、進行方向前方にドッキングした問天を右舷ポートに引っ越しさせるためのマジックハンドのような働きをする装置だ。

↓ 2022年7月時点での中国宇宙ステーション(7月24日ドッキング完了)


↓ 2022年10月現在の中国宇宙ステーション(9月30日に引っ越しました~)

 再ドッキングはクルードラゴンでもソユーズでもISSを離れたあとにスラスターを噴射させて再ドックするものだがこの装置はスラスターを噴射させることなく、少々乱暴な言い方で表現するとロボットアームでモジュールを引っこ抜いて別のポートに差し込むというやり方である。

 9月30日に行われた再ドッキングの様子

↑ 左が問天、右が天和ドッキングポート

↑ 左に見えるのが6月5日にドッキングした有人宇宙船神舟14号、右が問天

 さて、この聞き慣れないインデックスロボットアーム(再ドッキング自動システム)だが、これはミール宇宙ステーションで使用されたリアッパアームを元にしていると考えられる。↓

 ミールの建造ではクバント2、クリスタル、スペクトル、プリロダの各モジュールにリアッパアームと呼ばれる再ドッキング自動システムを装備して、ミールコアモジュールの前方(軸方向)ポートにドッキングしたモジュールをこのアームで持ち上げて各ポートへと移動させた。

↑ クバント2のポート移動(再ドッキング)の様子

 さて、話を中国宇宙ステーションに戻そう。中国宇宙ステーションは今後、左舷ポートに2つめの科学実験モジュール(夢天・Mengtian)をドッキングさせてとりあえずの完成となる。(最終的にはCSS近傍に宇宙望遠鏡を配置する計画があるのでそれをもってシステム完了となる予定だ)

 直近の情報によると夢天を打上げる長征5号ロケット(CZ5B)は10月31日にリフトオフするようだ。ローンチウインドウは10/31~11/5で時刻はいずれも06:00~12:00(UTC)となっている。問天と同じように最初は天和前方モジュールにドックさせてのちに左舷ポートへと再ドックする。

 夢天を打上げるロケットは長征5号(CZ5B)なので、制御装置を装備していなければ、またしても「どこに落下するのか問題」が勃発しそうだ。そうならないことを切に願う。

 無人貨物宇宙船天州5号(Tianzhou-5)は11月6日に、有人宇宙船神舟15号(Shenzhou-15)は11月26日にリフトオフする予定となっている。