ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

いつのまにか

2011年02月09日 | ノンジャンル
夕食が終わって、何の記念日でも行事があるのでも
ないのに、ケーキが出てきた。

なんだか作ってみたくなって、作ったとは
カミサンの言葉。

珍しいこともあるもんだと頬張ると、上品な甘さで
美味しかった。

ケーキを食べる私の顔を見ながら、何やら
ニヤニヤしている。

また、何かおねだりでもあるのかと身構えていると、
感慨深げに彼女は言った。

「そんな顔して、ケーキを食べる姿を見られるとはね~。」

『ん? どんな顔?』

「満たされたような、穏やかな顔・・・。」

『そうか? そんな顔してるかな?』

「バカ病気になってしまったけど、一度も失敗せずに、
 飲まずに頑張ってるのは偉いと思うよ。」

『そうかな・・・。』

「まだ飲みたいと思うときはある?」

『祝いの席とか、弔いの席とかでは、辛いこともあるな。』

「でも、飲まないんや。」

『決めたことやからな。』

「ふ~~ん。」

そう言いながら、彼女はニコニコしている。

何だ突然にとも思ったが、家族の回復というのは
そういうものなのだろうとも思った。

知らず知らずのうちに、少しずつ、本当に少しずつ
回復していくものなのであろう。
それは私自身も同じことである。

それでも、いつのまにかその少しの回復が実感できる
ところまで来たのかと思えば、嬉しい限りである。

この病気の回復のバロメータは、自身の、そして
家族の笑顔なのかもしれない。