広島・長崎での安倍首相の宣言で歴代首相が触れてきた「非核三原則を堅持」を巡り、首相官邸ラインでおかしな発言が出てきています。二市での宣言内容は「非核三原則を堅持」が入っているかどうかの違いを除いては殆ど同じです。6日の広島での宣言では同言葉を入れなかったことで国民から批判が湧き出てきたので、9日の長崎宣言では入れざるを得なかったのだと推測しますが、理由はともあれ、広島宣言では誓わなかったことを「誓いました」なんてフェイスブックに書き込むなんてことは首相のすることではありません。
まず、夫々の宣言全文を貼り付けます。
広島宣言 ↓
本日ここに、被爆70周年の広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式が挙行されるに当たり、原子爆弾の犠牲となられた数多くの方々の御霊(みたま)に向かい、謹んで、哀悼の誠を捧(ささ)げます。
そして、被爆による後遺症に、今なお苦しんでおられる方々に対し、衷心(ちゅうしん)よりお見舞いを申し上げます。
あの朝から70年が経(た)ちました。ここ広島に投下された一発の原子爆弾により、十数万にものぼる幾多の貴い命が奪われ、街は廃墟(はいきょ)と化しました。惨禍の中、一命をとりとめた方々にも、言葉に尽くしがたい辛苦の日々をもたらしました。
今、広島の街を見渡すとき、この水の都は、たくましく復興し、国際平和文化都市へと変貌を遂げました。被爆から70年を迎えた今朝、私は、改めて平和の尊さに思いを致しています。
我が国は唯一の戦争被爆国として、現実的で実践的な取組(とりくみ)を着実に積み重ねていくことにより、「核兵器のない世界」を実現する重要な使命があります。また、核兵器の非人道性を世代と国境を越えて広める務めがあります。
特に本年は、被爆70年という節目の年であります。核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議では、残念ながら、最終合意には至りませんでしたが、我が国と しては、核兵器国と非核兵器国、双方の協力を引き続き求めつつ、「核兵器のない世界」の実現に向けて、一層の努力を積み重ねていく決意です。この決意を表 明するため、本年秋の国連総会では新たな核兵器廃絶決議案を提出いたします。
8月末には、包括的核実験禁止条約 賢人グループ会合並びに 国連軍縮会議が、更に来年には、G7外相会合が、ここ広島で開催されます。これらの国際会議を通じ、被爆地から我々の思いを、国際社会に力強く発信いたし ます。また、世界の指導者や若者が被爆の悲惨な現実に直に触れることを通じ、「核兵器のない世界」の実現に向けた取組をさらに前に進めてまいります。
今年、被爆者の方々の平均年齢が、はじめて80歳を超えました。高齢化する被爆者の方々に支援を行うために制定された「原子爆弾被爆者に対する援護に関す る法律」も、施行から20年を迎えました。引き続き、保健、医療、福祉にわたる総合的な援護施策を、しっかりと進めてまいります。
特に、原爆症の認定につきましては、申請された方々の心情を思い、一日も早く認定がなされるよう、審査を急いでまいります。
結びに、亡くなられた方々のご冥福と、ご遺族並びに被爆者の皆様のご多幸をお祈り申し上げるとともに、参列者並びに広島市民の皆様のご平安を祈念いたしまして、私のご挨拶(あいさつ)といたします。
平成27年8月6日
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長崎宣言 ↓
本日ここに、被爆七十周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が執り行われるに当たり、原子爆弾の犠牲となられた数多くの方々の御霊(みたま)に対し、謹んで、哀悼の誠を捧(ささ)げます。
そして、被爆による後遺症に、今なお苦しんでおられる方々に対し、衷心(ちゅうしん)よりお見舞いを申し上げます。
あの日投下された原子爆弾により、長崎の地が、草木もない焦土と化してから70年が経(た)ちました。当時、7万ともいわれる、あまたの貴い命が奪われました。惨禍の中、生き永らえた方々にも、筆舌に尽くしがたい苦難の生活をもたらしました。
しかし、苦境の中から力強く立ち上がられた市民の皆様によって、世界文化遺産と美しい自然に恵まれた国際文化都市が、見事に築き上げられました。
今日の復興を成し遂げた長崎の街を見渡すとき、改めて平和の尊さを噛(か)みしめています。そして、世界で唯一の戦争被爆国として、非核三原則を堅持しつつ、「核兵器のない世界」の実現に向けて、国際社会の核軍縮の取り組みを主導していく決意を新たにいたしました。
特に本年は、被爆70年という節目の年です。核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議では、残念ながら最終合意には至りませんでしたが、我が国と しては、核兵器国と非核兵器国、双方の協力を引き続き求めつつ、「核兵器のない世界」の実現に向けて、一層の努力を積み重ねていく決意です。この決意を表 明するため、本年秋の国連総会に新たな核兵器廃絶決議案を提出いたします。
8月末に広島で開催される包括的核実験禁止条約賢人グループ会合並びに国連軍縮会議に続き、11月には、パグウォッシュ会議がここ長崎で開催され ます。更に来年には、G7外相会合が広島で開催されます。これらの国際会議を通じ、被爆地から我々の思いを、国際社会に力強く発信いたします。また、世界 の指導者や若者が被爆の悲惨な現実に直(じか)に触れることを通じ、「核兵器のない世界」の実現に向けた取り組みを前に進めてまいります。
今年、被爆者の方々の平均年齢が、はじめて80歳を超えました。高齢化する被爆者の方々に支援を行うために制定された「原子爆弾被爆者に対する援 護に関する法律」も、施行から20年を迎えました。引き続き、保健、医療、福祉にわたる総合的な援護施策を、しっかりと進めてまいります。
特に、原爆症の認定につきましては、申請された方々の心情を思い、一日も早く認定がなされるよう、審査を急いでまいります。
結びに、亡くなられた方々のご冥福と、ご遺族並びに被爆者の皆様のご多幸をお祈り申し上げるとともに、参列者並びに長崎市民の皆様のご平安を祈念いたしまして、私のご挨拶(あいさつ)といたします。
平成27年8月9日
内閣総理大臣・安倍晋三
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どう読んでも、広島宣言には「非核三原則を堅持」という言葉はありません。
ところが、首相官邸のフェイスブックでは、広島では「非核三原則を堅持」との言葉を使って宣言したと発信しています。