ひろせ明子の市議日記

無所属・無会派。
市議として日常で見たこと・感じたことを綴っています。

特養待機者

2017年03月31日 | 福祉サービス

特養待機者問題

利用料が安く手厚い介護が受けられる特別養護老人ホームの「入居待ち」をしている高齢者があふれている。厚生労働省が27日に発表した調査では、都市部を中心に全国で37万人近くに上った。入居要件が厳しくなり、「隠れ待機者」の存在も浮上している。

 横浜市内に住む男性(64)は若年認知症で要介護5の妻(64)のため、6年前に5カ所の特養に申し込んだ。ところが、最も早い順番待ちで66番目。100番台もあった。

 「生活感のある特養が妻のためにはいいと思ったが、まさかこんなに待つとは思わなかった」

 妻が認知症専門の精神科病院に入っていた昨年7月、特養から「順番が近くなってきた」と面談を求める連絡があった。だが、妻は当時、誤嚥(ごえん)性肺炎で、特養に入居できる状態にはなかった。その後は療養病床に移り、今は特養に入れるよう回復を待っている。

 横浜市で特養「レジデンシャル常盤台」を運営する社会福祉法人「育明会」は今年5月、川崎市内にも特養を新設する。高橋好美常務理事によると、入居者の募集をしたところ、定員94人に対して申し込みは300人。4分の3が要介護3以上だった。

 ログイン前の続きサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など高齢者向けの住まいは増えている。ただ、サ高住の場合は家賃に加え、介護保険サービスを利用すると、使った分だけ利用料がかかる。一方、特養なら、要介護度に応じて利用料はあらかじめ決まっている。

 高橋さんは「要介護度が重くなると費用が払えず、特養に移りたいと希望する人も出てくる」と話す。

■特例知らず、申請ためらう人も

 特養の待機者は、比較的軽い要介護1、2で大きく減った。こうした人は2015年4月以降、原則として特養に入居できなくなった。ただ、認知症などの場合には入居できる特例もある。その特例を知らずに、要件を満たしていても申し込まない「隠れ待機者」も多いとみられる。

 東京都内のケアマネジャーの女性(61)が昨年末に担当した認知症の男性(91)は、要介護2で頻繁に徘徊(はいかい)の症状があった。妻(88)が自宅で介護していたが、徘徊の心配から妻の疲労も限界に達していた。

 妻は「要介護3以上でなければ入れない」と思い、申し込んでいなかった。ケアマネが特例の説明をすると申し込んだが、入居が決まらないうちに妻は転倒して入院。男性は、とりあえず郊外の有料老人ホームに入った。このケアマネは「老老介護は緊急度は高いはずだ。特例は利用者に知られておらず、申し込まずに諦めている人も多いのではないか」とみている。

 公益社団法人「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事は「特例は現実的には生かされていない。入れないなら他の介護サービスで乗り切ろうと、家族は必死だ。そうした人たちの数は、今回の調査で消えてしまっている」と指摘。東洋大学の早坂聡久准教授(福祉経営)は「依然として特養のニーズは減っていない。将来も見据えて地域ごとにニーズを丁寧に把握し、施設整備だけではなく、介護人材の確保もあわせて進める必要がある」と話した。(松川希実、及川綾子)


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