ダイアモンドオンラインでも書かれています。市は放置して良いのでしょうか?
https://web.smartnews.com/articles/2VxGbnYXFdN
先日、東京ディズニーリゾート(TDL)の着ぐるみなどで働いていた契約社員が、パワーハラスメントを受けたとして千葉地裁に提訴したことが、朝日新聞などで報じられました。過重労働を強いられたこと、会社組織がこれに対して防止義務を果たしていないなどの主張がなされているようです。
パワーハラスメントは、一般に、権力強者から弱者に行われるものですが、様々な形があります。もちろん現場の権力構造は無視できませんが、TDLの事例が示唆するのは、組織文化や風潮がハラスメントを引き起こす土壌になる、という危うさです。
東京ディズニーランドの光と影
言わずと知れた「夢の国」東京ディズニーリゾート。国内のテーマパークとしてはダントツの人気を誇ります。
このTDLが現在の地位を築いた要素の一つとして、そこで働く人々のモチベーションの高さは欠かせないでしょう。従業員を「キャスト」と呼称し、高いモチベーションを維持していることは、組織としては悪くはない状態です。しかし今回の問題は、こうした組織文化が度を超えてしまったことに起因するのではないでしょうか。
じつは2017年にも、TDLで着ぐるみのスタッフが労災認定を受けた事例があります。この前例を踏まえてみると今回の問題は、突然起こったものではなく、組織が徐々に変容しているという可能性もあります。(私は、この案件の相談を受けていました。)
権力構造に関係なく起こるハラスメント
TDLで起こったとみられるハラスメントは、本質的にはどんな組織でも起こり得ます。
近年のパワハラ対策に過敏な風潮が、上司と部下という関係を逆手にとったハラスメントにつながりかねないシーンもあります。
筆者は「新人指導のためのマネジメント研修」や「部下のメンタルヘルスをケアするためのライン研修」を行う機会が多くあります。「ハラスメント」に関する厳しい風潮も加わり、「あれしたらダメ」「こう言ったらダメ」というような制限が組織的にかかり、マネジメントの立場の人間に「部下の気持ちを受け止める」ことを求めます。結果、指示や指導がしづらくなっている現状もあります。
このように権力構造に関係なく、精神的な苦痛などをもたらすハラスメントのことを「モラルハラスメント」と呼びます。
続く