yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

老子

2010-04-01 06:53:48 | 文学
老子は道家の祖で、ギリシャのピタゴラスやインドの釈迦とほぼ同時代に、儒家の祖、孔子に先立つこと数十年、争乱相次ぐ戦国の世に生きた世界的な哲学者です。このことは2500年後の今日においても否定できないことです。
しかし、老子の実像は不明確であり、後世の学者によりその実在が否定されたり、その著書が偽託の書とされたりして、老子は謎に包まれた人物とされています。しかし、この伝説の人と道教は中国の庶民の民間信仰として、広く日々の生活に深く根付いています。それは儒教を越えていると言われています。
「史記」の「老荘申韓列傳(老子・荘子・申不害・韓非子の列傳)」によれば「老子ナル者ハ楚ノ苦縣レイ曲仁里ノ人也。姓ハ李氏、名ハ耳トイウ。」老子は周の守蔵室の史(書記)で、孔子も一目置いた人物であり、道徳の書、五千余言と著書十五篇を残し、160年とか200年あまりも生きたと書かれています。 

老子の第十八篇にある文を紹介します。

大道廃レテ仁義有リ
智慧出デテ大偽有り
六親和セズシテ孝慈有り
国家昏乱シテ忠臣出ズ

「訳」
道徳が廃れると仁義の観念が生まれる。
智慧が現れると、それにより偽りが生まれる。
父子、兄弟、夫婦の仲が悪いために親孝行、子への慈愛が生まれる。
国家が混乱すると忠臣が出てくる。

逆説的な言い方ですが、深い洞察に基づく一面の真理を鋭く突いています。

また、老子は、無為自然を主張しています。
人為を廃して自然であることが道に通ずる。無為自然は処世から統治にまで全てに通じるものと考えました。

    簡野道明  「史記文粋」 明治書院
山田 統  「老子」    角川書店 

                       
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする