yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

方丈記

2020-06-03 06:21:29 | 文学
鴨長明が鎌倉時代に書いた「方丈記」は、「枕草子」「徒然草」とならぶ名作です。鴨長明が生きた時代は戦乱や貧困のために世は無常であったと思われますが、現代も災害が多く、明日は何が起こるか予測し難い時代になりました。下記は、「方丈記」の有名な書き出しです。

ゆく河のながれは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまりたる例(ためし)なし。世の中にある人と栖(すみか)と、またかくのごとし。たましきの都のうちに棟を並べ、甍を争へる、高き、いやしき、人の住ひは、世々を經て盡きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家は稀なり。或は去年焼けて今年作れり、或は大家亡びて小家となる。住む人もこれに同じ。所も変らず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。朝に死に、夕に生るゝならひ、たゞ水の泡にぞ似たりける。知らず、生れ死ぬる人、何方より來たりて、何方へか去る。また知らず、仮の宿り、誰が爲にか心を惱まし、何によりてか目を喜ばしむる。その、主(あるじ)と栖と、無常を争ふさま、いはゞあさがほの露に異ならず。或は露落ちて花残れり。残るといへども朝日に枯れぬ。或は花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども、夕(ゆうべ)を待つ事なし。

「方丈記 日本古典文學体系」岩波書店

              



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