yoshのブログ

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尋胡隠君 高啓

2019-07-27 06:09:24 | 文学
明の詩人 高啓の絶句を紹介します。

尋胡隠君

渡水復渡水
看花還看花
春風江上路
不覚到君家

胡隠君ヲ尋ヌ

水ヲ渡リ復タ水ヲ渡リ
花ヲ看(み)還タ花ヲ看ル
春風江上ノ路
覚エズ君ガ家ニ到ル

「訳」
あちらで川を渡り、またこちらで川を渡り、
そして、あちらで花を眺め、またこちらで花を眺める
このようにして、ここちよい春風のそよ吹く川のほとりの道をのどかに歩いてうちに、
いつのまにか、あなた(胡隠君)の家にたどりついてしまったことだ。

「鑑賞」

高啓は明代第一の詩人で「小杜甫」の称があります。彼の詩は古人の長所を兼ね備え、南方的なしとやかさで美しい詩情と慷慨(こうがい)の意気に満ちています。しかし、皇帝・太祖の怒りにふれ、39歳の若さで刑死しました。著書に「高太史大全集」などがあります。
隠者を訪ねるには、それにふさわしい訪ね方があるようです。春風の吹くままに、花のさそうままに足が自然にそちらのほうに向く、というたずね方。そこに深い味わいが醸し出されます。なお、「胡」は姓、「隠君」は仕官しないで隠棲している人を言います。


コメント
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