yoshのブログ

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骸骨を乞う

2013-02-07 07:24:39 | 文学
「骸骨を乞う」は「史記 項羽本紀」にある古い言葉で、退官を願う時に使われたということです。この表現は、すべてを国家に捧げ尽くしたため今の自分はもう残骸に過ぎない、その残骸を引き取って引退したい、という場合に使われます。
保科正之公(初代会津藩主)は、見事に骸骨を乞うことのできる生涯を送りました。徳川家光公(3代将軍)と家綱公(4代将軍)に仕えて幕政を総覧し、老齢で失明同様になるまで職を辞すことがありませんでした。
「会津藩家訓」や「什の誓い」などで教育された旧会津藩士およびその子弟たちには、会津武士道をそれぞれの人生において実践し、「骸骨を乞う」ことのできた人物が多くいました。山川浩(陸軍少将、その他を歴任)、山川健次郎(東大総長になり、白虎隊総長と言われました)などです。毅然と生きて、毅然と死んだ立派な明治人でした。
 退職金の僅かな減額を惜しんで、神聖な職場を早期に辞するような教職員や警察官がいるそうです。
「骸骨を乞う」事とは対極にあるなさけない行動のように思われます。

      中村彰彦 「会津武士道」PHP研究所
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