yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

鼻濁音

2011-02-10 05:57:06 | 文化
日本語の発音の中に鼻濁音があります。「がぎぐげご」を、「んが、んぎ、んぐ、んげ、んご」と、鼻にかかったように発音するのが鼻濁音です。「が、ぎ、ぐ、げ、ご」が単語の冒頭にくる場合は普通の濁音でいいのです。たとえば「蛾、学問」などの「が」は、気にすることなく発音すればいいわけです。ところが「雨合羽」や「佐賀町」の場合は鼻濁音で発音しなければいけないようです。「銀行」の「ぎ」は普通の濁音ですが「代議士」の「ぎ」は鼻濁音でないといけないのです。「衆議院議員」ですと最初の「ぎ」は鼻濁音で、二番目の「ぎ」は濁音なのです。ちなみに近畿より東の地方の人達は自然に鼻濁音ができるそうです。ただし、群馬、埼玉、新潟の人は鼻濁音の発音があまりできず、九州、中国、四国地方の方言も鼻濁音の発音をしないそうです。私のような新潟出身の者は、普段、鼻濁音の発音をしないし、鼻濁音をしっかり聞き分けられないせいか、鼻濁音が存在していることさえ忘れています。一方、東京の人は鼻濁音に敏感で、無意識に正しく発音していると言われます。一般的には、鼻濁音を使った発音のほうがきれいであるとされており、NHKのアナウンサーなどは鼻濁音の発音をきちんとするように徹底的に教育されているそうです。
 こうした鼻濁音と、それを発音する地域との関係が、推理小説の謎解きの大きな鍵になっている優れた作品があります。鮎川哲也の『黒い白鳥』ですが、この推理小説の中には「警察の追求をかわすために殺された男の生前の会話の発音を聞いたある声優が、その男の出身地が東京であることを確信した」ということが書かれてあります。これが事件展開の重要な背景になっているのですが、警察官もなかなかそのことには気付かないというものです。 
さて、鼻濁音に敏感な東京人(横浜人も含む)の言葉にもおかしいと思うものがあります。「ひ」と「し」の発音が混同されることがあり、特に「ひ」から「し」になる傾向が強いことです。
潮干がり→「ひおしがり」。羊→「しつじ」となり、「執事」の意味になってしまいます。熾烈→「ひれつ」が「卑劣」になりますし、日比谷→「しびや」になると「渋谷」とも聞こえます。洒落にもならないほど可笑しいです。発音に自信のない田舎者の私は、東京人の弱点を見つけてニンマリしています。
コメント
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