山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

無農薬栽培の限界

2011-09-16 04:37:58 | その他

 

昨日、3カ月余ぶりにRVランドフルーツランチ(=果樹農園)に行ってきました。今回はあまりにも暑いので、作業するのは止めての表敬訪問でした。

3カ月という時間は、果樹や作物たちにとっては、相当に生育に力を与える時間であり、とくにこの暑い季節は彼らの成長のエネルギーを倍加させる時期でもあるようです。我が家の庭と同じようにメヒシバなどの雑草の類は、我がもの顔に至る所に蔓延(はびこ)っていましたが、3カ月前は苗からほんの少しの大きさだったトマトやナスなどの野菜類はもう立派に大人になってたくさんの実を成らせているのを見たり、1mほどの高さだった柿や栗などの幼木が50cm以上も伸びて、中には実をつけているものなどもあり、いやあ、植物たちの世界にも様々な変化が起こっているのだということを実感させられました。

久しぶりの再会の挨拶の後、園主のAさんの話では、数日目から突然毛虫の大群が発生して、桜やモモや李などの葉をあっという間に食べ出したということでした。それで、どのような対処をしたのか、木酢液などを散布されたのかとお訊きしましたら、もうそのようなレベルではなく、市販の殺虫剤を使用せざるを得なかったということです。

昨年から、無農薬・無肥料での果樹や野菜の栽培にチャレンジしてみようということで、それなりに工夫をしながら進めて来たのですが、どうやらそれには限界があるようで、解決方法を見いだせないままに継続をしていれば、大半の果樹の幼木が枯れ果ててしまう危険性が増したということなのです。この無農薬・無肥料栽培というのは、「奇跡のリンゴ」という青森県のリンゴ栽培農家の木村秋則さんの著書を読んで感動し、我々もチャレンジしてみようということで、木村さんの著書を何冊か読み、その中から幾つかの参考事項やヒントを得ながら昨年から進めて来たのでした。先ずは土壌の改良に取り組もうと麦や大豆などを植え、又消毒には木酢液を用いるなどして化学肥料や薬品を使用せずに進めて来たのですが、今回の虫の異常発生は、それらの努力の我慢の限界を超えるほどだったということでした。

今回の旅に出かける前に、園主のAさんとの話の中で、青森県を通る際に岩木山麓の木村さんの自然農法のリンゴ園を見てくるという約束をしたのでした。それで事前に木村さんのリンゴ園がどこにあるのかを教えて頂こうとメールでお願いしたのですが、全く返信を頂戴できず、余ほどにお忙しいのか、或いは秘密主義なのかと思ったのでした。特にご案内を頂いて見学させて欲しいなどという厚かましいお願いなどではなく、ちょっと写真を撮らせて頂くといった程度のお願いだったのですが、返信が無いのは、どうやら無視されたというように理解せざるをえませんでした。とにかく時間が無いので、著書に書かれている内容から推して、大体の場所の見当をつけてそこに行って見ることにして出発したのが6月の13日だったわけです。

無農薬・無肥料というからには、普通のリンゴ園とは何か異なる特徴が見られるのではないかと思いました。ですから現地に行って見れば、何かに気づく筈だと思ったのです。岩木山麓を囲んで走るアップルラインと呼ばれる県道を走って、およその見当をつけた場所の近くにキャンプ場がありましたので、先ずはそこへ行って木村さんのリンゴ園の場所を尋ねたところ、幸いにもこれがヒットして大体の位置と目印の樹木などを教えて頂けたのでした。何しろこの辺りはリンゴ園ばかりであり、一々リンゴ園の名前などを示す看板も示されていないため、さっぱり判らないのです。お聞きした目印を見当つけては車を停め、その傍まで行って見たのですが、どうも違うのです。人がいれば尋ねられるのですが、さっぱり見当たらないのです。何しろ広い農園なので、こちらの都合のいい場所で作業をしておられる方は少ないのでした。それでも何人かの方にお尋ねして、ようやく木村さんのリンゴ園と思しき場所に辿り着いたのは、それから30分以上も経った頃でした。

そこには弘前大学の実験農場である旨の看板が立っていましたので、間違いないと思いました。もし木村さんご本人がいらっしゃったらラッキーだなと思いましたが、さほど広いとも思えぬリンゴ園に人影は見当たらず、静まり返っていました。隣のリンゴ園との境にはかなりの高さのネットが張られており、これは虫たちの往来を防ぐものなのかと思いました。しかし、リンゴの木やその下草の状況などは、隣接するリンゴ園や、その他見て来た一般のリンゴ園と特に変わった様子は見られず、伸びているのではないかと思った下草もきれいに刈られており、成っている小さなリンゴの実も特段変わったところは見られません。実の方は収穫時で無ければ判らないのだと思いますが、それ以外の栽培プロセスに関しては何らかの特徴があるに違いないと思っていた自分にとっては、これは意外な景観でした。もしかしたら、新たな実験が始まっており、別の方法での栽培が行われているのかとも思った次第です。

果樹の栽培というのは、1年や2年で結果が出るものではなく、木村さんの著書でも8年以上の血の出るような努力の後でようやく辿り着いたものなのだということは承知しており、そのことを踏まえて目前のリンゴ園を見ていると、一見して判るものなど殆どないのだというのを思い知らされた感じがしました。虫の発生するタイミングや病気の発生するタイミングも良く解らぬままに、特に異常も見られぬ目前のリンゴの木や下草を見ていても、気づくものは殆どないことを思い知らされたのでした。

その翌日に、もう一人の木村さんという黒石在住の方のリンゴ園も訪ねたのですが、こちらも直接お会いすることができず、(何しろ行き当たりばったりでしたから)写真だけを取らせて頂きました。黒石の木村さんのリンゴ園は、一般の農法での栽培で、化学肥料や農薬の減量に努めての栽培をされている方なのです。しかし見た目には、先に見た木村秋則さんとの違いは全く判りませんでした。

二つのリンゴ園を見ての感想をAさんあてにレポートにして郵送したのですが、そこに書いた結論は、無農薬・無肥料の自然農法は良く判らないということでした。本に書かれていることと実際は全て木村秋則さんご自身のものであって、我々がそれを安易に真似しても決して同じ結果を得ることはできないのではないかという感想でした。RVランドフルーツランチは、リンゴ園ではなく多種多様の果樹を栽培しようとしています。そこに来る虫も病気も木によって必ずしも同じではなく、又そもそも基盤である土壌そのものも青森県とは異なっており、この地に適ったやり方を開発しない限りは木村さんと同じことをやって見ても、我々の人生の残りの時間では間に合わないという所感です。何にしろAさんも私も同い年で古希を過ぎているのですから。

ということで、Aさんとのその後の話では、無理に自然農法に捉われることなく、現代農業の良いところは取り入れ、できる限り環境破壊につながるようなやり方を避けながらやってゆこうということになったのでした。ま、落ち着くところに落ちついたということなのかもしれません。木村秋則さんの農法を否定するものではなく、尊敬はしているものの一般化は難しく、我々にとっては限界があるということをはっきり自覚して、サル真似を止め、我々なりのやり方をつくってゆこうと確認したのでした。

 

(たくさん写真を取ってきたのですが、持参したポータブルHDDを壊してしまい、バックアップを取らないでいたため、データを取り出すことができず、ここに掲載できないのが残念です)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« いばらきヘルスロードを歩く | トップ | 天災地変と人災加速の時代 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

その他」カテゴリの最新記事