山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

コンサートに行く

2012-11-17 05:49:57 | 宵宵妄話

  昨日(11/15)、久しぶりにコンサートに出掛けました。久しぶりというよりも、珍しくといった方がぴったりかもしれません。守谷に引っ越して8年となりますが、初めての出来事でした。以前東京に住んでいた時は、結構いろいろなコンサートなどに出掛けたものでしたが、今はさっぱりとなっています。家内に言わせれば、守谷はやっぱり田舎で、文化の香りの届かない場所ということになるようです。東京の浅草まで電車で30分ほどなのに、料金は東京圏の電車の2倍くらいの金額なのです。二人で往復すれば交通費だけで3千円を軽く超すことになりますので、なかなか足が向かないということになってしまい、それが続いていると、知らず田舎の臭いに染まってしまうことなるわけです。実際に風向きによっては、牛君たちの出し物の香りが漂って来るので、慌てて洗濯物を引っ込めるという世界ですから、文化の香りには遠いといわざるを得ないかと思います。

 冒頭から愚痴めいた話となってしまいましたが、昨日は初めてその停滞感を打破したという話です。コンサートはつくば市のノバホールという所で催され、出演は杉田二郎と南こうせつのお二人でした。フォークコンサートという奴です。馬の骨でもこの種のコンサートに出掛けるというのですから、驚かれる方もおられるに違いありません。ま、人は見かけによらず何とやらと言いますから、そのような物差しで見て頂ければご納得頂けるものと思っています。

 実のところ、自分にとっての歌といえば、これはもう歌謡曲・演歌が一番、その次が唱歌、そして聴くのであればクラシックやポピュラーということになります。ジャズにも少し愛着がありますが、それ以外の分野は、身を乗り出すほどの関心は殆どありません。フォークソングも、覚えているのは流行った曲をほんの少し、といった程度なのです。ましてや今のAKB何とかなどの喧騒曲の類(たぐい)は、全く自分の音楽の埒外(らちがい)で、どんなに煽りたてられても、心も体も少しも動きません。ま、老人の証拠というわけです。

 フォークソングというのは、何故フォークなのかが良く解らず、あれは元々民謡なのだろうと思っており、日本の民謡ならギターなどではなく、尺八や三味線でなきゃ邪道だくらいにしか思っていませんでした。アメリカ辺りの庶民の歌がフォークの意味なんだと理解すれば、少しは納得が進んだといった程度なのです。

日本のフォークソングは、概して民衆に聴かせるよりも自分で勝手に自分の思いを囀(さえず)っている感じが強くて、何となく気に入らない感じだったのです。しかし、中には自然と口ずさんでしまうようなものも生まれて来て、こんなのは良いなと思っている内に、早や50年近い時間が経ってしまっている様です。

杉田二郎と南こうせつのお二人は、元祖ジャパニーズフォークソングといった存在で、幾つかの名曲も持っておられ、自分勝手からは超越した、本物の聴かせる力を持った方たちです。杉田二郎さんの歌を直接聴くのは初めてでしたが、南こうせつさんは、以前に生の舞台を聴いたことがあり、それ以来のことでした。二郎さんは66歳、こうせつさんは63歳とか。お二人とも還暦を過ぎておられるのですが、身体も歌の力も衰えなどは微塵も見られず、いやあ、大したものだと感じ入った次第です。二郎さんはお孫さんが二人おられて、上の方はもう小学2年生となっているとか。日本のフォークソングも、歌い手が孫のことを目を細めて話しできるほどに、ここまで成長して来たんだなと、ある種の感慨に捉われたのでした。登場されて以来もう48年になるとか、歌の方は別にしても、お二人のトークには様々な思いが込められていて、聴衆の殆どが団塊世代中心の同世代とあって、首肯(うなずき)のどよめきが会場に溢れていました。

歌の方は、まあ、お二人ともいい声ですなあ。二郎さんのドスの利いたよく響く低音、こうせつさんの洗練された優しさの籠った高音は、夫々お二人の個性を際立たせて、良い調和に満たされたコンサートでした。こりゃあ、これからフォークソングという奴も少し見直さなければならんぞ、と、そのような気持ちになりました。登場してから50年近くも歌われ続けている音楽の分野は、これはもうそのポジションを確立したといってもいいと思いました。

聴衆の皆さんが、歌い手の案内で手拍子を打つのですが、バネ指の手術の完治していない自分は、とてもそのような恐ろしいことはできず、目を瞑(つぶ)ってそれらの音声に聴き入るだけでした。久しぶりにテレビなどとは違う、生きた人間の歌を聴いた時間でした。時にはこのような時間が、やっぱり必要なのだなとしみじみ思いました。杉田二郎と南こうせつのお二人には、これから先もこの世界のリーダーとして、70代を超えるまでも歌い続けて欲しいと思いました。

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