人間は意識を持つから、動物とは質的に違った知的能力をもっている、とよく言われます。しかし本当にそうでしょうか? 拙稿の見解では、意識を持つということは将来の変化を予測することと同じです(拙稿20章『私はなぜ息をするのか(4)』)。このような予測能力は人間以外の動物でも、ある程度は持っている。
チンパンジーやボノボは、餌の量が増えるまで食べるのを我慢することができる(二〇〇七年 ロサティ、スティーヴンス、ヘア、ハウザー『人類の忍耐力の進化的起源:チンパンジー、ボノボおよび成人の時間的選好』)。人間が将来の利益のために現在の苦労を我慢するのと同じように、チンパンジーは将来の利益のために二分くらい我慢できる。人間の場合は、将来の利益が十分大きいことが確信できれば、二日でも二年でも我慢できる。いずれにせよ、量的な違いはあっても、将来を期待する意識のようなものは、実はチンパンジーも持つ。数百万年前の類人猿共通の祖先もそれは持っていたといえそうです。
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