哲学はなぜ間違うのか

why philosophy fails?

二つの世界認識

2011年02月28日 | xx4世界の構造と起源

現在の人類が使っているこの二つ(ないし複数)の認知機構は、どのように進化してきたのでしょうか? 人類発達史の観点から推測してみましょう。

人類は(拙稿の見解では)、言語の獲得より以前から主に目的論・意図的行動による世界の認識(反自然主義)を使って協力行動を行っていたと考えられます。この目的論を使う世界認識は十数万年前ぐらいからの言語の発展によって客観的現実世界を作り出していきます。一方、この言語発展のすぐ後を追うように狩猟採集あるいは農業手工業の技術が高度に発展する過程で因果論による世界の描写(自然主義)もまた洗練されていき、こちら側からも客観的現実世界の存在感を作り出していった、と推測できます。

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矛盾する認知システムの採用

2011年02月27日 | xx4世界の構造と起源

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さきに述べたように、私たち人間は生まれつき、目的論による世界の見方と因果論による世界の見方と二つ(あるいはそれ以上)の認知機構を備えているようです。それらは互いに矛盾する認知システムを採用していて、それらにもとづいて作られる私たちの実用的理論は、互いに矛盾している。私たちはその矛盾に気がつかない。

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実用的理論の哲学的矛盾

2011年02月26日 | xx4世界の構造と起源

私たちが生活していく場面場面で、世界はそれぞれの側面を出してきます。人と交わる場面、獲物を追う場面、猛獣を防ぐ場面などは目的論を使うと便利です。一方、道具を使う場面、火や水を使う場面、あるいは石器や土器あるいは植物や動物の死体等の自然の物質を加工する場面などでは、因果論を使うと便利です。

それぞれの場面に対応して、私たちは目的論を使ったり因果論を使ったりする。私たちは、さらにきめ細かく、存在の理論や心の理論や[]の理論など実用的な理論を次々に使いこなしながら、現実世界の出方に対応してうまく動いていきます。そうして毎日うまく栄養供給システムにつながることが重要であって、世界の構造の二面性など、それぞれの実用的な理論の間に多少の哲学的矛盾があっても、それには目をつぶってうまく立ち回って生き抜いていけばよい、ということになります。

拝読ブログ:ブラッドリー『仮象と実在』6

拝読ブログ:『魔法少女まどかマギカ』第68話の感想

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世界の二面的な構造

2011年02月25日 | xx4世界の構造と起源

Gustav_klimt_027 世界は、いわばホットな目的論的な側面とクールな因果論的な側面との二面的な構造を持っている。そういう世界の二面性を知っている私たちは、自分たちも二面的に行動することで世界のこの構造に対応してうまく栄養供給システムにつながっていきます。

世界は二面的な構造を持つ。すなわち目的論的に意図的行動によって推移していくような側面と、因果論あるいは場の理論にしたがって(自然に、無目的に)推移していく側面とです。この二つの側面の間に調和はありません。互いに独立で無関係です。厳密に言えば、互いに他を否定しなければならないという意味で矛盾しています。

拝読ブログ:原始人的本能が生む矛盾

拝読ブログ:オープンなカプセルオフィス(pons + huot)

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物質的知識の必要性

2011年02月24日 | xx4世界の構造と起源

ところが、人類の生活技術が発達してくると、食料を保存したり道具を作ったり戦争したり移住したり自然災害に対応したりしなければならない場面も多く出てきます。そういう場面では、人間や動物以外の物質、植物や非生物、自然現象などを自然の法則に従って操作する必要があります。相手が人間でもなく動物でもない場合(たとえば木石、土、空気や水の場合など)、その動きが目的論的に意図的行動によって推移していくと思うだけではうまく操作できません。むしろ、因果論あるいは場の理論、あるいは物質的知識や工作技術や科学を使って論理的に世界の推移を予測して行動するほうがうまく栄養供給システムにつながることに成功する。世界はこういう面も持っていることに私たちは気付くことになります。

拝読ブログ:10-1月の読書:自然科学・医学

拝読ブログ:「自然」と「人間」

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