善福寺の崖が武蔵野台地の東端である、と先ほど言い切ってしまいましたが、ちょっと不正確です。実際の地形は、この麻布通にそって走る古川が台地東端部を少し削ってしまったために、さらに東に小さな高台が残ってしまっています。仙台坂の坂下である二の橋交差点を直進して二の橋で古川を渡り、その高台へ上る坂を日向坂といいます。その坂の頂上に、一九一三年ジョサイア・コンドル設計により建てられた華麗な綱町三井倶楽部本館があります。そこから東に下る坂は綱の手引き坂と名付けられています。この坂下を南北に走る両側三車線の幹線道路が桜田通りです。その東側には芝の市街地が広がり、真っ平らな土地ですから、この高台が、まさに武蔵野台地果ての東端です。この坂の中腹に二〇一四年竣工したザ・レジデンス三田マンション建替組合の役員を筆者は務めていましたが、竣工まで坂名の由来を知りませんでした。調べてみて、酒呑童子を退治した渡辺の綱が手を引かれたという伝説からきている由緒ある坂名と知り、今は誇りを持っています。
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