大した理由もなく、私たちは知っている人のことをふっと思い出します。その思い出す人が死んでしまった人か、生きている人か、の違いで思い出すときの感覚は違います。
同時代に生きている、今生きている人を思うことは、死んでしまった人を思うことは根本的に違うところがあります。生きているということは、これから何かをするということです。何かをするか、何もしないか、の違いは決定的です。死んだ人は何もしないだろうと確信できますね。私たちから見てその人はもう絶対に何もしないだろうと確信できること、それが私たちにとっての、その人が死んだということの意味です。逆にいえば、私たちがその人は何かをするだろうと思えるということが、その人がいま生きているということでしょう。
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