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哲学はなぜ間違うのか

why philosophy fails?

ライオンの仕事を分析

2009年12月16日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

Gerome_corinth

さてここで、人間の目的行動を論じる準備段階として、哺乳動物が使う目的行動を調べてみましょう。

たとえば、ケニヤの草原でライオンがシマウマを襲う、という場面がある。

ライオンとしては、自分がシマウマに飛びかかっていく運動のシミュレーションを身体の中に持っています。

シマウマを見つける→追う→シマウマの尻が目前に見えるまで追いつく→思いっきり飛びつく→背中に飛び乗る→頚動脈を噛み切る→倒れたシマウマを食べる

ライオンの仕事はざっとこのような流れになる。これらの各プロセスでどの筋肉をどの順序で使うかというシミュレーションがあらかじめライオンの身体の内部にインストールされているはずです。

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他人の目的を推察

2009年12月15日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

そのまた上層は、それぞれの運動シミュレーションを要素として連鎖的に構成されるマクロな行動のシミュレーションとなっている。これは(X,Y)、つまりXがYをする、という形式のシミュレーションです。XとYが直接目の前にある身体の動きである場合は、人間以外の動物もこの形式を使います。人間も、もちろん、これを使う。人間と動物が共通に使うのは、このあたりまでの予測システムです。

人間は、さらに上の階層として付け加えられた上位の予測ミュレーションを使う。他人の行動の目的を推察する仕組みを使って、自分を含めた人間の行動を上位の目的概念に対応させる。比喩を使い状況の抽象化を使って(自分を含めた)観察対象の行動の結果を予測し、目的概念を使ってその行動意図として表現していく。さらに、抽象概念を組み上げて、上へ上へと大きな目的を目指す階層構造としての目的構造を作っていく。

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目的概念の階層構造

2009年12月14日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

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私たちが使う目的構造は動物の運動目的イメージをまったく別のものに置き換えたというものではなくて、(拙稿の推測によれば)それと階層関係になっている。

運動目的イメージを基底構造としてその上に、いわゆる人間のいう目的概念の形式を階層構造として積み重ねることで目的階層構造が作られる。それぞれの階層は共有される予測シミュレーションによって統合されています。その最下層をなす運動の具体的なイメージは、身体各部の筋肉の制御信号でしょう。そのすぐ上の層は、身体の形の変形と変形速度を表現するシミュレーション。そのまた上層は、身体移動の運動シミュレーションを表現する。

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他人の目的を推測→自分

2009年12月13日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

比較心理学や発達心理学の実験観察によると、言語能力のない猿や人間の赤ちゃんにも、他人の行動の目的を推測する能力があるらしいという報告がされています(二〇〇八年 ジャスティン・ウッドル、マーク・ハウザー『人類以外の霊長類における行為把握:運動シミュレーションか推測法か』)。人がしている行動を見てその目的を推察する能力は、人間の進化過程でもかなり基礎的なものであるようです。このことから考えると、目的を定めて行動する私たちの身体の仕組みは、他人の行動の目的を推察する仕組みから来たものではないか、というヒントがありそうです。

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将来を予測し期待する脳

2009年12月12日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

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人類の脳も、(拙稿の推測によれば)類人猿の脳から構造的に変わったわけではなく、使い方が変わったということでしょう。使い方の変化に適応進化して神経細胞の密度分布は変わったようですが、脳の組織構造は変わっていない。ここで考察している行動の目的に関しても、それは同じことでしょう。

類人猿共通の祖先から現生人類への進化の過程で、意識能力は大きく発展した。将来を予測し期待する脳の働きは質的には変わっていないが、量的にはずっと強力になったということでしょう。

もっと一般的にいえば、猿など動物の行動を形成する機構に使われている運動目的イメージの使い方をほんの少しだけ変えれば、くるりと転回が起こって、人類が使う抽象的目的概念になっていくものと考えられます。

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