哲学はなぜ間違うのか

why philosophy fails?

気分が理解できる

2008年08月31日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

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たとえば、Aが腕を組むと、それを見ているBの頭の中で自分が腕を組む身体運動‐感覚受容シミュレーションが作られる、というような例です。Bの脳内には、このとき、腕を組むという仮想運動の形成に伴う体性感覚や自律神経系の反射を通じて感情機構の反応が発生する。この仕組みで、Bは、腕を組んだAの気分が理解できる。たとえば、Aが腕を組んで頭をそらした姿勢をとるのを見たBは、直感で「Aは、私に不信感を持っているらしい」と感じる。

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身体感知による運動伝播

2008年08月30日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

この仮想運動は、(拙稿の見解では)、脳内の神経活動だけで完結する場合は少なくて、身体全体の機構を巻き込む。つまり、シミュレーション形成を引き金として脳と身体末端との間で信号のやり取りが始まる。さらには、身体が接触する外部環境、たとえば、地面、建物など構造物、道具、風景、他人の姿、動作、音声、画像、文字、などなど、と情報をやり取りする。

脳におけるこれら仮想運動の形成は、自律神経系と身体運動系の神経活動による微弱な筋肉緊張(たとえば、手に汗を握るとか、むかつくとか、つばを飲み込むとか、鼻の穴を広げるとか、眉間にしわを寄せるとか、目が笑うとか、貧乏ゆすりをするとか)を引き起こすことで体性感覚にフィードバックされる結果、感情機構を駆動する。

自分の身体が反応することによる体性感覚の変化によって、BはAの運動形成過程の存在感を感知する。同時にBは、Aが不安、あるいは安心、あるいは、快、不快などを感じていることを感知する。Bの内部で、感情機構の反応はさらに、次の仮想運動シミュレーションを呼び出して次の感情反応を引き起こす。仮想運動と感情とのこのサイクルは回り続ける。このような神経活動により、Bの脳は、Aの脳がした活動を引きついで、それを擬似的に再生して経験する、といえる。

この現象は、AがBの運動の外見を、視覚聴覚で観察することで脳神経状態を表す情報がAの脳からBの脳に伝播した、とみなすことができる。実際は正確な運動のコピーは作れず、多くの錯誤も含んで変形したシミュレーション信号が作られるのですが、これを一応、運動信号の(仮想的な)伝播といってよいでしょう。私たちが、目と耳で見えて聞こえる相手の身体の変形と運動を知覚することだけで、この伝播は行われる。

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運動形成プロセスのコピー

2008年08月29日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

Chasseriau_tepidarium

さて、言語が私たちの間で共有される仕組みは、具体的にどのようなものなのか? 少し詳しく調べて見ましょう。

工学的に見た場合、人間の言語活動は、一種の情報伝達システムです。しかし、データ通信のように文字や数字自体を伝達するのではなくて、視覚と聴覚を通じて運動形成プロセスを、人から人へ伝播する。そうすることで、言語は、私たちにとって重要な情報の意味内容を圧縮して効率よく伝達できる。

目の前に馬がいないとき、馬という言葉が通じない外国人に、馬のことを伝えるにはどうすればよいか? 紙と鉛筆を準備して、上手に馬の絵を描けば、通じるでしょう。しかし、時間がかかる。それよりは、ジェスチャーで、手綱を握って馬にまたがって走る動作を見せれば、手っ取り早い。

そもそも、言葉を使わなくても、人間は、視覚聴覚で、他の人間の動作を観察することで、その動作を作り出すその人の内部状態を感知する。この現象を、二人の人間の間で内部の運動形成プロセスが伝播する、とみなすことができる。まず、その伝播の仕組みを詳しく見てみましょう。

二人の人間を考えて、A、B、と名をつける。Aの内部の運動形成回路がある運動信号を形成する、とする。その信号はAの神経細胞の電位変化パルスとなって運動神経経路に沿って遠心的に伝播し、目標筋肉の電位を変化させることで筋細胞の分子を収縮させて身体の変形や移動を起こす。Bは、Aの身体の変形と移動、その表情や視線の変化、あるいは手足指の屈伸、など身体の外形変化を見たりそれが発する音を聞いたりする。

Bは、Aの運動によりBの視覚、聴覚に発生して求心的に伝播する感覚信号を情報処理して、(拙稿の見解では)過去に学習した身体運動‐感覚受容シミュレーションを自動的に想起し、自分の運動形成回路を無意識のうちにそれに共鳴させる。その結果、Bの内部に、Aが実行した運動形成プロセスを真似てなぞったように組み立てられた身体運動‐感覚受容シミュレーションによる仮想運動の信号が発生する。この仮想運動は、Aが実行した運動形成プロセスのコピーといえるが、正確な複製ではない。相当量の情報は失われていて、その代わりに多くの雑音が加わっている。それでも、実用上、役に立つ程度のイメージとしては伝わっていく。

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拝読ブログ:だからオレは泌尿器科医でおしっことちんちんの医者なんだってば! | ねずみ年、AB型、四緑木星、47歳、山羊座、不信心もの。

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言語が世界のすべて?

2008年08月28日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

はじめは目の前の物質現象だけを表わしていた言語は、仮想運動を駆使することで遠くの物質現象を表現できるようになり、さらに発展して、人間どうしが共感できる想像や空想や錯覚や感情や抽象概念なども、表現するようになる。言語技術はさらに発展し、物質現象の比喩や生成的な構文音韻構成などを利用して、ますます自由に、複雑な共有シミュレーションを作り出し、新しい存在感を作り出して、仲間と共有することができるようになっていった。それらは、文化共同体の目に見えない共有財産となり世代間を引き継がれていく。結局、人間は、文化共同体の内部で、仲間とともに感じたり、想像したり、空想したりすることができる膨大な数の物事を、不自由なく言語で表現するようになる。そうなると、ついには、言語で表現できるものが世界のすべてだ、と思い込むようになる。

こういうものが(拙稿の見解では現状の)人類の言語(自然言語)です。

拝読ブログ:他方、IEn tertainerDyingEmber

拝読ブログ:『おやすみプンプン 1~3』 浅野いにお 

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言語の飛躍的発展

2008年08月27日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

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XXも○○も、それが表現する物事に関して人々が集団で共鳴運動を繰り返す場合に、言葉になる。原初的な言葉の作られ方は、たぶん、実際に仲間の動きに追従して自分の身体を動かす直接的な共鳴運動から始まったのでしょう。目の前の物質現象を指しながら、人々が互いに身体を動かして共鳴運動をすることで、物質現象に対応する身体運動‐感覚受容シミュレーションを共有することができる。それを発声に対応させて、言葉が作られる。

次の段階では、目の前に見えない遠くの物質現象、あるいは過去や未来の物質現象を表現する仮想の共鳴運動が作られるようになる。これは、仮想運動ができるようになるからです。この場合、ジェスチャーなどでもいくらかはできますが、言葉を使うと飛躍的に便利になる。こうなると、共鳴運動に対応する言葉を発声することで、実際に身体を動かさずに脳内で身体運動‐感覚受容シミュレーションの想起、連想、連鎖などの操作ができるようになる。こうして、言語は、目の前の物質現象から離れて、自由に想像の世界を表現できるようになった。

拝読ブログ:もーきちの空想世界旅行

拝読ブログ:あっかんべぇ、ジェスチャー♪

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