そういう場合でも、「青い目の遺伝子は存在する」と言ってよかったのでしょうか?
目で見える物質現象としては、エンドウ豆の色や形、あるいは人体の色や形が親から子へ受け継がれるらしい、という観察データしかなかった。科学で説明できる現象としてはメンデルの法則や、卵子と精子の合体や生殖細胞染色体の減数分裂くらいでした。二十世紀前半では、そういう知識の上に、遺伝子という抽象的な概念が作られていた。
その時代(筆者が生まれた一九四〇年代)青い目の遺伝子は、存在していたといえるのだろうか? たしかに戦後の日本には進駐軍のGI(米兵)さんたちが闊歩していた。黒い人もいたし、金髪で青い目の軍人さんもたくさんいました。日本人女性との混血児の話もよくあったころです。生物学者でない一般の人の常識でも、青い目の人は青い目の親から生まれたのだろうな、と思っていました。「親から子へ血が受け継がれる」という言い方をしていた。今でもふつうの会話ではそう言っていますね。それは神秘ではあるけれども事実である、と思われていた。だれもがそう思っていた。そう思うことで、話が通じていた。こういう場合、やはり(拙稿の見解では)、「青い目の遺伝子は存在する」と言えるでしょう。
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