化け物はこの世のものではない。だから化け物なのであって、物質世界に属するものではない。つまり、客観的な物質現象ではないから、だれの目にも見えず、もちろん手で触ることはできない。それでは、そういうものは、全然意味がないのか、というと、そんなことはない。その言葉が、広く、人々に使われている以上、意味はある。はっきりした意味がある。それは、この言葉が、どういうふうに使われているか、ということです。それでは、この言葉は、どういうふうに使われているのでしょうか?
「化け物」という言葉を使って私たちが何かを語るときは、どういう場合なのか? 客観的な物質を指して、それについて語りたい、という場合ではない。たいていは、ただ、うまい具合に仲間どうし会話が続いていけばよい、という場合でしょう。たとえば、「あいつは化け物だよ」と言って、にやっと笑う。それを聞いた仲間は、皆いっせいに、にやっと笑う。だれもがそうするとすれば、それが、「化け物」という言葉の意味といえる。そして、何度も使っているうちに、その言葉はそれなりの存在感がでてきて、だれもが、「化け物」という言葉はどんなとき使うか分かった、と思うようになる。それが、実は、「言葉の意味」というものの意味です。
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