目の前で動くものが、仲間の人間の場合も、動物の場合も、無生物の場合も、私たちがその動きを認知する場合、(拙稿の見解では)擬人化によって、同じ仕組みが使われる。つまり、私たちが物事の動きを認知する場合、注目する物事XXの内部に○○をしようという欲望、意志、意図が湧き起こり、それが原因となって身体が動いて○○という行動が起こる、と感じる。○○という動きの存在感は、そのときの自分の(感情運動など)身体反応で表現される。逆に言えば、物事の変化を見て、それがこの体内プロセスで捉えられるとき、私たちはその物事を意識的に認知する。
ロケットが、怒り狂って、天に昇る。打ち上げを目撃してそう感じる原始人は、そのとき(拙稿の見解では)ロケットに乗り移って、ロケットになった自分の身体を駆動して空中を駆け上がる。そういう仮想運動を脳内で形成する。その仮想運動の信号は、アドレナリンを分泌して、彼または彼女の心拍数を上げ、両脚の伸筋を緊張させる。その(内臓感覚、筋肉感覚など)体性感覚が脳にフィードバックして、怒りの感情を引き起こす。その感情をロケットの行動の原因と捉える(擬人化)神経機構の働きで、原始人は「ロケットが、その内面で怒りの感情を発生させ、それが原因となって天に昇るという行動を起こしている」と思い、「XXが○○をする」という言語表現を使って「ロケットが天に昇る」と言う。