日本のはるか東、太平洋のどこら辺かは分かりませんが、小人国、巨人国、空飛ぶ島ラピュタなど果てしない漂流を続けたガリバーは、最後に日本まで船で十五日かかる東洋の国ラグナム王国で不死の老衰人間の集団を見つけます。
「彼らは私が目撃した最もおぞましい姿をさらしていた。女は男より恐ろしい。高齢による変形に加えて年齢に比例するなんというか化け物的風貌がある。数人いたが年齢差が百歳とか二百歳なのでだれが最年長かすぐに分かる。
読者は、私の見聞から、永遠の生命への私の情熱が急減した故を理解できると思う。どんなに無慈悲な死でもよいからこのような生からは逃れたいと思うようになった次第である。(一七二六年 ジョナサン・スウィフト『ガリバー旅行記 Travels into Several Remote Nations of the World, in Four Parts. By Lemuel Gulliver, First a Surgeon, and then a Captain of several Ships』訳筆者)」