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哲学はなぜ間違うのか

why philosophy fails?

洞窟の壁に映る影

2011年09月11日 | xx6「する」とは何か

科学が描く物質世界と私たち人間が感じ取る現実との関係は、光と影のようです。光があるから影がある。影があるから光があると分かる。物質が実在するから私たちがそれを感じ取ることができる、ともいえる一方、物質は、私たちの感性がそれがあると感じるからある、ともいえる。

どちらが光でどちらがその影かは決め付けることができません。私たちの知識が足りないからそれを決めつけることができないのではなくて、そういう問題は、そもそも問題になっていないといえます。いずれにせよ、私たちは(プラトン以来)洞窟の壁に映る影しか見ることができないし、その洞窟から脱出することは決してできない、というべきでしょう。

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物質‐言語‐現実

2011年09月10日 | xx6「する」とは何か

Godwardf 拙稿の見解によれば、「~する」という図式を使う私たちの日常言語(自然言語)が表現できる世界だけが現実である、ということになります。もしそうであれば科学が描くような構造を持った物質の世界は、現実そのものとは違うことになります。科学が描く物質の世界は、私たちの身体が運動共鳴することで理解できるような言語に翻訳されて初めて現実になる、といえます。

たとえば、地球重力は、それが作用してリンゴを落とすことによって現実になる。DNA分子の分離エネルギーは、それが作用して受精卵から赤ちゃんを作り出すことによって現実になる。原子炉燃料が発生する核分裂エネルギーは冷却水(あるいは周辺物質)を加熱することによって現実となる。逆にいえば、「~する」という図式を使う日常言語によって翻訳されなければ、科学が描写し予測するような物質の変化は(拙稿の見解では)、私たちがここに感じ取っているような現実と見なすことはできない、といえます。

拝読ブログ:小川洋子・岡ノ谷一夫『言葉の誕生を科学する』

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すべてはバーチャル

2011年09月09日 | xx6「する」とは何か

たしかに現代の科学理論が描く物質世界はその中に私たちが感じ取っている現実をうまく埋め込むことはできる。しかしそうではあっても、その理由で科学理論の描きだす世界だけが現実だ、ということはできません。他にも私たちが感じ取っている現実をうまく埋め込む理論はあり得ます。たとえば、すべては神様のなせる業である、とか、すべてはバーチャルリアリティである、とか。それらの理論の中で現代科学理論が一番シンプルである、というだけのことです(一九一二年 バートランド・ラッセル『哲学の諸問題第2章 物質の存在

既出)。

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物質世界は影

2011年09月08日 | xx6「する」とは何か

Godwarderato 人類という動物種が進化の過程で発生させた「~する」という図式の日常言語(科学用語では自然言語という)は、人類にとって実用的で素晴らしい性能を持つ道具となっています。この道具は私たち人間の行動を取り囲む環境になっています。まさに、私たち人間は、「~する」という図式を使う日常言語の内部に埋め込まれて生きています。科学が描写する物質世界などは、(科学者以外の人々にとっては)日常言語を使う場合の例示や比喩の種になる程度の役割しかない、といえます。

このことを強調した言い方をすれば、日常使われる言語とそれを支える感性が(拙稿の見解によれば)人間にとっての現実の姿であって、私たちの身体を取り巻くこの物質世界は現実の背景に現れる影のようなものだ、といえます。私たち現代人はだれもが、ここに手で触れる物質世界が科学によって描写されるような構造を持って現実に存在している、と思っていますが、そのことも結局は私たちがそういう理論を信じている、ということでしょう(拙稿25章「存在は理論なのか?」

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次世代のコンピュータ

2011年09月07日 | xx6「する」とは何か

次世代のコンピュータ開発者は、もしかしたら、「~する」という図式を使うソフトウェアを発明してデジタル機械に埋め込むことができるかもしれません。デジタル機械は人間の動作や表情を観測してそれを「~する」という図式で表現する。デジタル機械自身、自らの動作を観測してそれを「~する」という図式で表現することもできる。その時には、コンピュータやロボットは人間関係を読み、人と心が通じ合う会話をするかもしれませんね。

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