最近の老舗の和菓子には、目で楽しむ和菓子や意表を突く創作和菓子がよく見られます。食べるほうのお客はもちろん楽しみですが、あれはきっと菓子職人の夢を形に表したものだとつくづく感心します。
昨日もらった「夢たまご」もそうです。見た途端に、何の変哲もないたまごに「ゆでたまご?」。でもあまりにも芸がないし「だったら温泉卵???」
たまごの上部にシールが貼ってあり、それをはがすと5,6ミリの小さな機械的な穴が・・・。中をのぞくとやっぱり白身が見えて・・・。食べ方がわからないまま、殻ごと横に切ってみるとやっぱりゆでたまご?
でもひと匙口に入れた途端にそれがお菓子であることがわかりました。白い部分は白身を使った硬い淡雪で、黄色い部分は黄身を使った餡。きっと2材料の濃度の特徴を生かして、こんなに完璧な卵を再現したのでしょう。材料の注入が小さな穴というのが、かえって想像をふくらませるお菓子です。意匠の楽しさ>味という、まさに夢を形にした和菓子でした。( 後でネットで調べると、お店は十花堂。食べ方は丁寧に殻をむいてから切るようです。)
京都清閑院の「花つぼみ」も然り。包装を解くと、花柚子が丸ごところんと出てきます。柚子の中身をくりぬいて蜜で煮て、その中に白い柔らかめの羊羹が入っています。丸ごと全部が食べられるのがなんとも嬉しいのです。
この店は、季節の果物や野菜をテーマにした和菓子が多く、「期間限定」という消費者の弱みを突いているところも人気の秘密かもしれません。
和菓子と緑茶。古来受け継がれてきたこの組み合わせはヘルシーだし、誇れる日本の味だと思います。