『人工知能って、そんなことまでできるんですか?』より 身体と学習、教育の役割 もう公教育は必要ない 人工知能はウェアラブルから人体直結へ?
もう一つ、教育の分野に一気に浸透する可能性があるツールとして、ウェアラブルデバイスも気になります。もう少し先の話としても、グーグルグラスのようなものを子どもたちが身に着け始めたら、それこそテストでも見た瞬間にグーグルグラスが答えを出している可能性もありますよね。そんなメガネを子どもたちがしていたら「電脳コイル」の世界ですが……。
それはあリ得ると思います。ただ、私はウェアラブル系がどこまで進展するのかは若干の疑問もあります。結局、人間が身に着けるものは、あまり変わらないですよね。いくら便利と言っても大差はなく、グーグルグラスとスマートフォンの何か違うかというと、手軽さ以外では、できることはだいたい一緒です。
最終的には、そこに何か革新的なものがあるかどうかで決まる。革新性次第でしょうね。
なるほど。グーグルのコンタクトレンズ、グーグルアイズは革新的かもしれません。スマートフォンは現代人のお守リだと考えてみると、昔の人も護符とかお守りを持っていて、答えが返ってくるか分からないですが、何かピンチになるとそこに問いかけたり、お願いしたりしていたわけです。そういった役割をいまはスマホとか、Siriのようなインターフェースが担っているのではないか、と。
それが今後、ウェアラブルになったとき、それこそグーグルグラス的なもので子どもたちがテストを見た瞬間に答えはもう出ていますとなった際には、もう答えるのをやめるんじゃないかという懸念があります。どうせ答えはすぐ出るでしょ、みたいな。
定型的な問題に対してはそうなるかもしれません。一方、答えが出る問題かどうかを調べるとか、むしろ答えが出なかったときにどう対処すればいいか、答えがある問題にどう変えるか。このあたりが人間のメタなところで、これから大事になることは確かでしょうね。
人工知能の世界でも極端な考え方をしますと、グーグルグラスとかグーグルアイズとかそういったウェアラブルデバイスだけでなく、そのうち人間の脳みそに直結してもいいではないかという話になると思います。ただし、先はどからのお話では、データはいったん数字に置き換えられて電気信号で処理されますから、システムとしての人間の脳とは違いますね。人間も究極的にはOと1の電気信号ではありますが。生体への侵襲か非侵襲かの問題もあり、人工知能と脳をくっつけるのは相当に難しいと想像しますが。
人間の脳の情報処理は、感覚器官が違っていても一様に同じ仕組みで処理できているのがすごいところです。そういったいろいろなデータに対応できる機能がありますから、実はセンサーやネットワークと直結したら、意外に人間の脳からは普通の世界に見える可能性があります。
たしかに認知機構としての脳は意外と汎用的かもしれません。ブレイン・マシン・インターフェースの最近の研究ですと、失明してしまった人の脳に電気的な刺激を与えることで、物の形とか色合いまでは分からずとも、だいたいの大きさとかは把握できるようになる視力の補完機器も出てきているようです。生命体と機械は、電気的刺激を介して少しずつ近づいている気がします。
それは言えますが、それで何かできるようになるの? という疑問もあります。ある意味、人間が使ってる言語は非常に効率の良いコミュニケーション方式で、一単語に多くの意味が入っています。私のニューロンの発火の状態を、五分とか一〇分とかそれくらいの時間で他の人に伝えることができるのは相当にすごいことなんですよね。
そうですね。漢字とか表意文字の機能は非常に優れたものがあって、英語のような表音文字の言語はあまり速くは読めませんが、表意文字の漢字は視覚的に意味が入ってきますから、ページ全体を見て読んでいくことができます。かなりの速読も可能です。
表意文字の速読のような機能が、脳と直結されることで入力が速くなることはあるかもしれません。しかし直結はせずに、人間の他の器官、視覚や聴覚というデバイスを通したほうが変換率は高い気がします。それで脳に直結しないとなると、やはリグーグルグラスになるのですよね。
いまの技術、環境では、やはりあの種のデバイスに行き着きますか……。
もう一つ、教育の分野に一気に浸透する可能性があるツールとして、ウェアラブルデバイスも気になります。もう少し先の話としても、グーグルグラスのようなものを子どもたちが身に着け始めたら、それこそテストでも見た瞬間にグーグルグラスが答えを出している可能性もありますよね。そんなメガネを子どもたちがしていたら「電脳コイル」の世界ですが……。
それはあリ得ると思います。ただ、私はウェアラブル系がどこまで進展するのかは若干の疑問もあります。結局、人間が身に着けるものは、あまり変わらないですよね。いくら便利と言っても大差はなく、グーグルグラスとスマートフォンの何か違うかというと、手軽さ以外では、できることはだいたい一緒です。
最終的には、そこに何か革新的なものがあるかどうかで決まる。革新性次第でしょうね。
なるほど。グーグルのコンタクトレンズ、グーグルアイズは革新的かもしれません。スマートフォンは現代人のお守リだと考えてみると、昔の人も護符とかお守りを持っていて、答えが返ってくるか分からないですが、何かピンチになるとそこに問いかけたり、お願いしたりしていたわけです。そういった役割をいまはスマホとか、Siriのようなインターフェースが担っているのではないか、と。
それが今後、ウェアラブルになったとき、それこそグーグルグラス的なもので子どもたちがテストを見た瞬間に答えはもう出ていますとなった際には、もう答えるのをやめるんじゃないかという懸念があります。どうせ答えはすぐ出るでしょ、みたいな。
定型的な問題に対してはそうなるかもしれません。一方、答えが出る問題かどうかを調べるとか、むしろ答えが出なかったときにどう対処すればいいか、答えがある問題にどう変えるか。このあたりが人間のメタなところで、これから大事になることは確かでしょうね。
人工知能の世界でも極端な考え方をしますと、グーグルグラスとかグーグルアイズとかそういったウェアラブルデバイスだけでなく、そのうち人間の脳みそに直結してもいいではないかという話になると思います。ただし、先はどからのお話では、データはいったん数字に置き換えられて電気信号で処理されますから、システムとしての人間の脳とは違いますね。人間も究極的にはOと1の電気信号ではありますが。生体への侵襲か非侵襲かの問題もあり、人工知能と脳をくっつけるのは相当に難しいと想像しますが。
人間の脳の情報処理は、感覚器官が違っていても一様に同じ仕組みで処理できているのがすごいところです。そういったいろいろなデータに対応できる機能がありますから、実はセンサーやネットワークと直結したら、意外に人間の脳からは普通の世界に見える可能性があります。
たしかに認知機構としての脳は意外と汎用的かもしれません。ブレイン・マシン・インターフェースの最近の研究ですと、失明してしまった人の脳に電気的な刺激を与えることで、物の形とか色合いまでは分からずとも、だいたいの大きさとかは把握できるようになる視力の補完機器も出てきているようです。生命体と機械は、電気的刺激を介して少しずつ近づいている気がします。
それは言えますが、それで何かできるようになるの? という疑問もあります。ある意味、人間が使ってる言語は非常に効率の良いコミュニケーション方式で、一単語に多くの意味が入っています。私のニューロンの発火の状態を、五分とか一〇分とかそれくらいの時間で他の人に伝えることができるのは相当にすごいことなんですよね。
そうですね。漢字とか表意文字の機能は非常に優れたものがあって、英語のような表音文字の言語はあまり速くは読めませんが、表意文字の漢字は視覚的に意味が入ってきますから、ページ全体を見て読んでいくことができます。かなりの速読も可能です。
表意文字の速読のような機能が、脳と直結されることで入力が速くなることはあるかもしれません。しかし直結はせずに、人間の他の器官、視覚や聴覚というデバイスを通したほうが変換率は高い気がします。それで脳に直結しないとなると、やはリグーグルグラスになるのですよね。
いまの技術、環境では、やはりあの種のデバイスに行き着きますか……。