未唯への手紙
未唯への手紙
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『「戦略力」が身につく方法』より 戦略を検証し、改善する力
「新製品は、なかなか売れない」
これは長年、ソフトウェア製品の仕事に関わってきて、私か身にしみて実感していることだ。
十数年前。私はマーケティングマネージャーとして、業界初の新技術を採用した製品を担当することになった。最初の顧客は、自社サービスを他社から差別化するためにこの製品の導入を決断した。初体験のことばかりで、導入・展開では顧客も私たちも大変な苦労をした。
しかしこの製品のセールスには、さらに大変な苦労をした。先進的な製品だったので、見込み客へのデモや説明の機会は多かった。しかし本格的に検討する顧客は二~三社程度で、なかなか増えなかった。普及に弾みがついたのは、最初の顧客か業務を開始し、大幅な売上増加という成果を出した後だ。「こんな実績があるのか! ぜひ採用したい」という、同じ業界の顧客か急増した。そしてそれは、他業界にも広がっていった。
私か担当した数多くの新製品がこのパターンだった。実はこれは、新製品が普及する際の典型的なパターンなのだ。
顧客の特性は、普及段階のどのタイミングでその製品を採用するかによって大きく異なる。一九六二年、社会学者エベレッ卜・M・ロジャース教授は、それぞれの顧客タイプに次のような名前をつけた。
【イノベーター(革新的採用者)】 新商品が出たら、即、買う。別名「人柱」ともいわれる。
【アーリーアダプター(初期採用者)】 「まだ普及していないけれど、役立ちそうだ」と思い、買う
【アーリーマジョリティ(初期多数採用者)】 「実績かあるし、大丈夫」と思い、買う。
【レイトマジョリティ(後期多数採用者)】 「そろそろ不便」と思い、買う。
【ラガード(無関心層)】 「それでも絶対買わない」と思い、一生買わない。
これは「イノベーター理論」と呼ばれている。面白いことにこの比率は二定で、イノベーターは全体の二・五%、アーリーアダプターは二三・五%、アーリーマジョリティとレイトマジョリティは三四%、ラガードは二六%だ。
重要なことは、「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」は早期に採用するので一見すると似ているが、実は行動は正反対だという点だ。アーリーアダプターは「まだ誰も使っていなくても、必要だったら買う」と考える。アーリーマジョリティは「まず、ちゃんと使っているのを見せて欲しい。話はそれからだ。効果か証明されていれば買う」と考える。
先の例では、他社に先駆けて、差別化するために採用した顧客はアーリーアダプター(またはイノペーター)だ。市場では少数派だ。一方で、事例か出た後に「実績かあるなら、ぜひうちも」と採用した顧客はアーリーマジョリティだ。
最初からアーリーマジョリティ(またはレイトマジョリティ)に売り込もうとしても、そして仮に彼らか興味を持ったとしても、ほとんどの場合は買おうとはしない。労多くして功少なし、なのだ。しかもこのグループは絶対に買わないラガードも加えると市場の八割強を占める多数派だ。だから新製品は、売ろうとしてもなかなか売れないのである。
鳴り物入りで登場した新製品か普及しないのには決まったパターンがある。
最初はイノペーターとアーリーアダプターが購入し、順調に売上か伸びる。しかしアーリーマジョリティは購入に動かない。そのうち売上か鈍化し、市場への普及か止まる。そして売上減少か始まる。最後には市場から撤退するのだ。
このようにアーリーアダプターからアーリーマジョリティの間、普及率一六%の部分に普及の「谷」がある。これか「キャズム」だ。キャズムとは英語で「溝」「割れ目」を意味する。順調に普及してきた新製品か突然落ち込んでしまう、まさに「落とし穴」だ。これは(イテク関連企業のバイブルといわれる著書『キャズム』で、マーケティングコソサルティング会社の代表ジェフリー・ムーア氏が紹介したモデルだ。
新製品では、キャズムを越えることか大きな課題なのだ。どの見込み客にどのような順番でアプローチするかか極めて大切だ。イノベーターやアーリーアダプターに対する戦略と、アーリーマジョリティに対する戦略は分けて考え、かつ、お互いに連携させる必要かある。
最初はイノベーターまたはアーリーアダプターに絞ってアプローチする。それ以外の見込み客は、手間がかかるばかりで成果は得られない。案件をチエックする仕組みを作り、思い切って売り込まないように徹底するのだ。
イノベーターまたはアーリーアダプターは、新製品か自分にとって役立つと考えれば、ある程度のリスクを負ってでも購入に踏み切る。そこで、先進的な技術情報を手厚く提供する。さらに導入顧客の効果を検証し、できるだけたくさんの事例を作り、顧客事例集にまとめる。
この豊富な顧客事例を基に、アーリーマジョリティを攻めるのだ。アーリーマジョリティに対しては方針を変える。技術情報よりも、顧客事例やサポート体制の整備・充実を伝える。メリットに加えてリスクも軽減できると納得できれば、購入に踏み切るからだ。
このように考えると、新製品発表時の方針をまったく変えずに継続すると、失敗する理由か分かるだろう。
「新製品は、なかなか売れない」
これは長年、ソフトウェア製品の仕事に関わってきて、私か身にしみて実感していることだ。
十数年前。私はマーケティングマネージャーとして、業界初の新技術を採用した製品を担当することになった。最初の顧客は、自社サービスを他社から差別化するためにこの製品の導入を決断した。初体験のことばかりで、導入・展開では顧客も私たちも大変な苦労をした。
しかしこの製品のセールスには、さらに大変な苦労をした。先進的な製品だったので、見込み客へのデモや説明の機会は多かった。しかし本格的に検討する顧客は二~三社程度で、なかなか増えなかった。普及に弾みがついたのは、最初の顧客か業務を開始し、大幅な売上増加という成果を出した後だ。「こんな実績があるのか! ぜひ採用したい」という、同じ業界の顧客か急増した。そしてそれは、他業界にも広がっていった。
私か担当した数多くの新製品がこのパターンだった。実はこれは、新製品が普及する際の典型的なパターンなのだ。
顧客の特性は、普及段階のどのタイミングでその製品を採用するかによって大きく異なる。一九六二年、社会学者エベレッ卜・M・ロジャース教授は、それぞれの顧客タイプに次のような名前をつけた。
【イノベーター(革新的採用者)】 新商品が出たら、即、買う。別名「人柱」ともいわれる。
【アーリーアダプター(初期採用者)】 「まだ普及していないけれど、役立ちそうだ」と思い、買う
【アーリーマジョリティ(初期多数採用者)】 「実績かあるし、大丈夫」と思い、買う。
【レイトマジョリティ(後期多数採用者)】 「そろそろ不便」と思い、買う。
【ラガード(無関心層)】 「それでも絶対買わない」と思い、一生買わない。
これは「イノベーター理論」と呼ばれている。面白いことにこの比率は二定で、イノベーターは全体の二・五%、アーリーアダプターは二三・五%、アーリーマジョリティとレイトマジョリティは三四%、ラガードは二六%だ。
重要なことは、「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」は早期に採用するので一見すると似ているが、実は行動は正反対だという点だ。アーリーアダプターは「まだ誰も使っていなくても、必要だったら買う」と考える。アーリーマジョリティは「まず、ちゃんと使っているのを見せて欲しい。話はそれからだ。効果か証明されていれば買う」と考える。
先の例では、他社に先駆けて、差別化するために採用した顧客はアーリーアダプター(またはイノペーター)だ。市場では少数派だ。一方で、事例か出た後に「実績かあるなら、ぜひうちも」と採用した顧客はアーリーマジョリティだ。
最初からアーリーマジョリティ(またはレイトマジョリティ)に売り込もうとしても、そして仮に彼らか興味を持ったとしても、ほとんどの場合は買おうとはしない。労多くして功少なし、なのだ。しかもこのグループは絶対に買わないラガードも加えると市場の八割強を占める多数派だ。だから新製品は、売ろうとしてもなかなか売れないのである。
鳴り物入りで登場した新製品か普及しないのには決まったパターンがある。
最初はイノペーターとアーリーアダプターが購入し、順調に売上か伸びる。しかしアーリーマジョリティは購入に動かない。そのうち売上か鈍化し、市場への普及か止まる。そして売上減少か始まる。最後には市場から撤退するのだ。
このようにアーリーアダプターからアーリーマジョリティの間、普及率一六%の部分に普及の「谷」がある。これか「キャズム」だ。キャズムとは英語で「溝」「割れ目」を意味する。順調に普及してきた新製品か突然落ち込んでしまう、まさに「落とし穴」だ。これは(イテク関連企業のバイブルといわれる著書『キャズム』で、マーケティングコソサルティング会社の代表ジェフリー・ムーア氏が紹介したモデルだ。
新製品では、キャズムを越えることか大きな課題なのだ。どの見込み客にどのような順番でアプローチするかか極めて大切だ。イノベーターやアーリーアダプターに対する戦略と、アーリーマジョリティに対する戦略は分けて考え、かつ、お互いに連携させる必要かある。
最初はイノベーターまたはアーリーアダプターに絞ってアプローチする。それ以外の見込み客は、手間がかかるばかりで成果は得られない。案件をチエックする仕組みを作り、思い切って売り込まないように徹底するのだ。
イノベーターまたはアーリーアダプターは、新製品か自分にとって役立つと考えれば、ある程度のリスクを負ってでも購入に踏み切る。そこで、先進的な技術情報を手厚く提供する。さらに導入顧客の効果を検証し、できるだけたくさんの事例を作り、顧客事例集にまとめる。
この豊富な顧客事例を基に、アーリーマジョリティを攻めるのだ。アーリーマジョリティに対しては方針を変える。技術情報よりも、顧客事例やサポート体制の整備・充実を伝える。メリットに加えてリスクも軽減できると納得できれば、購入に踏み切るからだ。
このように考えると、新製品発表時の方針をまったく変えずに継続すると、失敗する理由か分かるだろう。
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