未唯への手紙

未唯への手紙

SPIKESを使った患者さんとの対話 進行がんの告知後

2014年03月29日 | 7.生活
『看護師のためのマナー・言葉かけ・接し方ハンドブック』より バッドニュースと患者支援

「SPIKES」を用いたバッドニュースの伝え方を、現場での会話例から見ていきましょう。

ケースの内容

 患者Pt:大田さん(35歳)、女性。主婦で、同年齢の夫と7 歳の娘がいる。乳がん手術後、外来で定期的にフォローアップを受けていたが、検査で骨への転移が見つかり、先ほど 主治医から告知を受けた。

 看護師Ns:告知場面に同席し、その後の患者さんをフォロー する役割を負っている。

S:場の設定と聴くスキル

 病名告知後、医師は退室。その後、同室で患者と看護師の2名で面接。

 Ns:(2人になったので、少し近づいて90度の角度で座り直す)大田さん、ご気分はいかがですか? お話続けられそうですか。

 Pt:だいじょうぶです。

 Ns:佐藤先生からのお話は、ショックでしたね。

 Pt:そうですね……。

P:認識度を尋ねる

 Ns:(患者さんの表情を見守りながら、しばらく間を置く)先ほど先生から、検査結果について話がありましたが、よろしければ、先生の話について振り返ってみましょうか。

 Pt:はい、お願いします。

 Ns:まず、先生からの話はどのような内容だったか、覚えていますか。

 Pt:はい。骨にがんが転移したと言われました。

 Ns:(見守りながら少し時間を置いて)そうでしたね。今日のこの結果を聞くにあたって、どのように心の準備をされていましたか。

 Pt:はい。前回先生から、今日の外来受診日を決めるときに家族の同伴を勧められましたので、何か悪い知らせだろうとは思っていました。最近腰に痛みを感じるときがあるので、もしかしたら骨転移かもしれないとも思っていました。

 Ns:何か悪い知らせかもしれないと予想されていたのですね。

 Pt:ええ。

I:準備を確認する

 Ns:大田さん、今回の検査結果を聞かれて、先生の話でわかりにくかったことや、もう一度確認しておきたいことはありますか?

 Pt:はい。骨にがんが転移したということはわかったのですが、最後のほうで、完全に治すことはできないとおっしゃられていたような気がするのですが…。どういうことなのですか?

K:情報を提供する

 Ns:先生は、大田さんのがんはある程度進行しているとおっしゃっていました。つまり、残念ですが、「大田さんのがんは完全に治すということは、できない」と言われていました。

 Pt:(沈黙)もう治らないんですね。

 Ns:ただし、先生も言われていたように「進行したがん」だからといって、治療ができないということではありません。

 大田さんに対して、先生と治療法を相談しながら、私たちはできる限りのサポートを行っていきたいと考えています。

 Ns:だいじょうぶですか?(表情を見ながらしばらく間を置く)

 Pt:はい。治療はまだあるということですね…。

 Ns:よろしかったら、今一番気になっていることについて教えていただけますか?

 Pt:子どもがまだ小さいので、多少つらくても、一日でも長生きできる治療を受けたいです。先生にもそうお伝えください。

 Ns:わかりました。治療法については、次回に先生とじっくりと相談して決めていきましょう。

E:共感、気持ちを理解しようとする

 Ns:今日のことで、気が動転されていませんか?

 Pt:確かに気が動転してどうしたらいいか…(思いつめた表情で下を向く)。

 Ns:そうですよね。おつらいですよね。

 (しばらく間を置いて)これからも、大田さんのお力になりたいと思っています。

 どうしていくことが大田さんにとって一番良いか、今後も一緒に考えていきましょう。

 Pt:はい。ありがとうございます。

S:情報の要約と今後の方針を話し合う

 Ns:他に何かお聞きになりたいことはありますか?

 Pt:特にだいじょうぶです。

 Ns:では、来週の火曜日の9時にいらしてください。できれば次回はご主人にも一緒に来てもらえるといいですね。

 Pt:はい、わかりました。

 Ns:そのときは、また私も一緒に先生の話を聞かせてもらいますね。

 Pt:はい。お願いします。

 Ns:私たちは今後も大田さんをしっかりとサポートしていきます。何かありましたら、いつでもご連絡ください。

 Pt:はい、ありがとうございました。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿