一昨日のフランスでの核施設の爆発事故、
「人的ミスか」との報道があるけれど、その後の詳しい原因や状況は不明。
爆死した職員の遺体は炭化した、とされていた。
そうなのに、
「 仏核廃棄物施設の爆発事故、原子力当局は『事態収束』を宣言 」 したという。
スイスのグリーンピースは、情報の徹底公開を要求。
今時点での「その後」を記録。
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●核施設で爆発、1人死亡=放射能漏れなし、人的ミスか-仏南部
時事 (2011/09/12-23:30)
【パリ時事】フランス南部ガール県マルクールの放射性廃棄物処理施設で12日午前11時45分(日本時間午後6時45分)ごろ、爆発事故が起き、1人が死亡、4人が負傷した。現場付近に原子炉はなく、仏エネルギー省報道官はAFP通信に対し、事故による外部への放射能漏れはないと説明した。
仏メディアによれば、爆発が起きたのは仏電力公社(EDF)の子会社「ソコデイ」が運営する施設で、原発などで使う道具類や作業服など比較的低レベルの廃棄物を処理していた。バルブなど金属製の廃棄物を溶解する炉で爆発が起きた。詳しい原因は分かっていないが、仏紙ルモンド(電子版)は政府筋の話として、何らかの人的ミスがあったもようだと伝えている。
爆発に伴い火災が起きたが鎮火し、従業員らへの避難命令は出なかった。内務省当局者は仏メディアに、作業員は放射能ではなく爆発で死亡し、負傷者も被ばくしていないと話した。事故を受けて、コシウスコモリゼ持続的開発相が現場に向かったほか、政府系の放射線防護原子力安全研究所(IRSN)も要員を派遣した。
●「フランスの東海村」 多数の核施設集中
産経 2011.9.12 23:14
溶融炉爆発が伝えられたフランス南部ガール県マルクール周辺には多数の核関連施設が集中している。日本でいえば、原子力関連施設や研究所などが複合的に集まる茨城県東海村に相当する地区になっているという。
日本の専門家の一人は爆発の原因について「爆発した炉の大きさが分からないので、被害がどの程度広がるかは分からない。ただ、現時点では環境に大きな影響が出ているとの情報はないようだ」と話した。
原子力産業協会などによると、マルクール周辺の核施設の中心事業は使用済み核燃料の処理。原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を製造する施設や、低レベル放射性廃棄物を処理する施設がある。使用済み燃料の処理施設は1950年代に操業を開始したという。(共同)
●仏核廃棄物施設の爆発事故、原子力当局は「事態収束」を宣言
ロイター
[マルクール(フランス) 12日 ロイター] フランス南部ガール県マルクールの核廃棄物処理施設で12日に発生した爆発事故で、当局は爆発による放射能漏れは起きていないとし、仏原子力安全局(ASN)も事態は収束したと主張した。
施設を保有する仏電力公社(EDF)(EDF.PA: 株価, 企業情報, レポート)によると、爆発は同日午後1時過ぎ、低レベル核廃棄物処理センター(CENTRACO)施設にある核廃棄物を溶かす溶融炉で発生し、1人が死亡、4人が負傷した。
EDFによると、爆発は溶解炉内で収まったが、これまでのところ原因は分かっていない。施設内に原子炉はなく、警察など当局者は、施設外への放射能漏れはないとしている。また、地元の救急隊員によると、負傷した4人からも放射能物質は確認されていない。
EDF幹部は、事故について「典型的な工場災害」とし、国際的な原子力災害の評価尺度で下から2番目のレベル1に当たるとの見方を示した。
また、ASNは事態が収束したと宣言する一方、原因などの調査を開始。国際原子力機関(IAEA)は緊急事態対応センターを設置し、仏原子力当局に情報提供を求めている。
CENTRACOのウェブサイトによると、1999年から稼働する同施設では約350人の従業員が勤務し、核施設で使用されたバルブやポンプを溶解したり、可燃物を焼却したりしているという。
使用電力の75%を原子力発電所に依存するフランスは、東日本大震災に伴う東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原発事故を受け、国内にある原子炉58カ所のストレステストを実施している最中だった。
ASNの2010年の年次報告によると、CENTRACOでは2008年に一部問題カ所が見つかっている。ASNは安全強化に向けた行動計画を進めるよう促し、状況はその後改善したとしている。
●仏核施設爆発:職員の遺体、放射性物質は検出されず
毎日新聞 2011年9月12日 23時44分>
【パリ福原直樹】フランス南部ガール県マルクールにある低レベル核廃棄物処理施設「セントラコ」の溶融炉で12日午後0時半(日本時間同午後7時半)ごろ、大きな爆発が発生。炉の近くで作業をしていた施設職員1人が大やけどで死亡、4人が重軽傷を負った。遺体は完全に炭化したが、放射性物質は検出されていないという。
原発などを監督する仏原子力安全当局は過去数回にわたり、セントラコの運営会社に対して「(管理面などに)厳格さが足りない」との注意を与えていたといい、今回も人為ミスの可能性が取りざたされている。
原子力安全当局は「極めて低レベルの放射性物質が出た恐れがある」としながらも、爆発から約3時間半後には「事故は収束した」との見解を示した。仏原子力庁は、施設外への放射性物質の漏えいはないとしている。
現場は日本人観光客も多い観光地アビニョンから北約20キロ。
現地からの情報によると、爆発は低レベルの金属製核廃棄物約4トン(約6万3000ベクレルに相当)を溶融炉で溶かす過程で発生。溶融炉は建屋内にある遮蔽(しゃへい)された空間に設置されており、爆発で遮蔽壁が吹き飛んだものの、建屋自体に大きな損傷はなかったという。爆発で起きた火災は、発生から約30分後に鎮圧された。
セントラコは1999年に設立され、仏電力公社と仏原子力大手アレバ社が共同出資したソコデイ社が運営。ローヌ川沿いの広大な敷地に、核廃棄物の焼却処理施設と溶融処理施設などがあり、仏国内の原発から発生する低レベル廃棄物の35%を受け入れている。
◇セントラコ
フランス唯一の低レベル放射性廃棄物処理施設。高度情報科学技術研究機構の原子力百科事典「アトミカ」(06年版)などによると、溶融後の金属は遠心鋳造により遮蔽(しゃへい)金属ドラム缶やコンクリート容器の内張り材として利用され、高レベル放射性廃棄物遮蔽容器として仏国内の原子力施設に出荷されている。
●福島事故から教訓学ばず グリーンピースが批判 仏核施設爆発事故
産経 2011.9.13 11:20
フランス南部の低レベル核廃棄物処理センターで爆発が起きた事故で、国際環境保護団体「グリーンピース」は12日、事故が起きた施設がフランス当局のストレステスト(耐性評価)の対象外だったと指摘し、「フランス政府は、福島第1原発事故から何の教訓も学ばなかった」と批判した。AP通信などが伝えた。
福島第1原発事故を受け、フランスなど欧州連合(EU)加盟国は6月から全原子炉に対するストレステストを実施。グリーンピースによると、原子炉ではない同施設はテストの対象外で、フランス原子力安全局による直近の検査対象にも含まれていなかった。
グリーンピースは「フランスは『汚く危険な(核)エネルギー』と『近代的な再生可能エネルギー』のどちらかの選択を行う必要がある」と主張。ドイツのように「脱原発」路線にかじを切るよう求めた。(共同)
●フランスの核関連施設で爆発事故、スイスのグリーンピースが情報の徹底公開を要求
2011-09-13 15:06 swissinfo.ch
南仏ガール県のマルクールにある核廃棄物処理施設で9月12日正午前、爆発が起こり1人が死亡。重体の1人を含む4人が負傷する事故が起きた。
AFP通信によれば、爆発後の火事は12日午後1時に鎮火され、仏原子力安全委員会(ASN)が午後4時に緊急避難体制を解除。放射能も化学的汚染物質の漏れもないとしている。しかし、スイスのグリーンピースは、「何もなかったかのように事故を闇に葬らないため、フランスのグリーンピースと連携し、関係当局に爆発の原因を含む情報の徹底公開を求めていく」と話す。
電気製の溶融炉が爆発か
爆発事故は、南仏のアビニョンから約30キロメートル離れたマルクール(Marcoule)にあるフランス電力公社(EDF)の子会社ソコデイ(Socodei ) が運営する核廃棄物処理施設「サントラコ(Centraco )」で起きた。
放射性物質の管理や使用済み核燃料の再処理を行う同施設には約350人の従業員が働いている。爆発は、再処理を行う前に使用済み核燃料の容積を減らすために溶融を行う、電気製の溶融炉で起こったとされている。
溶融炉で働いていた1人は死亡。もう1人は全身に80%の火傷を負い、ヘリコプターでモンペリエ(Montpellier)の病院に運ばれた。
「従業員や周辺の住民を安心させるために」12日夕刻現地入りした仏環境大臣ナタリー・コスキウスコ・モリゼ氏は、「放射能漏れはない。心配する理由は全くない」と述べた。
フランス核関連施設の歴史上初めての死者
事故現場に最も近い外国、スイスのグリーンピース(Greenpeace Suisse)は12日、直ちにコミュニケを発表。「フランスの科学研究者からなる『独立した放射能情報・研究委員会(CRIIRAD)』の放射能測定には信頼を置いているが、この機関によると12日夕刻時点で、施設からの放射能漏れはなかった」としている。
しかし、フランスのグリーンピースによれば「今回事故を起こした施設はフランス政府が要求する核施設の検査を受けていなければ、仏原子力安全委員会が行った最近の検査リストにも掲載されていない」という。
これらを統合しスイスフランス語圏のグリーンピースの代表、マティアス・シーゲル氏は、次のように話す。
「結局、今回何が原因で爆発が起きたのか、また現在、施設内部で何が起こっているのかまったく分かっていない。しかし爆発は爆発だ。また、この事故はフランス核関連施設の歴史で、初めて死者を出したということも大きい。今後、フランスのグリンピースと連携し、情報の徹底公開を求めていく予定だ」
「なぜなら、フランスでは今までも今回の事故を上回る原発事故が起きたにも関かかわらず、すべてが闇に葬られてきた経緯がある。フクシマを契機にこの方向を変える機運が高まっているからだ」と語気を強めた。
里信邦子(さとのぶ くにこ), swissinfo.ch
●仏核施設爆発事故 原発大国での事故に波紋
産経 2011/09/13 01:36更新
【ロンドン=木村正人】東日本大震災の福島第1原子力発電所事故を教訓に、原発の安全強化に向けた行動計画案を協議する国際原子力機関(IAEA)の定例理事会(日米など35カ国)がウィーンで始まった12日、フランス南部マルクールの核廃棄物処理施設で爆発事故が起きた。日本の「原発安全神話」が崩壊した後、原発大国フランスが安全強化を主導すると期待されているだけに事故の影響が懸念される。
」
記事本文の続き ロイター通信によると、IAEAの天野之弥事務局長は事故後の記者会見で、緊急事態対応センターを設置したことを明らかにした上で、「仏原子力安全当局に情報提供を求めている」と語った。福島の事故では対応の遅れを指摘されただけに、まずは機敏な動きを見せた。
理事会の冒頭、行動計画案について「原発の安全強化に向けた大きな一歩となる」と意義を強調した天野氏は、「フランスからのニュースは原発の安全強化が一刻の猶予も許されないことを示した」とも述べた。
IAEAがまとめた行動計画案の採択手続きは早ければ12日に行われる。同案は、今後3年以内にすべての原発保有国に対し、IAEAの安全調査チームや、原子力安全規制当局の機能を評価する専門家チームを送り込むことなどが柱だ。
フランスの原子炉は58基で米国に次いで世界2位。全発電量の約74%を原発に頼る。原子力事業は輸出の主力産業に成長し、サルコジ大統領は福島の事故後、フランスの原発の安全性を強調し、6月には最新鋭原発開発への投資を表明。ドイツやスイスが「脱原発」にかじを切る中、原発推進の立場を鮮明にしている。
事故原因は不明だが、パリの株式市場ではフランス電力(EDF)株が事故直後に7%近く急落するなど、波紋が広がった。
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フランスは世界一の原発推進姿勢の国。
そのフランスでの昨夜からの報道、「フランスの原子力施設で爆発事故」「死者」・・・
まだ、詳しい報道はないので、周辺情報をみた。
テレビニュースでは、周辺の住民が「詳しい情報がないので不安だ」との旨をコメントしていた。
どこもかしこも・・・
フランス政府は大臣を数時間後に派遣、問題ない旨を表明・・・
しかし、超原発推進の仏大統領に関して、来年の大統領選の混迷要因にと報道されてもいる。
「ドイツのメディア 厳しい見方」(NHK)とも。
それによれば、
「フランスの閣僚は今回の事故を核の事故ではなく『産業事故』だと強調しているが、これが原子力産業で起きた事故であることは間違いない」と厳しく論じています。また、週刊誌「シュピーゲル」の電子版は「フランス人の多くは、チェルノブイリや福島の事故を経験しても原子力に対する考えを変えなかった。1人の作業員が犠牲になった今回の事故でも同じだろう」と脱原発を決めたドイツとの違いを強調ました。
その上で「今回の事故でのフランスの対応は極めて消極的で、情報公開も非常に遅かった」としてフランスの原子力当局の対応を批判しています。
実態が明らかになるには、もう少し時間がかかりそう。
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●仏核施設で爆発したのは溶融炉
徳島新聞/ロイター 2011/9/12 21:57
フランス南部の核施設で爆発したのは溶融炉。放射性廃棄物を溶かすための炉。ロイター通信報道。
●仏核施設事故「心配ない」 エコロジー相、溶融炉外で爆発か
2011/09/13 06:48 共同通信
12日、爆発事故が起きたフランス南部ガール県マルクール地区の核施設で記者会見するコシウスコモリゼ・エコロジー相(AP=共同)
【パリ共同】フランス南部ガール県マルクール地区の低レベル核廃棄物処理センター(CENTRACO)で爆発が起き、作業員1人が死亡した事故で、同国のコシウスコモリゼ・エコロジー・持続的開発・運輸・住宅相は12日、爆発があった施設を視察、記者団に対し「(事故の影響を)心配する理由は全くない」と表明した。
一方、フランス紙リベラシオン(電子版)は、爆発が起きたのは同センターの溶融炉そのものではなく、炉の外部だと報道。建物などにも損壊はないと伝えた。
●フランスの原子力関連施設で爆発、1人死亡・4人負傷
ibtimes/ロイター 2011年9月13日 05時40分
フランス南部のマルクール原子力関連施設
フランス南部のマルクール原子力関連施設で12日午前11時45分(日本時間同6時45分)頃、爆発があり、1人が死亡、4人が負傷した。
仏紙フィガロによると、現地時間午後2時時点で放射能漏れはなく、仏原子力安全機関(ASN)は同日午後、事故の収束を宣言した。
爆発は、フランス電力公社(EDF)の子会社SOCODEIが運営する放射性廃棄物処理施設内で火災が発生したために起こった。同施設のあるマルクールには多くの原子力関連施設が集まっているが、原子炉はない。
EDFは世界最大級の電力会社で、EUの総電力の約22%を供給し、そのうち75%ほどを原発で賄っている。
フランスは全発電量の約78%を原子力で賄う世界一の原発大国。IAEA(国際原子力機関)の発表「NUCLEAR TECHNOLOGY REVIEW 2010」によると、世界の原子力発電所で稼動する原子炉数は、フランスが59基で、世界第2位となっている。なお1位のアメリカは104基、そして3位は日本で54基だ。
3月11日の東日本大震災後に起こった福島第一原発の事故後にも、フランスは他の欧州諸国と異なり、原子力への追加投資を決めた。フランスのサルコジ大統領は6月、「第4世代の技術となる将来の原子力開発計画に、10億ユーロ(約1000億円)をつぎ込む方針である」と表明した。
欧州諸国を中心に世界を震撼させた1986年のチェルノブイリ原発事故以来となる、日本の大規模な原発事故の発生を受け、3.11後、ドイツやスイス、イタリアなどでは国民投票が行われ、脱原発の方針を決めている。
サルコジ大統領は、フランスの原発が世界一安全だと豪語するが、これまでにも原発事故はあった。最近では2009年夏、グラヴリンヌにある原子力発電所で、核燃料棒が引っかかりシステムが故障、原子炉を閉鎖する事態が起きていた。
●核関連施設で爆発 フランス1人死亡4人負傷
東京 2011年9月13日
【マルセイユ(フランス南部)=松井学】フランス南部ガール県マルクールの核関連施設で十二日午前十一時四十五分(日本時間同午後六時四十五分)ごろ爆発があり、作業員一人が死亡、四人が負傷した。うち一人は重傷。フランス原子力安全局(ASN)によると、外部への放射能漏れはないという。ロイター通信などが伝えた。
爆発が起きたのは、放射性廃棄物の処理施設にある溶融炉で、低レベルの金属製の放射性廃棄物を溶解するのに使われていた。同施設は同国最大の電力会社、フランス電力公社(EDF)の子会社が運営し、原子炉はないという。爆発の原因は不明。爆発直後に火災が発生したが、間もなく消し止められた。
作業員の死亡は爆発によるもので、負傷した四人も被ばくしていない。施設職員や周辺住民への避難指示は出されておらず、EDFの広報担当者は「爆発は核事故ではなく産業事故」と説明。ASNは同日午後「事故は終結した」として緊急対策本部を解散した。
仏ルモンド紙は、事故原因について「人為ミスのようだ」と政府関係者の話を伝え、溶けた金属に漏れた水がかかり、化学反応が起きた可能性を示唆した。爆発当時、溶融炉内には約四キロの金属があったという。
フランスは全発電量の74%を原子力発電で賄う世界一の原発大国で、福島第一原発事故を受け、国内五十八基の原子炉でストレステスト(耐性評価)を実施している。
●フランス:核廃棄物施設で爆発 1人死亡、4人重軽傷
毎日新聞 2011年9月13日
【パリ福原直樹】フランス南部ガール県マルクールにある低レベル核廃棄物処理施設「セントラコ」の溶融炉で12日午後0時半(日本時間同午後7時半)ごろ、大きな爆発が発生。炉の近くで作業をしていた施設職員1人が大やけどで死亡、4人が重軽傷を負った。遺体は完全に炭化したが、放射性物質は検出されていないという。
仏原子力安全当局は過去数回、セントラコの運営会社に「(管理面などに)厳格さが足りない」との注意を与えていたといい、今回も人為ミスの可能性が取りざたされている。
原子力安全当局は「極めて低レベルの放射性物質が出た恐れがある」としながらも、爆発から約3時間半後には「事故は収束した」との見解を示した。仏原子力庁は、施設外への放射性物質の漏えいはないとしている。
現場は日本人観光客も多い観光地アビニョンから北約20キロ。
現地からの情報によると、爆発は低レベルの金属製核廃棄物約4トン(約6万3000ベクレルに相当)を溶融炉で溶かす過程で発生。溶融炉は建屋内にある遮蔽(しゃへい)された空間に設置されており、爆発で遮蔽壁が吹き飛んだものの、建屋自体に大きな損傷はなかったという。火災は、発生から約30分後に鎮圧された。
セントラコは1999年に設立され、仏電力公社と仏原子力大手アレバ社が共同出資したソコデイ社が運営。国内の原発から発生する低レベル廃棄物の35%を受け入れている。
●核施設爆発事故、仏政権に打撃 重要閣僚を現地派遣
朝日 2011年9月13日1時16分
フランス南部のマルクール原子力関連施設で12日に起きた爆発事故で、仏政府は重要閣僚を現地に派遣した。フランスは総発電量の8割近くを原発に頼る「原発大国」。被害は今のところ限定的だとされるものの、強調してきた原子力の安全性をいぶかる声が高まる可能性がある。
サルコジ大統領は東京電力福島第一原発の事故後も、フランスの主要産業のひとつである原子力関連産業を保護する方針を堅持。その一方で、原発のストレステストの実施を推奨するなど、安全性のいっそうの向上も掲げている。
今回の事故は「フランスの原子力技術は世界で最も安全だ」(サルコジ氏)としてきた政権には打撃だ。「ヨーロッパエコロジー・緑の党」のデュフロ書記長は事故直後、「環境と健康への影響に関し、政府は最大限の透明性をもって対応すべきだ」との声明を発表。政策協議を進めている最大野党の社会党をはじめ他の野党に対し、大統領選で「脱原発」の方向をより強く打ち出すよう迫ろうとしている。
政府が現地に送ったのは原発問題に詳しいコシウスコモリゼ・エコロジー担当相。事態をコントロールし、施設従業員や住民の安全確保に全力を挙げている姿勢を示した。地元選出の与党・民衆運動連合(UMP)のルボー下院議員は仏テレビで「これは原子力事故ではなく(工場などの)産業事故だ」と強調した。フランスのマンジャン国際原子力機関(IAEA)担当大使もウィーンで記者団に、「これは産業事故だ」と繰り返した。
●仏核施設爆発事故 原発大国での事故に波紋広がる
産経 2011.9.13 01:19
【ロンドン=木村正人】東日本大震災の福島第1原子力発電所事故を教訓に、原発の安全強化に向けた行動計画案を協議する国際原子力機関(IAEA)の定例理事会(日米など35カ国)がウィーンで始まった12日、フランス南部マルクールの核廃棄物処理施設で爆発事故が起きた。日本の「原発安全神話」が崩壊した後、原発大国フランスが安全強化を主導すると期待されているだけに事故の影響が懸念される。
ロイター通信によると、IAEAの天野之弥事務局長は事故後の記者会見で、緊急事態対応センターを設置したことを明らかにした上で、「仏原子力安全当局に情報提供を求めている」と語った。福島の事故では対応の遅れを指摘されただけに、まずは機敏な動きを見せた。
理事会の冒頭、行動計画案について「原発の安全強化に向けた大きな一歩となる」と意義を強調した天野氏は、「フランスからのニュースは原発の安全強化が一刻の猶予も許されないことを示した」とも述べた。
IAEAがまとめた行動計画案の採択手続きは早ければ12日に行われる。同案は、今後3年以内にすべての原発保有国に対し、IAEAの安全調査チームや、原子力安全規制当局の機能を評価する専門家チームを送り込むことなどが柱だ。
フランスの原子炉は58基で米国に次いで世界2位。全発電量の約74%を原発に頼る。原子力事業は輸出の主力産業に成長し、サルコジ大統領は福島の事故後、フランスの原発の安全性を強調し、6月には最新鋭原発開発への投資を表明。ドイツやスイスが「脱原発」にかじを切る中、原発推進の立場を鮮明にしている。
事故原因は不明だが、パリの株式市場ではフランス電力(EDF)株が事故直後に7%近く急落するなど、波紋が広がった。
●仏核施設爆発:原発大国に動揺 大統領選の混迷要因にも
毎日新聞 2011年9月13日 東京朝刊
「フクシマから6カ月後、原子力が人間生活に受け入れがたいリスクをもたらし続けていることがまたも明白になった」--。フランス南部の低レベル放射性廃棄物処理施設「セントラコ」での爆発事故は、原発大国のフランスを大きく揺さぶり、来年の大統領選の新たな混迷要因となる可能性が出てきた。
「代替エネルギーは存在する。脱原発にかじを切るべき時が来た」。来年の大統領選候補者の一人、「欧州エコロジー・緑の党」のジョリ氏は事故後すぐに声明を出し、冒頭の発言をした。ジョリ氏は「住民や職員の状況、リスクについて透明性を確保し、リアルタイムで情報を開示することを求める」と述べた。
電力の約8割を原子力に依存し、原子力発電所の数で世界第2位、また原発輸出大国でもあるフランスでは、ドイツのような脱原発のうねりは起こらなかった。サルコジ大統領ら首脳は東京電力福島第1原発事故を原子力の最新技術を売り込む「商機」ととらえた。日本では汚染水処理機などの販売、老朽化した原発を数多く抱える米国でも次世代原子炉の販路拡大を狙った。
それだけに、今回の事故は大きな衝撃波となって政権を揺さぶった。サルコジ政権は事故からわずか2時間後にコシウスコモリゼ・エコロジー相を現地へ急派し、原子力を推進する原子力庁は爆発事故直後から「原子力事故ではなく産業事故」と位置づけ、火消しに躍起となった。
サルコジ大統領は来年の大統領選をにらみ、仏ドービルで開かれた5月の主要8カ国首脳会議(G8サミット)で安全基準作りを提唱するなど、「フクシマ後」の世界の原子力政策で主導権を握ることで、脱原発の動きを抑えるとともに、国内向けに指導力をアピールするもくろみだ。
だが世論調査では、社会党のオブリ第1書記、オランド前第1書記に後れを取り、極右「国民戦線」党首のルペン氏にも迫られている。「欧州エコロジー・緑の党」は現在のところ支持を伸ばしていないが、福島事故直後は原発反対派が6割を占めるなど、潜在的な支持層は存在する。「原発」が争点化した場合、大統領選はさらに混迷を深めそうだ。【宮川裕章】
◇緊急対応センター設置--IAEA
【ウィーン樋口直樹】国際原子力機関(IAEA、本部ウィーン)の天野之弥事務局長は12日、仏当局に事故の詳細報告を求める一方、緊急事態対応センター(IEC)を設置したことを明らかにした。IECは事故状況を迅速に分析し、当事国や周辺国に的確な関連情報を提供する。
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■ことば
◇セントラコ
フランス唯一の低レベル放射性廃棄物処理施設。高度情報科学技術研究機構の原子力百科事典「アトミカ」(06年版)などによると、溶融後の金属は遠心鋳造により遮蔽(しゃへい)金属ドラム缶やコンクリート容器の内張り材として利用され、高レベル放射性廃棄物遮蔽容器として仏国内の原子力施設に出荷されている。
●ドイツのメディア 厳しい見方
NHK 9月13日 6時39分
フランスの核廃棄物の処理施設で12日に起きた爆発について、フランスの隣国で、脱原発を決めたドイツのメディアには厳しい論調が目立ちます。
このうち有力紙の1つ「ウェルト」は、福島第一原発の事故以来、フランス国内で発生した初めての大規模な原子力事故だとしたうえで「フランスの閣僚は今回の事故を核の事故ではなく『産業事故』だと強調しているが、これが原子力産業で起きた事故であることは間違いない」と厳しく論じています。また、週刊誌「シュピーゲル」の電子版は「フランス人の多くは、チェルノブイリや福島の事故を経験しても原子力に対する考えを変えなかった。1人の作業員が犠牲になった今回の事故でも同じだろう」と脱原発を決めたドイツとの違いを強調ました。
その上で「今回の事故でのフランスの対応は極めて消極的で、情報公開も非常に遅かった」としてフランスの原子力当局の対応を批判しています。
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先日、いくつかの報道で、「19日の日本原子力学会で発表される」とされたこと。
それは、
「東電はこれまで、海に流出した汚染水中の放射能量は約4720兆ベクレルとの推定を発表しているが、今回は、これに大気からの降下分を加えた結果、3倍を超える値になった」(朝日新聞)
というもの。
少なく数字が出るように公表した、そういわれても仕方ない。
事実を明かしたがらない電力会社、そんな見方は定着してきているけど、
今でも、東電の姿勢はあまり変わらないようにも感じる。
電力会社だけでなく、どこでも、誰しも、隠そうとするとバレる。
なお、今朝のニュースでは、放射性セシウムなどが、「キノコ」や「野生のイノシシ」から高いレベルで検出されると流していた。
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●海へ放射能放出総量は1.5京ベクレル 原子力機構試算
朝日 2011年9月9日0時2分
東京電力福島第一原子力発電所から海へ放出された放射能の総量は、3月21日~4月30日で1.5京(けい)ベクレル(京は兆の1万倍)を超えるとの試算を、日本原子力研究開発機構などがまとめた。
東電はこれまで、海に流出した汚染水中の放射能量は約4720兆ベクレルとの推定を発表しているが、今回は、これに大気からの降下分を加えた結果、3倍を超える値になった。
同機構の小林卓也研究副主幹(海岸工学)らは、原発の放水口付近の海洋での放射能の実測値などをもとに、直接海に流出した量を推定。これとは別に、大気から降下した放射能量もシミュレーションで推定して、足し合わせた。
その結果、放出量はヨウ素131が1京1400兆ベクレル、セシウム137が3600兆ベクレルになった。セシウム134は計算していないので、総放出量は1.5京ベクレルを超えるという。
小林副主幹によると、東電の推定値から増えたのは、大気からの降下分を加えたためだが、汚染水の流出分も、東電が発表した以外に流出が起きていて増えた可能性があるという。また、試算の誤差が値を押し上げた分もあるという。
海洋放出にはロシアや韓国などの近隣諸国が強い関心を寄せてきた。東電が4月、低濃度汚染水を意図的に放出した際には、事前連絡の不備などを強く批判された。放出総量の推定が出たことで今後、海洋汚染の実態をきめ細かく調べ、影響の広がりを改めて分析する必要がありそうだ。
試算結果は19日から北九州市で開かれる日本原子力学会で発表される。(杉本崇)
●海洋汚染1.5京ベクレル超=東電推定の3倍-原子力機構が試算・福島第1原発
時事 (2011/09/08-05:50)
東京電力福島第1原発事故で、日本原子力研究開発機構は8日までに、汚染水の流出に加え、大気中からの降下分などを合わせた海洋への放射能放出総量が1.5京(1京は1兆の1万倍)ベクレルを超えるとの試算をまとめた。東電は4~5月に海に流出した汚染水の放射能量を約4720兆ベクレルと推定しているが、試算はこの3倍以上に達する。
原子力機構の小林卓也研究副主幹(海岸工学)らは、漏えいした汚染水の影響に加え、東電が公表したモニタリング数値などを用いて、大気中に出されたヨウ素131とセシウム137が海に降り注いだ状況をシミュレーション。同原発放水口付近の海水から放射性物質が初めて検出された3月21日から4月30日までの放出総量を試算した。
その結果、海に放出されたヨウ素131は1.14京ベクレル、セシウム137が0.36京ベクレルで、計1.5京ベクレルとなった。セシウム134はシミュレーションでは考慮していないことから、放出総量はこれを超えるという。
●放射能放出なんと1.5京ベクレル 日本の魚本当に食べても安全なのか?
ゲンダイ 2011年9月9日
<今ごろ検査強化と言われても…>
とんでもない数字が公表された。
福島第1原発事故で、日本原子力研究開発機構は海洋への放射能放出総量が1.5京ベクレルを超えるとの試算をまとめた。東電が4~5月分として推定していた放射線量の3倍以上に上る。
心配なのが魚の汚染だ。福島県は4月にコウナゴが出荷停止して以来、漁業を自粛している。同県の海の汚染はいまも深刻で、7日に発表されたイシガレイの放射性セシウムは1キロあたり1030ベクレルと、暫定規制値(500ベクレル)の2倍以上だった。
宮城や岩手、茨城などの水産物からも基準値以下ながらセシウムが検出されている。数字は農水省のHPにアップされているが、福島以外はサンプル数が少ない。農水省は「検査機械が少ないうえに鮮魚は詳しく検査すると傷んでしまうので、細かく調べきれない」と説明する。
その一方で宮城県石巻漁港では6日、震災後初めて水揚げされたタコやカレイなどが並んだ。気仙沼沖などではカツオ漁の一部が再開している。魚は本当に安全なのか。
「放射能を防ぐ知恵」の著者でNPO法人「食品と暮らしの安全基金」代表の小若順一氏が言う。
「500ベクレル以下なら安全という言葉を信じてはいけません。3月にドイツ放射線防護協会は大人は8ベクレル、子供は4ベクレル以下にするべきだという基準値を提案しました。500ベクレルがいかに甘い数字かが分かります。いまだに海の中は放射能でグジャグジャなのです。九州で水揚げされた魚も安心できません。太平洋の真ん中で取られたものを宮崎などに運ぶことがあるからです」
小若氏は、政府は国民の生命のために、漁業従事者に所得補償と賠償金を払い、今後3年間は漁業を停止するべきだと主張する。
「とくに心配なのが妊婦さんです。魚を食べて体内被曝したら胎児はまだ安全ですが、孫、ひ孫と子々孫々まで傷ついた遺伝子が受け継がれ、障害やがんを発症してしまいます。妊婦さんは絶対に魚を食べてはいけないし、子供はできるだけ食べないようにしてください」(小若順一氏)
水産庁は今ごろになって福島沖周辺の検査強化をアピールしているが、海は広い。ストロンチウム汚染の可能性も否定できない。消費者は国の言うことをうのみにせず、リスクを覚悟したほうがいい。
●鉢呂経産相辞任:原発対応、エネルギー政策混迷も
毎日新聞 2011年9月10日 22時05分(最終更新 9月11日 3時12分)
失言などが進退問題となり工場視察で多くの記者らに囲まれる鉢呂吉雄経産相(右から2人目)=相模原市で2011年9月10日午後2時39分、武市公孝撮影 鉢呂吉雄経済産業相の辞任を受け、野田政権の原発への対応やエネルギー政策が混迷する可能性もある。
鉢呂氏は、定期検査などで停止中の原発再稼働について、地元の理解などを前提に「できるだけ早く」と発言するなど積極的だった。経産省は「後任が再稼働に慎重であれば、今冬以降の電力需給問題が心配になる」(幹部)との懸念を強めている。
一方で、鉢呂氏は「耐用年数の過ぎた原子炉を廃炉にし、新規の原発は難しい」と述べ、前政権の「減原発」を引き継ぐ考えを示していた。また、中長期のエネルギー政策を議論する「総合資源エネルギー調査会」に原発に批判的なメンバーも加える意向を表明。すでに人選を始めていたが、後任人事次第では白紙に戻る可能性もある。
また、11年度第3次補正予算案については、鉢呂氏の肝いりで、蓄電池など家庭や企業の省エネ設備導入を助成する「節電エコ補助金」(2000億円)などを要求したばかりだった。円高対策の道筋も不透明となった。【野原大輔】
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震災から半年、そんな報道が続く。
いろんな観点がある。
個人のレベルでも、社会的、行政的なレベルでも事情や拝啓背景・・・
期待を込めて前をむく姿勢、客観的にとらえる姿勢、深刻にとらえる姿勢・・・
復興への歩みにのしかかる放射能汚染の危惧。
そんなことで、例えばと、次を記録。
★東日本大震災:震災半年、水没したままの町--宮城・石巻の長面・尾崎地区 (毎日新聞)
★2万5700人受け入れ 震災半年首都圏 (東京新聞)
★被災3県、復興計画急ぐ 震災から半年(河北新報)
いろいろな意見の中で、大局的に指摘するロイターの記事を主として記録しておく。
★コラム:震災半年、「需要蒸発」懸念で外需主導の回復に黄信号 (ロイター)
★震災半年:円高・株安の波状リスク、対症療法もう限界に (ロイター)
ともかく、私からは、政府の決断の無さ、これが最大の課題に映る。
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●東日本大震災:震災半年、水没したままの町--宮城・石巻の長面・尾崎地区
毎日新聞 2011年9月10日>
◇海の男、がれきと苦闘 撤去予算尽き、漁業復興も見えず
東日本大震災の発生から半年、宮城県石巻市の長面(ながつら)・尾崎(おのさき)地区には今なお、うずたかく積もるがれきと格闘する海の男たちがいる。【写真・文 森田剛史】
カキの養殖が盛んだった内海の長面浦に面した両地区。毎朝7時過ぎ、県漁協河北町支所の組合員約20人が、避難先の仮設住宅から長面浦西側の岸壁に集まってくる。被災を免れわずかに残った小型船に分乗。海面から顔を出す材木を慎重によけながら、大量のがれきが山のようにたまる浦の南岸に向かう。
「せーの、よいっしょっ」。流された家屋の一部など大きな物はロープを掛けて4、5人で引っ張り出し、チェーンソーで切断する。道路の崩落や浸水で重機や大型トラックは入れず、ほとんどが手作業だ。船にがれきを積み込み、岸壁の集積所までの往復を日中、何度も繰り返す。
撤去作業は、国の漁場復旧対策支援事業として5月から始められた。日に1万1000円支払われる労賃が漁業者の生計を助けてきた。しかし、漁業再開のめどが立たない中、9月いっぱいで当面の予算が尽きる。
作業の合間に、ある漁師が「そろそろ、これ考えてるのさ」と冗談めかして首をつるまねをすると、仲間が「いいロープそこにあんぞ」と応じ、笑い飛ばした。「バカ話語って笑うしかねえのさ」
津波は海抜0メートル地帯だった長面地区の約160世帯全てをのみ込み、同地区では32人が行方不明のままだ。約1メートルの地盤沈下と堤防の決壊により、干潮時以外は集落全体が水没し、がれきの撤去や行方不明者の捜索を阻んできた。
同支所の鈴木光悦運営委員長(66)は「海が好きだから、この地で漁業を続けたい。ただ、今はまだ、長面は海の中と同じ。小さな漁協の復興の形はすぐには見えない」と話し、空を見つめた。
●2万5700人受け入れ 震災半年首都圏
東京 2011年9月11日
東日本大震災は十一日で発生から六カ月を迎えた。死者六十人、約三万四千二百戸が全半壊した首都圏一都六県ではこの間、大きな被害を受けた岩手、宮城、福島各県の被災者ら約二万五千七百人を受け入れた。
しかし、東京電力福島第一原発事故による食品の放射能汚染が明らかになったほか、事故の影響を考慮して転出したとみられる人もおり、市民の不安は解消されていない。
政府によると、避難者の受け入れ人数は、東京が八千五百五十五人、埼玉四千五百五十二人、千葉三千六百十八人など。多くは福島の避難者とみられる。
一方、東京では六、七月と連続して人口が減少。六月の減少は十五年ぶりで、都は原発事故を受け、西日本へ転居した人が増加したことも要因とみる。
原発事故では、国の暫定規制値を超える放射性物質が検出された牛肉などが一時、出荷停止になった。現在は茶が茨城全域のほか、栃木や群馬、千葉、神奈川の一部で出荷停止のまま。比較的高い放射線量が検出される「ホットスポット」も各地で確認され、自治体は放射性物質を取り除く除染を進める。
警察庁などによると首都圏の死者数は、茨城二十四人、千葉二十人、東京七人など。千葉で二人、茨城一人の行方不明者がいる。建物被害は全壊が約三千八百戸、半壊が約三万四百戸。首都圏九十六市区町村で地盤の液状化が確認された。
● 被災3県、復興計画急ぐ 震災から半年
河北新報 2011年09月11日
東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城、岩手、福島3県は、復興計画を策定し、生活基盤の再構築、産業の再興などを目指す。県議会9月定例会に計画案を出す宮城、既に計画を策定した岩手両県は津波の再来に備えた減災対策を盛り込んだほか、漁業の拠点を整備する。福島第1原発事故の収束のめどが立たない福島県は年内の策定を見込む。復興ビジョンに「脱原発」を掲げ、自然エネルギーによる産業振興を図る。
◎岩手 生活基盤を再構築/策定済み 三陸鉄道復旧も推進
岩手県の復興基本計画は、計画案が6月7日に公表され、8月11日の県議会8月臨時会で原案通り可決された。
2011~18年度の8年間が対象。復興に向けた原則やグランドデザインを示し、個々の事業や工程表は復興実施計画を策定し具体化した。
基本計画は「安全の確保」「暮らしの再建」「なりわいの再生」を3原則とし、防災のまちづくりや生活・雇用、経済産業など10分野で計273の取り組むべき項目を掲げた。
まちづくりでは、海岸保全施設とソフト対策を組み合わせた「減災」の考え方に基づき、復興モデルを提示。津波対策の方向性として「おおむね百数十年程度で起こりえる津波の高さを海岸保全施設の整備目標とする」と明記した。
8年間の計画期間は3期に分け、第1期「基盤復興期間」(3年)、2期「本格復興期間」(3年)、3期「さらなる展開への連結期間」(2年)とし、それぞれの実施計画を策定する。
このうち第1期の実施計画は8月2日に公表された。それによると、11~13年度で早期に着手する地域づくりや雇用、産業の再生などの事業354項目を列挙。被災した県立学校や特別支援学校など計73校の正常化や三陸鉄道の不通区間の復旧、県が代行するがれき約380万トンの撤去は13年度までに実施する。
被災者向け公営住宅は16年度、三陸縦貫自動車道の整備は18年度までを見込む。漁業では13年度までに共同利用の漁船6152隻と定置網108基を導入し、水産加工処理施設148カ所などを整備する。
◎宮城 漁業拠点集約化へ/宅地移転、堤防強化 9月定例会提出
宮城県は15日開会の県議会9月定例会に県震災復興計画案を提出する。「壊滅的被害からの復興モデル構築」を基本理念に掲げ、エコタウン形成や漁業拠点の集約再編を明記。津波避難タワーの建設など342の復旧・復興事業を盛り込んだ。
復興期間は2020年度までの10年間。「復旧期」(3年)「再生期」(4年)「発展期」(3年)に区分し、段階的に復興事業に取り組む。
まちづくりは、住宅や公共施設の「高台移転」と「職住分離」、沿岸の道路や鉄道を盛り土構造に変え、堤防機能を持たせる「多重防御」の3本柱で津波再来に備える。
気仙沼市など三陸地域は高台移転と職住分離を基本に据え、港に津波避難ビルを整備する。名取市など仙台湾南部地域は多重防御を図り、住宅地は内陸側へ移転する。石巻・松島地域は高台移転と多重防御を併用する。
壊滅的被害を受けた水産業復興は142漁港を3分の1程度に集約し、背後地に水産関連産業を集積させて拠点化する。沿岸漁業の漁業権を法人にも与える「水産業復興特区」構想の検討も進め、13年度以降の導入を目指す。
被災した農地は「水稲団地」「野菜団地」などに集約し、生産の大規模化を図る。地盤沈下などで復旧困難な農地は緩衝地帯「千年希望の杜国営公園」として整備する。
エコタウン形成では、復興住宅の全戸に太陽光発電設備を設置する。燃料電池や蓄電池を導入した「省エネ住宅」の普及も促し、再生可能エネルギーの比重を高める。
福島第1原発事故の長期化を予想し、農水産物の放射能検査体制を強化する。東北電力女川原発(女川町、石巻市)周辺の監視態勢や県の原子力災害対応も再構築する。
大震災の教訓を後世に語り継ぐため、津波災害の記録や研究、学習を行う「震災・津波博物館」を核とした「東日本大震災メモリアルパーク」の整備を国に提言する。
復興計画を確実に実行するため、財源確保では「災害対策税」創設を求めた。法人税の10年間免除、集団移転の補助率引き上げなど8分野で規制緩和を図る「東日本復興特区」創設も提言した。
◎福島 年内策定 脱原発探る
福島県は8月11日の県復旧・復興本部会議で、基本理念に「原子力に依存しない、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり」を据えた県復興ビジョンを決定した。
「脱原発」の考えの下、再生可能エネルギー産業や放射線医療の研究機関などの拠点を設け、経済的活力と環境とが共生する社会づくりを進めるとしている。基本理念にはほかに「ふくしまを愛し、心を寄せるすべての人々の力を結集した復興」「誇りあるふるさと再生の実現」を掲げた。
佐藤雄平知事はビジョン決定後、「自然エネルギーを産業に結び付ける計画が今日からスタートする」として実現に意欲を示した。
復興計画では「原発に代わる雇用の場」(ビジョン)となる新たな産業について、どこまで具体化できるかが焦点になる。福島第1原発事故が収束しない中、インフラ整備などにどう取り組んでいくのかも注目される。
復興計画の計画期間は、2011~20年度の10年間。近く発足する検討委員会で策定していく。委員は学識経験者や各産業の代表ら20人前後。計画には主要な事業の工程表を盛り込み、地域別でもまとめる。
委員会は10月末に計画素案をまとめ、最終案を12月に県議会に報告。年内にも最終決定される見込み。決定後も、原発事故の状況に変化があれば計画は見直される。
●コラム:震災半年、「需要蒸発」懸念で外需主導の回復に黄信号
ロイター 2011年 09月 9日 19:32 JST
[東京 9日 ロイター] 東日本大震災直後の日本経済にとって、最大の制約要因はサプライチェーンの寸断による製造業の供給制約だった。
しかし、今は欧州債務危機や米経済減速など、世界経済の動向が大きなリスク要因として浮上してきた。欧州での混乱が金融危機に発展すれば、リーマンショックに相当する需要の『蒸発』を覚悟しなければならない。
日本の民間企業には震災被害からのV字回復期待が高まっており、それに沿った大増産計画を立てる動きがある。しかし、それは早晩、見直す必要があるだろう。そして、政府は世界的な危機発生に備え、2011年度第3次補正予算で景気対策的な対応や、雇用調整助成金などの増額が迅速にできるように予備費的な項目を大規模に盛り込んで備えを厚くするべきだ。
<米欧景気の減速、見当たらない魔法の杖>
欧州の経済情勢は、半年前には想定できなかったペースで悪化している。3月時点で欧州中銀(ECB)はインフレへの警戒感を強め、4月と7月に利上げした。しかし、トリシェECB総裁は8日の会見で「成長への下方リスクが存在すると認識している」と述べるとともに「インフレのリスクは均衡している」と指摘。利上げ打ち止めの意向を強くにじませた。市場関係者の中には、11月中の利下げを予想する声も出てきた。
一方、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は8日、「高水準の成長と雇用の回復を支援するために、できることはすべて行う」と述べるとともに、成長率が低下している要因として「より恒常的な要因が回復を抑制している」と指摘。家計消費が異例の弱さを示している点も挙げ、リーマンショック後のバランスシート調整が進む中で、米経済が低成長を強いられているとの見方を強くにじませた。
さらにオバマ米大統領が8日、4470億ドルの雇用対策を発表したが、財源問題で共和党と合意できるのか不透明であるうえ、経済的効果が見かけの規模ほどないとの声が早くも市場から上がっている。米経済問題に詳しい東海東京証券・チーフエコノミスト、斎藤満氏は、今回の対策について、減税や長期失業保険給付などこれまでの政策の延長が多くの支出を占めている点を指摘、道路や鉄道などのインフラ投資に500億ドル、学校の近代化で300億ドルと新たな需要を生み出す支出は、全体の歳出規模に比べかなり少額になるとみている。
続く...記事を1ページに表示する前のページ 1 | 2 | 3 次のページ
● 震災半年:円高・株安の波状リスク、対症療法もう限界に
ロイター 2011年 09月 9日 19:28 JST
[東京 9日 ロイター] 震災からの半年間は日本の金融政策と市場対応の力量が試される局面でもあった。円高、株安とマーケットからの逆風に対し、日本の当局は円売り介入、日銀による資産購入などで応じたが、いずれも「対症療法」の域を出ていない。
介入は企業のドル売りをためらわせ、一段の円高を呼ぶ火種を残したほか、日銀のETF購入枠の拡大が市場の活力を低下させるなど、その対症療法がもたらした副作用も小さくない。
<2度の円売り介入、2度の円最高値更新>
震災後、円は2度、史上最高値を更新した。震災直後に仕掛け的な円買いがあった3月17日と欧米経済不安が高まった8月19日だ。76.25円を付けた3月はG7各国が協調介入を実施。10年ぶりの政策協調にドル/円は反発し、4月6日には85.53円と今年の高値を付けた。しかしその後、海外経済の不安定化を嫌ったリスク回避の円買いが進行。これまでほぼ一貫して円高トレンドを辿っている。8月4日には4.5兆円と過去最大規模の円売り介入を実施したにもかかわらず、その2週間後には円は75.94円を付け最高値を更新した。
為替介入の効果は限定的に終わることが多い。パニック的なマーケットの動きを止める効果はあっても、1日の取引額が150兆─200兆円とも言われる巨大な外為市場で、持続的なトレンドを押し戻す力はないことはこれまでの歴史でも明らかになっている。当時財務相だった野田佳彦首相は、8月4日のドル買い/円売り介入の効果について、「投機的な動きについて、政府・日銀の姿勢を明確に示せた」としたが、効果は一時的だった。
円高を「投機の仕業」と繰り返す政府当局者。しかし、東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏は、日本は「投機的な円高」という誤った認識に基づいて行動すべきでないと指摘する。円高には、グローバルな不確実性を背景とする投資マネーの委縮と、マネーの自国回帰という根本的な原因があるという。
「マネーが委縮し、経常収支の不均衡をカバーできなくなると、日本は黒字なので外貨売り圧力が自然に高まり、経常赤字の米国や南欧諸国ではドル安、ユーロ安圧力となる」。日本はドル安・円高を所与の事実として受け入れ、企業レベルでも国家レベルでもリスク管理体制を一段と充実させることが重要だと斎藤氏は主張する。
円売り・ドル買い介入は国としてのリスクを増加させる。ドル買い介入のための資金は、外国為替資金証券を発行して調達するが、これまでの度重なる為替市場介入(主にドル買い/円売り)の結果、同証券の残高は3月末で109兆3130億円に達した。ドルやドル建て資産が急落すれば、債務超過に陥るリスクがあり、そうなった場合は将来的に国民の負担になる。 続く...
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朝のニュースで、アナウンサーが「先週の土曜日に伝えたのは紀伊半島の大雨のことだった、その後、災害の激しさが明らかになった」との旨を述べていた。
たしかに、この一週間、そのことが大きく報道され続けた。
大災害。
そういえば、一週間前の今日は 自分自身は東京だったと思い出した。
記憶が遠のいていくのは早い・・・・
とはいえ、災害の大事故のことはいつまでも消すものではない。
原発事故の事実も同様。
時間が経過し、検証が進むと「ほんとうの事実」が明にされていく。
きょうは、そんなところの一部を記録しておく。
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●公開された資料で判明 報じられなかったプルトニウム 「大量放出」の事実
2011年09月06日(火) 週刊現代
「このリストを見れば、原子炉というものがいかにわけのわからない放射性物質を詰め込んで稼働していたかわかる。検出されている核種は、広島の原爆で検出されたものとは比べものにならないほど多い。あらためて原子炉の危険性を教えられた気がします」
放射化学が専門の名古屋大学名誉教授・古川路明氏は一枚のリストに目を通して、こう語った。
このリストは福島第一原発事故直後から3号機が爆発した後の3月16日までに、どれだけの放射性物質が大気中に放出されたかの試算を原子力安全・保安院がまとめたものだ。それによると、放出された放射性物質は全部で31種類。そのなかには半減期が「2万4065年」のプルトニウム239や、ストロンチウム90なども含まれている。
プルトニウムはセシウムや放射性ヨウ素と比較すると重く、東京電力が3月28日に、原発敷地内でごく微量を検出したと発表した以外、実際にどれくらいのプルトニウムが放出されたのかも明らかになっていなかった。ところが、リストに記載された試算値では、プルトニウム239だけで合計32億ベクレルが大気中に放出されたというのである。セシウム137にしても、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教によれば、「広島原爆の150発分が放出されたことになる」というから衝撃的だ。
神戸大学大学院海事科学研究科・山内知也教授が言う。
「プルトニウムの場合、ホットパーティクルと呼ばれる微粒子を体内に取り込むと、外部被曝に比べて数百倍の危険性があると言われています。今回の原発事故では、一部の研究者が福島第一の周辺でプルトニウムを検出済みですが、これは冷戦時代の核実験の名残りでは、という意見もあります。ただ、リストを見るとどこかに濃く残っているのかもしれません。
このリストで、私がより心配になったのは、内部被曝すると骨の中心にまで入り込んでしまうストロンチウムです。これまでいろんな研究者が土壌調査などをした結果を見て、さほどストロンチウムは放出されていないと安心していました。しかし、試算値を見るとまったく安心できない。セシウムに比べてストロンチウムは100分の1程度の量ですが、その危険性はセシウムの300倍と主張する科学者もいます」
これほどの情報を隠していたのかと思うかもしれないが、実はこのリスト、保安院が6月6日の会見で記者たちに配布した資料の一部。震災4日前に東電から「10mを超える津波が来る可能性がある」と報告を受けながら、5ヵ月以上もそれを隠し続けていた保安院だが、こちらは歴(れっき)とした公開資料だ。ところが、新聞やテレビの報道をチェックしても、プルトニウムやストロンチウムが放出されたと報じたものは皆無。なぜ、このニュースが国民に知らされなかったのか。
この日、会見で記者たちに配布された資料は全54ページの「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に係る1号機、2号機及び3号機の炉心の状態に関する評価について」と題するもの。これはIAEA(国際原子力機関)に提出する報告書の概要を記したもので、記者たちの注目は地震からわずか5時間でメルトダウンが起きていたという点に集まった。
当日の会見に出席した全国紙社会部記者が語る。
「確かに分厚い資料が保安院から配られた気がするけど、中身はグラフや化学記号が書かれた表ばかりで、一読しただけではわからない。それより、メルトダウンの時間を隠していたんじゃないかっていうことのほうがわかりやすいから記事にしやすい。だいたい、そんなに凄いものなら、保安院もそう言えばいいのに、彼らからリストについて説明があった記憶もない」
一方、原子力安全・保安院側はこう言う。
「6月6日午後は、政府・保安院・東電・原子力安全委員会の合同会見を行っており、そこで安全委員会の加藤重治審議官から、ご指摘のリストについて、プルトニウムやストロンチウムが検出されたことを一応は説明しています。これについて、記者からの質問はありませんでした」
あくまで保安院側は公表したのだから、報じるかどうかはメディアの勝手ということだろうが、積極的に伝えようとした形跡はない。それにまんまと乗せられ、こんな重大情報がスルーされてしまったのだ。
「我々のような専門家が、このリストを見れば、ルテニウムのように肝臓がんや腎臓がんを引き起こすとされる放射性物質が検出されていることもわかるが、記者にはそこまでは無理でしょう。ただ、プルトニウムやストロンチウムが大量に放出されていることくらいは警告すべきだったと思います」(前出・古川氏)
リスト自体は保安院のHPを探すと確かに公開されているが、何の情報もなく見つけるのは不可能。膨大なゴミ情報の中に不都合な情報を紛れ込ませるのは官僚の常套手段だ。国民に本当のことを伝えない行政、それに荷担した格好の記者たち。危険にさらされているのは国民の命である。
『週刊現代』2011年9月10日号より
●東日本大震災:プルトニウム・ストロンチウム濃度調査 県、年内に結果まとめ /福島
毎日新聞 2011年9月9日
県は8日、今月から県内全域の土壌のプルトニウムとストロンチウム濃度の調査を始めたと発表した。11月まで公園や山林など35カ所で土を採取し、年内に結果をまとめる。長期間体内に残留し、毒性が強いとされる両物質は、これまで文部科学省などの調査でもわずかに検出されているが、県による調査は初めて。震災の影響で故障していた機器が復旧し、分析が可能になったという。
調査地点は、県北4▽県中5▽県南3▽会津11▽南会津8▽いわき4の計35。文科省の調査が重点的に行われた相双地区は対象外とした。過去の大気圏内核実験の影響と区別するため、35地点とも福島第1原発事故以前にも県が調査したことがある場所で、濃度や放射性物質の種類の比率を比較して第1原発からの放出か確かめる。プルトニウムは分離と精製が難しく、分析には1カ月以上かかるとされる。【関雄輔】
●放射性物質:ストロンチウム検出 福島県沖合のマダラから
毎日新聞 2011年8月30日
水産庁は30日、福島県沖合で4月21日に採取したマダラから放射性ストロンチウム90が1キロ当たり0.03ベクレル検出したと発表した。水産庁の調査で、福島第1原発事故以後、水産物からストロンチウムが検出されたのは初めてだが「微量で、原発事故の影響かは不明」という。
ストロンチウム90は半減期が30年近くで、体内に入ると骨に取り込まれやすく、骨のがんや白血病の原因になる恐れがあるとされる。海水からストロンチウムが検出されたことを受けて、水産庁が水産総合研究センターに調査を依頼していた。
ストロンチウム自体の基準値は設定されていないが、セシウムの基準値(500ベクレル)を下回れば、食べても問題ないとされている。福島県ではカツオを除いて海洋での漁業を自粛している。
●メルトダウンの文化的背景 ―― 閉鎖的原子力文化とチェルノブイリ事故 /セルゲイ・P・カピッツァ/モスクワ物理工科大学
(1993年発表論文)2011年09月10日発売号
■徹底した秘密主義
他のソビエトの国家プログラム同様に、原子力産業も秘密裏に整備された。秘密主義に徹した理由は三つあった。第1はアメリカに核開発計画を進めていることを気づかれないようにするため。第2は、プロジェクトの中枢を担う科学者、そしてエンジニアを政府の厳格な管理下に置くため。そして第3は、計画を水面下で進めることで、産業整備の責任者を外からの批判から守るためだ。
核開発・原子力産業プロジェクトを政治的に統括したのは、秘密警察の長官で水も漏らさぬ社会掌握を目指していたL・P・ベリヤ。彼にとって、原子力産業と核兵器開発は自分が管理しなければならない象徴的プロジェクトだった。
こうした秘密主義に派生する制約があったにも関わらず、ソビエトの原子力産業は最初の10年間で目覚ましい進歩を遂げた。こうした成果は、新産業を立ち上げた科学者とエンジニアがあらゆる犠牲をはらってプロジェクトの推進に取り組んだ結果だった。
秘密のベールに覆われた厳戒態勢のなかでの活動だったにも関わらず、専門家たちは、「高度に集権化された決定構造ゆえに、決定を下す権力者と、その命令を実行する自分たちとが微妙に切り離されること」を理解していた。こうして創造力をフルに生かし、技術革新を重ねた結果、1955年に、現在はチェリャビンスク―70として知られる第2の原子力研究所が、核兵器研究を成功させた最初の研究所であるアルザマス研究センターと競い合っていくために設立された。
だが、チェルノブイリの事故の背景をなしたのはこうした秘密主義だけではなかった。間違った安全対策もその要因だった。当時、稼働中だった原発施設の半分がそのまま電力省の管轄へと移された。しかし、電力省は火力発電所、水力発電所を管理するノウハウは持っていても、複雑な原子力発電施設をうまく管理していく準備はまったくできていなかった。
原子力産業が秘密裏に整備された時代の組織的な経験が蓄積されていたわけでもない。潜水艦の原子炉の稼働経験、民生利用のためのプルトニウム生産にいたるまで、電力省が自由に利用できるような知識の集積は存在しなかった。軍事部門と民生部門が専門知識を共有した航空機産業や船舶産業とはちがって、原子力をめぐって軍と電力省が交流することはなかった。
1956年までには、ソビエトの原子力産業は水素爆弾を設計・生産し、配備できるだけの技術レベルに達していた。同時に海軍は、潜水艦の動力に原子力を利用し始め、その後、民生用原子力産業の整備も開始された。
だが、1957年には早くも最初の原子力事故が起きた。プルトニウム生産施設の高濃度放射性破棄物の貯蔵施設の(冷却装置が故障して)爆発が起きた。これは核爆発ではなく、化学的な爆発が引き起こした事故だったが、その結果、大量の放射性物質が大気中に拡散し、キシュテム近郊とウラル山脈東部にかけての広い地域が放射能で汚染された。
キシュテムの事故はインサイダーの間では周知の事実だったが、ソビエト政府はこの事実を握りつぶした。キシュテムの爆発事故とその結果が検証され、何が問題だったかが理解されていれば、チェルノブイリの悲劇の衝撃を少なくとも緩和できたはずだ。逆に言えば、事故が起きたことを政府が認めたチェルノブイリのケースは「原子力のグラスノスチ=情報公開」として重要な意味を持つ。
◇
Sergei P. Kapitzaモスクワ物理工科大学教授で、ロシア科学アカデミーのメンバー。ロシア自然科学アカデミーの副会長。ロシア科学アカデミーのカピッツァ研究所は、同氏の父親でノーベル物理学賞を受賞したピョートル・カピッツァにちなんで設立された。
<フォーリン・アフェアーズ・リポート2011年9月号掲載>
●放射線の脅威にさらされる日本の食の流通
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2011年 8月 8日 11:56 JST
【南相馬】福島第1原発での事故発生から数日のうちに、日本政府は原発周辺地域で食肉用に解体された牛肉について、抜き取りで放射性物質の検査を実施した。その後、政府の担当者は福島第1原発周辺の畜産農家に対し、牛を安全に販売できるかどうか判断するためには放射線測定器を使った検査を実施するよう求めた。
鹿野道彦農林水産相は3月31日、「消費者ならびに小売業の皆様は、普段どおりに買い物や商売をしていただくことを切にお願いする」と呼び掛け不安を払拭しようとした。福島第1原発の爆発で放射性物質が空気中に吐き出され始めてからおよそ2週間以上が経過していた。
だがこの発言は結局、誤った判断だったことが判明した。
先月8日、東京都が都内の食肉処理場で処理された牛肉を検査したところ、政府が定めた規制値の5倍近い放射性セシウムが検出された。放射能に汚染された牛肉の出所は福島第1原発の北およそ16マイル(26キロ)のところにある1軒の農家だった。この牛の体表については放射線検査が行なわれていた。
牛肉の放射能汚染が確認されて以降、汚染された牛肉が既にどれだけ消費されたかについて疑問が噴出、食への不安が高まった。汚染の広がりが明らかになるにつれ、不安は膨らみ続けている。
ウォール・ストリート・ジャーナルの調査で、原発事故の際に食品を保護するための日本政府の取組みには重大な欠陥があることが明らかになった。原発事故から4カ月が経過してもなお、政府は汚染を封じ込めるために悪戦苦闘を続けており、食品の供給を規制する有効なシステムを打ち出すことができないでいる。ジュースや蜂蜜などは政府の検査を受けないまま店頭に並んでいる。抜き取り検査が行なわれている食品も多いが、ごく一部に限られている。
原発事故後の食への不安
放射性物質による汚染は目に見えず、測定も困難。捕えどころがない脅威だ。高レベルの汚染は間違いなく健康に害を及ぼし、命に関わることもある。しかし、低レベルの汚染は福島第1原発から遠く離れた場所にまで広がっており、日本政府の官僚は今になって、低レベル汚染の危険性や国民を守るための方策を慌てて検討している。低レベルの汚染は長期的に被害をもたらす。専門家は、低レベルの汚染が許容できないほど危険となる水準を正確に示すのは困難だとしている。
(以下、・・・(略)・・・)
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民主党の前原政調会長が、野田首相の来るアメリカ訪問のための準備のとしての調整に、アメリカに行っている。
ところが、向こうで、「武器使用緩和」などと発言し日本で話題に。
その他も含めて民主党内での意思決定・背策決定の力学・構造の変化も微妙な段階。
これらの、いくつかの気になるところを記録しておく。
次にまとめた「見出し」だけでも見当がつく。
●「武器使用緩和」が波紋=前原氏発言、政府に戸惑い/時事通信
●前原氏「武器使用緩和を」 PKO見直し 他国軍も防衛/朝日
●前原・民主政調会長:自衛隊「武器使用基準緩和を」 米シンポジウムで/毎日
●自衛隊PKOの武器使用緩和を 前原氏表明、輸出三原則見直しも/共同通信
●中国はゲームチェンジャー…前原氏が警戒感/毎日
●前原氏「TPP早く結論を出す」…米高官に/ 読売新聞
●「前原政調」スタート/東京
●党内対立の火種にも 前原氏見解/中国新聞
●政策の内閣一元化を撤回=民主公約、一段と形骸化/時事
●民主党:陳情窓口、党内綱引き 政調に対抗、一元化狙う幹事長室/毎日
●野田政権:政策決定、政府・民主三役会議も承認 党政調の上部に新設/毎日
★「野田政権は混迷の“怨念政治”を払拭できるか。 事実上の『第二次細川内閣』が担う歴史的役割とは」/ダイヤモンド・オンライン
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●「武器使用緩和」が波紋=前原氏発言、政府に戸惑い
時事。(2011/09/08-20:49)
民主党の前原誠司政調会長が国際平和維持活動(PKO)での自衛隊の武器使用基準緩和に言及したことについて、政府・与党内で8日、「具体的に承知していない」(一川保夫防衛相)と戸惑う声が上がった。前原氏が根回しをした形跡はなく、同氏の思いとは裏腹に、緩和に向けた論議はかえって難しくなったとの見方も出ている。
前原氏は訪問先のワシントンでの講演で「自衛隊のPKO活動への参加実績は、他の主要国と比較して十分な水準とは言えず、改善の余地がある」と指摘。「法的側面の課題を解決する必要がある。自衛隊とともに行動する他国軍隊を急迫不正の侵害から防衛できるようにすることだ」と述べ、武器使用基準緩和に向けた法改正の必要性を訴えた。
基準緩和は前原氏の持論。野田政権で政調会長の権限が強化されたこともあり、政府内では「前原氏は党内論議をリードしたいのだろう」(外務省筋)とみられている。
前原氏の発言に対し、一川防衛相は8日、「現地に派遣された自衛隊の意見を踏まえ、どういうルールが現場で対応しやすいのか、国民の理解が得られるのか、よく詰めた方がいい」と、緩和に慎重な考えを表明。外務省幹部も「唐突すぎる。反対派を勢いづかせかねない」と懸念を示した。
実際、菅政権下で発足した外務、防衛両省などによる「PKOの在り方に関する懇談会」は、武器使用基準の緩和を提言する方向で一時調整したものの、国内の根強い慎重論を踏まえ、今年7月の中間報告では結論を見送った経緯がある。
前原氏の発言を、自民党の石破茂政調会長は「方向性としては極めて正しい」と評価し、前原氏が民主党内の論議を主導することに期待を示した。しかし、安全保障政策は民主党の「アキレスけん」で、議論を始めれば党内を二分するのは確実。重いテーマだけに「前原氏に調整できるのか」(政府関係者)とその手腕を疑問視する声も漏れている。
●前原氏「武器使用緩和を」 PKO見直し 他国軍も防衛
朝日 2011年9月8日14時57分
民主党の前原誠司政調会長は7日、米国・ワシントンで講演し、国連平和維持活動(PKO)で自衛隊と一緒に活動する外国部隊が攻撃を受けた場合、自衛隊が反撃できるようPKO参加5原則を見直す考えを表明した。すべての武器輸出を禁じる武器輸出三原則の見直しにも言及した。
野田政権は政策決定過程で党政調の権限を拡大する方針。党の政策責任者である前原氏が見直しを表明したことで、党主導で議論が進む可能性がある。ただ、他国の部隊を守るために自衛隊が武器を使うことは、憲法9条が禁じる「海外での武力行使」や「他国の武力行使との一体化」につながりかねない。
前原氏は「3・11後の日米同盟」と題したシンポジウムで基調講演。海外における自衛隊の活動について、「米国の手の回らないパズルのピースを日本や他の友好国が埋めていく」と位置づけ、「他の主要国と比較して十分な水準とは言えず、改善の余地がある」と指摘した。
そのうえで、隊員の武器使用を制限したPKO参加5原則について、「自衛隊とともに行動する他国軍隊を急迫不正な侵害から防衛できるようにする」と述べ、見直す考えを強調。「自衛権や武力行使の一体化の問題にしてしまうのでおかしな議論になってしまう」として、集団的自衛権の行使の禁止には抵触しないとの認識を示した。
前原氏は武器輸出三原則の見直しについても積極姿勢を示し、武器の国際共同開発や生産に参加することが「日米同盟、米国以外の国々との安全保障協力の深化につながる」と語った。さらに外相当時の昨年末に閣議決定した防衛計画の大綱(防衛大綱)で三原則見直しが明記されなかったことを「残念だ」と振り返った。
また前原氏は、中国を既存の国際ルールの変更を求める「ゲームチェンジャー」と表現。「主張するルールの特異さとその価値観の違いも大きな課題。日米が新興のゲームチェンジャーと新たな地域秩序の形成に正面から取り組むのが最優先だ」と語った。(ワシントン=河口健太郎)
◇
〈PKO参加5原則〉 日本が国連平和維持活動(PKO)に参加する際の基本方針。1992年成立のPKO協力法に盛り込まれた。(1)紛争当事者間で停戦合意が成立(2)受け入れ国を含む紛争当事者による同意(3)中立的立場の厳守(4)以上の条件が満たされない状況が生じた場合に撤収が可能(5)武器使用は、要員防護のための必要最小限に限定、からなる。
〈武器輸出三原則〉 原則、すべての武器や武器技術の輸出を禁じる政府方針。最新兵器は、技術を出し合い開発費を分担できる国際共同開発・生産が世界の主流となっており、防衛省や産業界で見直しを求める声が強い。
●前原・民主政調会長:自衛隊「武器使用基準緩和を」 米シンポジウムで
毎日新聞 2011年9月8日
【ワシントン古本陽荘】民主党の前原誠司政調会長は7日、ワシントンで開かれた日米同盟に関するシンポジウムで講演し、自衛隊の国連平和維持活動(PKO)を拡充するため、他国の軍隊を防護できるよう武器使用基準を緩和すべきだとの考えを表明した。PKOなどで海外に派遣された自衛隊が一緒に活動する他国の軍隊を守るために武器を使用することは憲法で許される「必要最小限の武器使用」を超えると解釈されてきたが、前原氏は「急迫不正の侵害から防衛できるようにすべきだ」と提起した。
また、同様に集団的自衛権についても「未解決の課題」と指摘し、憲法解釈の見直しが必要との認識を示した。さらに、「武器輸出三原則を見直さなければならない」と明言した。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題については「一定の時間が必要だ」と述べ、問題の早期進展は困難との見通しを示した。「鳩山政権以降、沖縄に多大な迷惑をかけた」と率直に認めた上で、「米側から見て(物事が)全く進んでいないように見えても、進んでいることもあり得る」と米側に理解を求めた。
●自衛隊PKOの武器使用緩和を 前原氏表明、輸出三原則見直しも
2011/09/08 07:13 【共同通信】
【ワシントン共同】民主党の前原誠司政調会長は7日午後(日本時間8日午前)、米ワシントンで講演し、自衛隊の国連平和維持活動(PKO)など海外派遣で、一緒に活動する他国部隊が攻撃された際に反撃できるよう武器使用基準を緩和すべきだとの見解を表明した。兵器の輸出解禁に道を開く武器輸出三原則見直しも唱えた。
他国部隊を守る武器使用は、海外での武力行使や集団的自衛権行使を禁じた憲法に抵触しかねない。現行法では自衛隊の管理下にある他国兵らを守る必要最小限の武器使用は可能だが、前原氏はその範囲を広げる考えを示した。
●中国はゲームチェンジャー…前原氏が警戒感
毎日 2011年9月8日 10:46
アメリカを訪問している民主党・前原政調会長は現地時間7日、ワシントンで講演し、「中国は既存のルールを自らの都合がいいように変えようとする『ゲームチェンジャー』だ」と述べ、警戒感を示した。
さらに、「日米にとって最も大事なことは、ゲームチェンジャーが現れる中で新しい地域の秩序の構築に真っ向から取り組むことだ」と述べた。
また、アメリカ軍普天間基地(沖縄・宜野湾市)の解決について、「鳩山政権以来、沖縄の方々には迷惑を掛けたので、ある一定の時間が必要だ」とした上で、日米合意に基づく沖縄・名護市辺野古への移設に向けて「最大限の努力をしたい」と述べた。
●前原氏「TPP早く結論を出す」…米高官に
(2011年9月8日11時45分 読売新聞)
【ワシントン=向井ゆう子】民主党の前原政調会長は7日午後(日本時間8日未明)、国務省でバーンズ米国務副長官と会談し、日本政府が結論を先送りしている環太平洋経済連携協定(TPP)参加の是非について、「野田政権として早く結論を出す」との方針を伝えた。具体的な判断の時期については言及しなかった。
米オバマ政権は、11月にハワイで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際、TPPについて大筋合意するべく関係国との交渉を加速させている。菅前首相は当初、今年6月にTPP参加の是非を判断する考えを表明していた。
●「前原政調」スタート
東京 2011年9月7日
民主党政策調査会は六日、前原誠司政調会長就任後初の政調幹部会と役員会をそれぞれ開き、新体制を始動させた。政調会は「提言機関」から、すべての予算案、法案を政府が閣議決定する前に審査する「事前承認機関」になる。当面の課題は二〇一一年度第三次補正予算の財源だが、いきなり調整が難航することも予想される。 (金杉貴雄)
前原氏は政調幹部会で「政調会の役割が極めて大きなものになる」と強調した。
政調会は政策決定の方法について、法案などを各部門会議で議論した後、役員会に報告。政府との調整が必要な案件は政調役員と官房副長官による幹部会で協議した上で、再び役員会で意見集約し、最終的に政調会長が事前承認することを想定している。
問題は、政調会長一人に権限が集中する可能性がある点だ。前原氏は、自民党政権時代に各部会が業界の意向を代弁する「族議員」の温床になったことを踏まえ、部門会議に承認権は与えない考え。だが、早くも座長クラスからは「前原氏が自由に決めてもらっては困る」との声が出ている。
政調会は、政権交代時に廃止された党税制調査会も復活させ、会長には増税論者の重鎮・藤井裕久元財務相が就任した。藤井氏は首相と同様、復興増税に前向きで、当面の増税に慎重な前原氏と温度差がある。
政府と党を巻き込んだ議論になるのは確実で、復興財源をめぐる調整が「前原政調」の行方を占う試金石になりそうだ。
●党内対立の火種にも 前原氏見解
中国 '11/9/8
【解説】民主党の前原誠司政調会長が就任早々、自衛隊の国連平和維持活動(PKO)での武器使用基準緩和が必要との見解を打ち出した。米ワシントンで積極的な国際貢献に取り組む姿勢をアピールし、野田政権に対する米側の信頼を得たいとの思惑がにじむ。しかし民主党内には安保政策の転換に慎重な声が根強く、前原氏の持論は党内対立の火種となる可能性も否定できない。
前原氏は講演で「米国の国力低下」により「国際社会で米国の手が回らないパズルのピース」が生じていると指摘。それを日本が埋めて同盟関係を維持、強化していく必要性を力説した。
日米関係は2009年の政権交代後、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題でぎくしゃくしてきた。この経緯を踏まえ、親米派で知られる前原氏が同盟再構築へ先陣を切った形だ。
ただ前原氏が講演で「日本は内向きになるかもしれない」と認めたように、野田政権の当面の最優先課題は東日本大震災からの復興だ。そのためには党内融和が不可欠で、一枚岩になりにくい安保政策に力を入れる余裕は当面ないとみられる。ワシントン講演での見解が「言いっ放し」に終われば、米側の期待は失望に変わりかねない。(ワシントン共同)
●政策の内閣一元化を撤回=民主公約、一段と形骸化
時事。(2011/09/06-20:22)
政府・民主党は6日、政府提出法案の閣議決定に先立ち前原誠司政調会長の事前承認を得ることを柱とする「事前審査制度」の導入を決めた。挙党態勢構築の一環で、所属議員の政策決定過程への関与を深めた。鳩山政権が掲げた「内閣への政策一元化」を事実上撤回した格好で、2009年衆院選マニフェスト(政権公約)の形骸化が一段と進んだ。
事前審査制度では、政策調査会部門会議の論議を踏まえ、前原氏が法案の当否を判断。重要政策に関しては、野田佳彦首相や輿石東幹事長らを交えた協議で決定する。
民主党は09年マニフェストで「政府と与党を使い分ける二元体制から、内閣の下の政策決定に一元化へ」と明記した。自民党政権の事前審査制度が「族議員の温床になった」との批判を浴びたことが背景にあり、鳩山政権はそれまでの政策調査会を廃止し、各府省の政務三役会議を政策決定の場とした。
しかし、政務三役会議に参加できなかった議員の不満が増加。このため、菅政権では政策調査会と各部門会議を復活させたが、「政府への提言機関」との位置付けにとどめ、権限は曖昧だった。野田政権はこれをさらに押し進め、党の優位性を明確にした。
前原氏は6日の政調役員会で、「部門会議は尊重するが、事前承認を与える権限は政調会長にある」と強調した。「裏の首相だ」(中堅)との指摘が出るほど、同氏は強大な権限を持った。
菅政権下の与野党協議で、自民、公明両党は民主党に対し、政党間の合意が覆されない担保を求めていた。一方、首相は東日本大震災の復興財源確保に向けた税制改正や総合経済対策などに関する協議を野党に呼び掛けており、前原氏の権限強化には、野党の懸念を取り除き、こうした協議を円滑化する狙いもあるとみられる。
●民主党:陳情窓口、党内綱引き 政調に対抗、一元化狙う幹事長室
毎日新聞 2011年9月9日
民主党が業界団体や地方自治体からの陳情を処理する体制づくりを巡り、党内の綱引きが激化している。輿石東幹事長は、幹事長室が主導する小沢一郎元幹事長時代の仕組みに戻したい意向だ。前原誠司政調会長、仙谷由人政調会長代行らを陳情ラインから遠ざけ、権限を強めている政調のけん制を狙うが、政調側も引き続き陳情にかかわる意欲を見せている。【大場伸也】
「ゼロからスタートしよう。これから新体制でしっかり組み立てて頑張っていく」。輿石氏は8日、郵政改革3法案の早期成立を求める柘植芳文・全国郵便局長会会長と国会内で会談し、意欲を強調した。7日には全国高速道路建設協議会や全国市長会の要請も受けた。
鳩山政権で小沢元幹事長は陳情対応を幹事長室に一元化することで、陳情に絡む組織団体対策と選挙対策を一体化し、権限を強化した。しかし菅政権で岡田克也前幹事長は、陳情の対応窓口を(1)自治体は組織委員会(2)労働組合や企業などは企業団体対策委員会(3)政策や予算関連は政調--に分散させた。
輿石氏は小沢元代表側近の樋高剛副幹事長を陳情担当にあてる。城島光力幹事長代理を「政策担当」とし、政策関連の陳情は城島氏が受ける案も浮上しており、一元化は譲らない構えだ。幹事長室の党幹部は「政調なんて追い払う」と対抗心をむき出しにしている。
議員にとって陳情は集票や献金に結びつく切実な問題だ。前原氏ら政調側には樋高氏を通じて元代表が党内で影響力を拡大することへの警戒感もある。前原氏に近い党幹部は「制度を変えるような政策ものは政調が処理する」とけん制する。
政調の権限拡大が党内にきしみを生んでいる側面もある。政策の最高決定機関として政府・民主三役会議が新設されたのも、政調の権限強化を輿石氏らが懸念したためだ。輿石氏ら幹事長室側と前原氏ら政調側の駆け引きは今後も続きそうだ。
●野田政権:政策決定、政府・民主三役会議も承認 党政調の上部に新設
毎日新聞 2011年9月7日
野田佳彦首相は6日、重要政策の決定にあたり、政調会長の事前承認に加え、新設する「政府・民主三役会議」の承認も条件とすることを決めた。三役会議には民主党の輿石東幹事長や平野博文国対委員長ら他の党幹部も参加するため、政策決定への党の関与が一層強まる見通し。自民党の政策決定は政調での決定後、党幹部や有力議員約30人で作る「総務会」の了承が必要で、野田政権の政策決定はより自民党方式に近づくことになる。
野田首相が6日、首相官邸で輿石氏、前原誠司政調会長らと協議し、政策決定の枠組みを決めた。政府・民主三役会議の「三役」は幹事長、政調会長、国対委員長を指し、首相と輿石、前原両氏に加え、藤村修官房長官、平野氏、樽床伸二幹事長代行の計6人で構成。これまでの「政府・民主首脳会議」を衣替えする。
野田政権は政府提出法案を巡り、前原氏や仙谷由人政調会長代行らで作る「政調幹部会」で事前承認する手続きを整えつつある。ただ、政策調査会のメンバーだけが閣議決定に影響力を持つため、党内では「前原政調会長が『裏総理』になってしまう」(党幹部)との懸念があった。
このため、政調幹部会の上に組織を新設し、政権の政策決定に他の党幹部の関与を認めることにした。樽床氏は首相との協議後、「政調会でまとまった政策についての意見を、政府・民主三役会議であらかた決して、党役員会に報告して(正式に)決定することで合意した」と記者団に説明した。
一方、自民党からは、民主党政権の方針転換に批判が相次いでいる。自民党の町村信孝元官房長官は4日のフジテレビの番組で「政策決定に政調の了承が必要な自民党に対し、民主党は『権力の二重構造』と批判してきた。あの時の批判は一体何だったのか。本当に不可思議だ」と皮肉った。【野口武則、横田愛】
●【第35回】 政治コラムニスト・後藤謙次、新たな政局を斬る!
「野田政権は混迷の“怨念政治”を払拭できるか。 事実上の『第二次細川内閣』が担う歴史的役割とは」
2011年9月9日 ダイヤモンド・オンライン
震災復興、消費税引き上げ、円高対策など、発足当初から多くの課題に直面し、先行き不透明感が募る野田内閣。一方で、内紛を続ける民主党に党内融和をもたらす「最後の切り札」として、期待をかける声も多い。野田内閣は、政治に新しい風を吹き込み、行き詰まる日本に光明をもたらすことができるだろうか。政界に太いパイプを持ち、第一線で政局を見つめ続けてきた政治コラムニストの後藤謙次氏が、野田内閣の真の強みと隠された不安、そして混迷を極める政局を斬る。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、撮影/宇佐見利明)
代表選の「本命」は初めから野田氏
以前から「勝てる条件」を整えていた
――5候補が立候補した民主党代表選は、野田佳彦・財務相と海江田万里・経済産業相による決選投票が行なわれ、野田氏が代表に選出された。国民的人気のあった前原誠司・前外務相が決選投票に残れず、小沢グループの支持をとりつけて磐石に見えた海江田氏が敗れるなど、今回の代表選は番狂わせが多かったと言われる。この結果は、予測していた通りだったか、それとも意外だっただろうか。
ごとう・けんじ/政治コラムニスト。1949年生まれ。東京都出身。早稲田大学卒。共同通信社で政治記者として活躍し、政治部部長、編集局長などを歴任。2007年10月共同通信社退社。同年12月から09年3月まで『NEWS23』キャスター。同年4月から2010年3月まで『総力報道! THE NEWS』アンカー(いずれもTBS系)。現在、『週刊ダイヤモンド』の政治コラム「永田町ライヴ!」など連載多数。
Photo by Toshiaki Usami 私はずっと、大本命は野田氏だと思っていた。代表選は、収まるべきところに収まったという印象だ。海江田氏と前原氏は、共に立候補に当たって「言い訳」をしなければならない立場であったことが、ウィークポイントとなった。
これまで、「言い訳」から入った候補が選挙で勝てた試しはない。海江田氏は、国会で涙を流す姿が度々報道されたため、「精神力が弱い」というイメージが付いてしまったこと、辞意表明をしたにもかかわらず結局辞められなかったことがネックとなった。さらに、最後は小沢一郎・元民主党代表の勢力に頼って、これまで自分が菅内閣でやってきたことを自ら否定してしまった。
また前原氏は、3月に外国人献金問題で外務相を辞めたばかり。さらに、野田氏を応援していた立場を翻して突然立候補したことが、周囲に「背信行為」と映った。彼らがこうした自分の立場について、きちんと説明をできなかった時点で、「勝負はあった」と言える。
(途中 略)
当時、小沢氏が立ち上げた新生党の出身者のなかで、今も側近として残っているのは、山岡健司・国家公安、拉致、消費者担当相だけ。いかに小沢氏が人材を使い捨ててきたかがわかる。小沢氏に部下や家臣はおらず、いるのは手勢だけだ。
小沢氏の影響力は、今後少しづつ薄まっていくだろう。輿石氏は一見小沢氏寄りに見えるが、公平中立が求められる幹事長と言う立場で小沢氏寄りの動きをすれば、そしりを受ける。それに小沢氏も、実力者である輿石氏には無理な注文を付けづらい。今後、小沢氏が孤立していく可能性は高い。
しかも、先の政権交代時に当選した小沢グループの若手の多くは、次の総選挙で消えていく可能性が高い。そうなれば、パワーの源泉だった「数の論理」が破綻する。
今後小沢氏の影響力は薄れていく
野田内閣は歴史の転換期に誕生した
小沢氏は、今回の代表選で実権を手にし、10月から始まる裁判闘争を勝ち抜いて、次回の代表選に臨もうと狙っていたはずだ。しかし、それは叶わなかった。代表選で3敗はおろか、6月の内閣不信任案決議も含めれば4敗となる。近い将来、小沢氏は政界を去るしかないと思う。
野田内閣が、次の時代の幕開けを担う政治家たちの「頭出し」をしているなか、そろそろ「さらばトロイカ」という声が盛り上がってもいいのではなかろうか。野田首相にとって、今は古い時代のラストランナーなのか、それとも次の時代のトップランナーなのかという評価を分ける上で、重要な分岐点となる。
振り返れば、大正から昭和への橋渡しをしたのは若槻礼次郎内閣、昭和から平成への橋渡しをしたのは竹下登内閣だった。奇しくも、2人とも島根出身者である。
さらに、昭和元年から終戦時の鈴木貫太郎内閣まで、15人17代の首相が生まれている。平成に入り、竹下氏から数えて野田氏も17人目の首相となった。これらの符合は、野田内閣が歴史の大きな転換点にいることを暗示しているようにも思える。
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テレビのCMでときどき見かける「サトウの切り餅!」、「 越後製菓!」。
これが裁判で争われていて、昨日は、第一審を覆して逆転判決。
「業界2位の越後製菓」が「業界1位のサトウ食品」に勝訴した。
「もちの切り込みは特許侵害」というもの。
越後の切り餅には、焼き網に置いたとき一般的に側面となる面に、ぐるりと全周切り込。佐藤の製品は、長い方の側面2面に各2本、上下面に十字形の切り込み。 (スポニチ/共同)
おもしろそうだったので、情報を記録した。
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●控訴審逆転!!「サトウの切り込みは特許侵害」
スポニチ [ 2011年9月8日 06:00 ]
切り餅を形よく焼き上げるために入れた「切り込み」について特許権を侵害されたとして、業界2位の越後製菓が同1位の佐藤食品工業に製造差し止めや約14億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、知財高裁の飯村敏明裁判長は7日、特許侵害を認めなかった昨年11月の1審判決から一転、越後製菓側の主張を認める中間判決を言い渡した。ライバル企業のドロ沼訴訟はいびつな膨らみを帯びてきた。
知財高裁のジャッジは“正解は、越後製菓!”だった。09年4月、越後の提訴によって起きた、業界トップと2番手の訴訟。飯村裁判長は「佐藤の切り込みは越後の発明の技術的範囲に属する」と1審判決を覆した。
越後の切り餅には、焼き網に置いたとき一般的に側面となる面に、ぐるりと全周切り込みが入っている。焼けてもきれいにふくらむ技術として、02年10月に特許出願し翌03年から販売開始。特許登録は08年だった。
一方、佐藤の製品「サトウの切り餅 パリッとスリット」は、長い方の側面2面に各2本、上下面に十字形の切り込み。特許の出願は越後より9カ月後の03年7月だったが、04年11月には特許登録されていた。
特許の侵害を主張する越後側に対し、独自の技術開発とする佐藤側の言い分は真っ向から対立。越後の特許は「切り餅の底面や上面ではなく側面の切り込み」となっていることから、1審判決では「越後の特許は側面に限られる」と認定し、特許侵害には当たらないと判断された。ところが控訴審では「底面と上面に切り込みを設けるものを含まないという意味ではない」と判断された。
佐藤は「越後の特許出願前に切り込み入りの餅を販売していた」と越後の特許無効も主張したが、従業員による証言は不自然として却下された。判決後、佐藤は「現時点でも、特許権を侵害するものではないと考えている」と見解を示した。
賠償額や差し止めの内容を算定する審理は続けられ、あらためて判決が言い渡される。佐藤は「切り込みを入れない商品の販売は考えていない」としており、審理の推移によっては「サトウ」ブランドの餅が店頭から姿を消す可能性もある。
製造差し止めを求められている5商品は佐藤の年間売上高約270億円のうち実に100億円程度を占めているといい、佐藤は「最高裁への上告を視野に争っていく」と徹底抗戦の構え。両者の“遺恨”は、餅の表面の溝よりも、はるかに深くなりそうだ。
●サトウの切り餅が特許侵害…知財高裁中間判決
(2011年9月7日21時39分 読売新聞)
切り餅の側面に切り込みを入れ、焼いて膨らんだ時に表面が破れないよう工夫した特許権が侵害されたとして、包装餅で業界2位の「越後製菓」(新潟県長岡市)が、同1位の「佐藤食品工業」(新潟市)に対し「サトウの切り餅」など5商品の製造・販売差し止めや損害賠償を求めた訴訟で、知財高裁(飯村敏明裁判長)は7日、特許権侵害を認める中間判決を言い渡した。
佐藤食品工業の事実上の逆転敗訴となった。
1審・東京地裁は昨年11月、特許権侵害にあたらないとして越後製菓側の請求を棄却していた。今後、損害額や差し止めを認めるかどうかについて、同高裁でさらに審理される。
越後製菓は「切り餅の上下面ではなく側面に入れた切り込み」の特許を出願し、2008年に登録された。同社の製品には側面だけに切り込みが入っているのに対し、佐藤食品工業の製品は側面と上下面に切り込みがあり、訴訟では特許の範囲が争点となった。中間判決で飯村裁判長は「側面に切り込みが入れられていれば、上下面の切り込みの有無にかかわらず、越後製菓の特許権を侵害する」との判断を示した。
佐藤食品工業は「特許権侵害ではないと考えている。今後の損害額の審理でも争う」とのコメントを出した。
●特許権訴訟:「サトウの切り餅」の侵害認める 知財高裁
毎日新聞 2011年9月7日
切り餅を焼いた時に、形が崩れないよう工夫した「切り込み」の特許権を侵害されたとして、餅類製造販売「越後製菓」(新潟県長岡市)が、同業の「佐藤食品工業」(新潟市)に、「サトウの切り餅」など5品目の製造・販売差し止めや14億8500万円の賠償を求めた訴訟の控訴審で、知財高裁は7日、佐藤食品による特許権侵害を認める中間判決を言い渡した。
飯村敏明裁判長は「佐藤食品の切り込みは越後製菓の特許権の技術的範囲に属す」と述べた。1審・東京地裁は昨年11月、越後製菓の請求を退けており、事実上の逆転勝訴。知財高裁は今後、損害額算定や差し止めの範囲について審理する。
判決によると、越後製菓は焼いても形が崩れないよう側面に切り込みを入れた切り餅を開発。03年に販売を始め、08年に特許登録された。一方、佐藤食品は側面のほか上下の面に十字形の切り込みを入れていた。
判決は「越後製菓の特許は側面のみの切り込みに限定したものではない」と指摘。佐藤食品の切り餅について、側面の切り込みの構造や特徴も考慮し「越後製菓の特許権の範囲内」と結論づけた。従業員の証言などから「越後製菓の特許出願(02年10月)より前に販売していた」との佐藤食品の主張も「記録もなく、証言は不自然」と退けた。
飯村裁判長は同日、佐藤食品が特許無効を求めた別訴訟についても請求を退ける判決を言い渡した。【和田武士】
毎日新聞 2011年9月7日 19時49分(最終更新 9月7日 21時10分)
●「サトウの切り餅」特許侵害認める=越後製菓が実質逆転勝訴-知財高裁
時事 2011/09/07-17:58
包装餅で売り上げトップの「サトウの切り餅」に入れられた切り込みが特許権を侵害しているとして、業界2位の越後製菓(新潟県長岡市)がサトウ食品工業(新潟市)を相手に、製造差し止めと14億8500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が7日、知財高裁であった。飯村敏明裁判長は「切り込みは越後製菓の発明の技術的範囲に含まれる」として、特許権侵害を事実上認める判断をした。
特許権侵害についての中間判決で、製造差し止めの範囲や賠償額は今後審理される。一審は越後製菓側の請求を棄却していた。
越後製菓は2008年、切り餅の側面に切り込みを入れることで、焼くときれいに膨らみ、中身が噴き出さない技術で特許を取得。側面に加え、上下面に十字の切り込みを入れた商品を販売したサトウ食品工業を09年に提訴した。
飯村裁判長は、特許で保護された発明の範囲について「側面への切り込みが要件であることを記載したもので、上下面に切り込みのあるものを含まないとは理解できない」と判断した。
●サトウ食品工業の切り餅訴訟で中間判決、越後製菓の特許認める
ロイター 2011年 09月 7日
[東京 7日 ロイター] 知的財産高等裁判所は7日、切り餅の切り込みに関する特許について、越後製菓がサトウ食品工業(2923.T: 株価, ニュース, レポート)に特許を侵害されたとして損害賠償などを求めていた訴訟の控訴審で、越後製菓の特許を認める中間判決を下した。
知的財産高等裁判所は、サトウ食品の製品が発明の技術的範囲に属するとしたほか、越後製菓の特許は特許無効審判で無効にされるべきものとは認められないとした。
越後製菓は2009年に、該当製品の製造・販売の差止め請求と14億8500万円の損害賠償を求めて提訴。その後の請求棄却を不服として控訴していた。
一方、サトウ食品は一貫して、製品は特許権を侵害するものではないと主張している。
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