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てらまち・ねっと



 「『市民感覚』とは何か」という8月24日の中日新聞の社説が面白かった。
 社説は、 《裁判員裁判の女性に対する暴行事件の裁判について触れ、それまでの裁判が社会の常識に反していた》、 として始まる。 
 市民で検察の不起訴などの判断を再評価する制度に関して、検察審査会が、 《東京電力の元会長らを業務上過失致死傷罪で起訴すべきだと議決した》 こと、検察権力に対する 《市民側の明確な反論》 として例示している。

 《常に最善かどうかは歴史の判断に委ねるほかないが》、 《市民感覚とは、そういう見えない壁を時に打ち破る手段でもある》 とし、 《権力の側がおかしければ、市民は当然ながらおかしいと言わざるをえません。それが社会の常識をよく保たせるのは、歴史の教えでもあります。》と結んでいる。

 権力や支配しようとする側の論理や感覚でなく、市民の感覚が大切だということを分かりやすく示したと読んだ。

 ちょうどその社説の出た次の日、岐阜県弁護士会の関係で岐阜県に来ている司法修習生らに、「行政事件と市民 『行政訴訟を接点として』~ 住民サイドから問題解決のために行政と向き合うとき」として2時間のレクチャーをした。
 司法修習生は、来年から、志望・採用により「裁判官」「検察官」「弁護士」となる人たち。

 ★ 司法修習/ウィキペディア 司法試験の合格者は、最高裁判所に司法修習生として採用され、公務員に準じた身分で司法修習を行う。司法修習は裁判官・検察官・弁護士のいずれを志望する場合であっても、原則として同一のカリキュラムに沿って行い、修了後、裁判官であれば判事補として任官、検察官であれば検事(2級)として任官、弁護士であれば弁護士会への登録を行い、それぞれ法曹として活動するほか、研究者等それ以外の進路を選ぶ者もいる。

 この企画として呼ばれるのは4年目。先日の私のレジメのタイトルはブログに抜粋しておく。

 なお、市民活動や議員活動と行政訴訟のこと、情報公開のことなどは、今書いている本に詳しく示した。 
 情報公開や訴訟に関連する部分の目次を抜粋してみると以下。予約注文も始まっているので是非どうぞ。

● 2014年9月30日 刊行予定!   議員になりたい人、送り出したい人、市民に、現場で役立つ決定版。

『最新版 市民派議員になるため本~あなたが動けば社会が変わる』 
寺町みどり・寺町知正 共著/ 上野千鶴子 プロデュース
   376ページ(6部 50章 233節) /A5判 並製 376ページ(6部50章233節)   予価 本体 2,900円+税
現在、アマゾンで予約受付中です。

◎市民派議員になるための序文――3.11以後の地方自治のために/上野千鶴子

第4部 政策実現への道      11章56節

第38章 情報公開制度を使いたおす
 38-1 すべての情報は市民のもの
 38-7情報公開制度をきたえる
   ●資料38-7 あなたのまちの情報公開度をチェックするポイント
 38-8情報非公開処分取消訴訟のススメ       
 38-9情報非公開処分取消訴訟で勝った実例

第39章 納得できない行政処分は異議申立て、不服申立て、取消訴訟へ
 39-1「処分」の取消しをすると政策・行政運営が変わる
 39-2 「処分」に対する不服申立ての制度
 39-3 行政訴訟の基本

第40章 違法・不正は監査請求、住民訴訟へ
 40-2住民監査請求の基本
 40-3「住民監査請求書」のフォーマットを大公開
 40-4住民監査請求のじょうずな使い方
 40-5住民訴訟の基本
 40-6「怠る事実」は勝てる論点

第41章 裁判の使い方
 41-1 裁判所のシキイは高くない
 41-2訴訟をおこせば行政は変わる
 41-3行政訴訟をするのに必要なお金はいくら
 41-4本人訴訟ならわずかな費用ですむのが行政訴訟 


 今日は、議会の(所属していない)常任委員会の傍聴。

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レジメのタイトルの抜粋 ↓
●司法修習生レクチャー/岐阜県弁護士会
 行政事件と市民 「行政訴訟を接点として」/ 2014.8./寺町知正  
第1  住民サイドから問題解決のために行政と向き合うとき

第2 時代を開くのは情報公開―役所の情報公開制度を鍛える

第3 納得できない行政処分に対しては 
権利は「No」から見えてくる=その時できることの法的根拠

第4 住民監査請求(地方自治法242条)のすすめ

●2004年(平成16年) 行政事件訴訟法の改正における原告適格の拡大等
~  2014年6月6日、行政不服審査法が半世紀ぶりの抜本的改正 
●《くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワークの行政訴訟の概要》

●「市民感覚」とは何か 週のはじめに考える
    社説/中日 2014年8月24日
 時々新聞の記事にも登場する「市民感覚」とは何だろう。ただの思いつきのような正義感なのか、それとも古い壁を打ち破ってくれる知恵なのだろうか。

 「市民感覚」という言葉は、裁判員裁判の始まるころ、よく聞いたものです。司法に市民感覚を反映させようという改革でした

 小さなようで大きな成果はすぐに表れました。女性に対する暴行事件の裁判がそれまではいかに被害者に配慮なく行われ、また軽い罰で裁かれていたか。それを教えてくれたのです。

第5検察審査会の反論
 言い換えれば、それまでの裁判が社会の常識に反していたということです。言葉を強めれば、不公正。さらにいうならば、司法権力は自らを省みることなく、そのゆえに社会とずれたままだったということです。

 最近も「市民感覚」という言葉を聞きました。先月末、福島原発事故に対する東京第五検察審査会の判断の出た時でした。

 検察審査会は、検察官の独占的な起訴権限に対し、市民の側から再審査できる制度です。

 東京第五検察審査会は、東京電力の元会長ら三人に対して、十一人中八人以上の多数をもって業務上過失致死傷罪で起訴すべきだと議決した。市民側の明確な反論といえるでしょう。

 検察の不起訴判断を不服とし、審査を申し立てた側からは「市民の常識にかなった」とか「市民の正義感に合う」という声がいくつも聞かれました。

 対して法律家たちからは、危険を放置したとまではいえない、とか、会社でなく個人の責任は問いにくい、などという不起訴支持論も出ました。

 議決理由をいま一度振り返ってみよう。

社会のコモン・センス
 まず大津波を予見できたのか。

 検察は「東電は具体的には予測できなかった」と判断したが、検察審査会は「(可能性の一つとして)東電は津波の高さ一五・七メートルを試算していた」ことに着目。具体的予測は無理にせよ、危険性は認識していた、というのです。

 次に津波対策は十分だったか。

 検察は「規制当局から具体的指摘はなく、ほかの電力会社も対策はとっておらず、直ちに対策工事をしても間に合ったかはわからない」などとした。まあ、もっともにも聞こえます。

 しかし、検察審査会はこれを否定しました。電力会社は、原発の重大な危険性をチェルノブイリ事故などに照らしても十分に認識できたのであり「分電盤の移設や防水対策は時間的にも可能だった」と判断。つまりとるべき対策を怠っていたじゃないか、と。

 どちらも理屈は立ちそうです。つまり検察は判例に基づく法の安定性を重視し、検察審査会は東電首脳の無責任ぶりを問うているのですが、そこで市民感覚とは何なのか。

 市民感覚を、社会の常識、英語でコモン・センスと言い直せば、十八世紀、独立前のアメリカでベストセラーとなったトーマス・ペイン著「コモン・センス」を思い出される方もいるでしょう。

 雑誌編集者だったペインは、英国からの独立をためらっているアメリカ人に対し、英国の政治制度は世界的に見ても優れているけれど、その実態は国王をいただき、非民選の貴族院が存在し、下院も実は富裕者ばかりが選ばれているではないか、それでは不公平じゃないか、と説いたのです。

 考え方の基本は、万人の自由と平等つまり自然権の思想です。

 思想ばかりでなく、独立しても経済的自立は十分に可能だと具体的にも説きました。慎重に匿名で出版したのですが、当時のアメリカの植民地人口約三百万の中で五十万部が売れたといいます。平明な文章はペインの力に違いありませんが、広く読まれたのは人間は公平、社会は公正であらねばならないという常識を気づかせたからでしょう。

 英国の統治が当たり前すぎたので、人々はその殻を破ることがなかなかできなかったのです。

見えない壁を打ち破る
 市民感覚とは、そういう見えない壁を時に打ち破る手段でもあるでしょう。常に最善かどうかは歴史の判断に委ねるほかないが、もし市民感覚が多くの賛同を得ながら無視されるようならば、それは非民主的国家というほかないでしょう。

 長崎の平和祈念式典で市長は集団的自衛権に触れ、被爆者代表の女性は抑えきれぬ不安を述べました。それらも市民感覚、また市民の常識の表出の一つに違いありません。権力の側がおかしければ、市民は当然ながらおかしいと言わざるをえません。それが社会の常識をよく保たせるのは、歴史の教えでもあります。

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