2014年03月09日プレイリスト
「棚からひとつかみ」
1. 希望という名の光 / 山下達郎 "レイ・オブ・ホープ" "オーパス" '11
2. THERE'S A KIND OF HUSH / HERMAN'S HERMITS '67
3. SHE'S JUST MY STYLE / GARY LEWIS & THE PLAYBOYS '65
4. DOWN DON'T BOTHER ME / PAUL RODGERS "THE ROYAL SESSIONS" '13
5. DON'T GIVE UP ON ME / DAN PENN "I NEED A HOLIDAY" '13
6. FRUITY WOMAN BLUES / DOC POMUS '47
7. MAGIC TOUCH / 山下達郎 "コージー" '98('93)
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■内容の一部を抜粋
・近況
東京は身を切るような寒さ。そんな中、ウォーキングを再開したという達郎さん。「とにかく大変でございますが(笑)。小一時間歩いてるとだんだん身体が温まってきます。それがウォーキングのいいところでございますけれども」と達郎さん。いつも使ってるノートパソコンの調子が悪くなり、Windowsの再インストールをして、ようやく直ったとか。番組用に使っていて家のネットワークにアクセスしてデータなどを取得しているそうだ。
まりやさんのレコーディングは1曲一段落して、新曲の準備に入ってるという。来週から新曲の編曲とレコーディングの予定。
・棚からひとつかみ
レコーディングで慌ただしくなってきたので今週はレギュラー・プログラムの「棚からひとつかみ」。今日は新着のオールディーズもののCDと新譜を挟んでの本当の「棚つか」。
山下達郎 : さて、本日は3月の9日。明後日3月11日はあの東日本大震災からちょうど3年経ったことになります。私の番組、震災のちょうど一年後にですね、同日同時間となりましたので、その際に追悼番組をお送り致しました。未だに死者・行方不明者二万人近く、建物の全壊・半壊合わせて四十万近くという大災害でございました。今年の2月の復興庁の発表によりますと、未だに故郷から避難されてる方々二十六万七千人という発表でございます。長期化の様相を呈してまいりました。それだけの大災害ということになりますが、未だにいろいろなところご不自由な生活を送られてる方々、それからご家族がですね、離ればなれで暮らさなければならない、そうした方々たくさんいらっしゃいます。心よりお見舞い申し上げます。政治や行政の問題いろいろとあります。そういうことに対して批判するのは簡単ですけれども、それでも復興に向けて今でも努力されてる方々、同じようにたくさんいらっしゃいます。私たちもひとり一人にできることしつつ、引き続きこの国が少しでも明るくなるように努力して進んでいかなければならないと思う今日この頃でございます。今後の力強い復興を心よりお祈りしつつ、「希望という名の光」。
・希望という名の光
・THERE'S A KIND OF HUSH
突然、ワーナー・ミュージックに'60年代、ブリティッシュ・ビートのカタログが入ってきて、一気にドッと紙ジャケで再発している。世界初CD化、日本初CD化といい纏め方をしていて充実のラインナップ。編纂している人がひじょうに造詣の深い人なんだとか。
ハーマンズ・ハーミッツの「THERE'S A KIND OF HUSH」。いわゆるアイドル・グループで、日本でも人気があったが、とにかくアメリカで人気があったグループ。リード・ヴォーカルのピーター・ヌーンがアイドルでたいへん人気があった。たくさんヒット曲があるが「THERE'S A KIND OF HUSH」は1967年、全米4位、全英7位のヒット・ソング。邦題は「見つめあう恋」。ハーマンズ・ハーミッツは初期は自分たちでレコーディングしていたが、この頃になるととてもレコーディングしている暇がない。大体スタジオ・ミュージシャンの演奏で、初期に比べると演奏がよくなっている。アレンジはジョン・ポール・ジョーンズ。ギターはジミー・ペイジ。ドラマーはたぶんボビー・グラハム。曲はジェフ・スティーヴンスとレス・リード。イギリスのポップ・シーンでは大御所。
サード・アルバム『THERE'S A KIND OF HUSH』のライナーを書いてる小松崎健郎さんに素敵な文章があると達郎さんは紹介。
「声を大にして言いたいのですが、例えレコードでスタジオ・ミュージシャンに演奏の大半を任せていたからといって、それがハーマンこと、ピーター・ヌーンたちの功績を貶めることなんかには決してならないと僕は思います。なんたってまだアーティストの自我なんてあってなきに等しかった1960年代のお話です。ことハーマンズ・ハーミッツは英本国以上にアメリカで売れに売れていたわけですから、稼げるときに稼いでおけとばかりにアメリカの発売元であるMGMからは、きっと次の新曲は、次のアルバムはといった具合に矢のような催促がきたことでしょう。ツアー、テレビ出演、インタビュー、フォト・セッションに、映画の撮影。ただでさえ多忙を極めていた彼らに実際にスタジオで時間を取ってレコーディングするようなこと、それこそ時間が許さなかったのではないでしょうか。とはいえ、だからこそビッグ・ジム・サリヴァン、ジミー・ペイジ、ジョン・ポール・ジョーンズたちはハーマンたち、さらにはプロデューサーのミッキー・モストの意を汲んでプロフェッショナルに徹したのではないでしょうか。僕はそれによってハーマンたちの音楽は見事にオリジナルなものに昇華したことを信じて疑いません」
・SHE'S JUST MY STYLE
春の気配が少しだけしてきたのでゲイリー・ルイスを何かかけようと思ったと達郎さん。2007年にイギリスのBGOレコードから2in1で出たCDから選曲したらミックスが違っていたという。ゲイリー・ルイス & ザ・プレイボーイズの1965年、全米3位「SHE'S JUST MY STYLE」がリミックスで入ってたのでびっくりしたとか。うれしかったのでオンエア。この曲も演奏はスタジオ・ミュージシャン。作曲にも名を連ねているレオン・ラッセルが参加している。
・DOWN DON'T BOTHER ME
達郎さんの大好きなイギリスのシンカー、ポール・ロジャース。フリー、バッド・カンパニー、最近はクィーンのヴォーカルまでやっている。ポール・ロジャースがメンフィスのウィリー・ミッチェルのロイヤル・スタジオに行って、ハイのリズム・セクション、アル・グリーンのバックで有名なチャールズ・ホッジス、リロイ・ホッジス、レスター・スミスをバックにR&Bのアルバム『THE ROYAL SESSIONS』を作った。出たばかりのアルバムからベスト・トラックはアルバート・キングのカヴァー曲「DOWN DON'T BOTHER ME」。
・DON'T GIVE UP ON ME
ダン・ペンはサザン・ソウルを代表する作曲家、シンガー。彼の新譜が昨年出た。デモテープ集だということ。アルバム『I NEED A HOLIDAY』ではソロモン・バークの「DON'T GIVE UP ON ME」をやっている。ダン・ペンのオリジナルでソロモン・バークに勝るとも劣らない渋い感じで展開されている。
・FRUITY WOMAN BLUES
一昨年出たものを最近買ったと達郎さん。イギリスのジャスミンというオールディーズ再発の優れたレーベルから作曲家ドク・ポーマスの2枚組。その中からブルース・シンガー時代の1947年の「FRUITY WOMAN BLUES」。
・MAGIC TOUCH
リスナーからのリクエスト。1993年のシングルで1998年のアルバム『COZY』に収録された「MAGIC TOUCH」。
■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
03月16日は、レギュラープログラム「棚からひとつかみ」
http://www.tatsuro.co.jp