shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

探偵物語 Remix ~これにて一件落着~

2009-05-07 | TV, 映画, サントラ etc
 私は松田優作の大ファンである。初めて “凄ぇ~(゜o゜)” と思ったのは高校生の時に深夜テレビでやっていた「暴力教室」で、舘ひろしとのタイマン勝負がめちゃくちゃカッコ良く、インパクト大だった。続く「最も危険な遊戯」、「殺人遊戯」、「処刑遊戯」のいわゆる “遊戯三部作” でのシリアスでハードボイルドな演技にシビレまくった私は日本映画史に残る大傑作「蘇る金狼」で完全にとどめを刺され、すっかり優作信者になっていた。
 そんな頃テレビで始まったのが「松田優作の探偵物語」である。多分映画同様のハードボイルド路線だろうという私の予想は良い意味で裏切られた。明らかにアドリブ連発と思えるやり取りやコミカルな演技という一見オチャラケたストーリー展開の根底には、ただの笑いでは終わらせないぞという松田優作の役者としてのクールでシニカルな世界観が色濃く投影されており、軟派と硬派な要素が入り乱れる異色のドラマだった。彼の演じる工藤俊作、愛称 “工藤ちゃん” に憧れたミーハー人間の私は、タバコも吸わないのにライターを持ち歩いて火力を最大に設定して火傷しそうになったこともあったし、コーヒーも “工藤ちゃん” のマネをして味の違いも分からんくせに「ブルマン3、モカ2、キリマン1」のブレンドにして悦に入っていたものだ。そうそう、真っ赤なギョロ目アイマスクも買ったっけ(笑)
 このドラマでは服部刑事役の成田三樹夫も実に良い味を出していて、それも大きな魅力の一つだった。彼は「仁義なき戦い」を始めとする一連の実録ヤクザ映画シリーズでの “姑息で憎めない悪役” イメージが強かったのだが、「蘇る金狼」での経理部長役といい、服部刑事のオトボケ・キャラといい、個性派俳優としての演技には更に磨きがかかり、山西道弘演ずる相棒役の松本刑事をも含めた3人のやり取りは絶妙なトリオ漫才に聞こえた。
 それから約20年経ったある日のこと、京都の十字屋烏丸店でいつものようにCDハンティングをしていて何の気なしにふと壁に目をやると、そこに飾られていた多数の新譜CDの中でひときわ目立っていたのがサングラスにソフト帽でビシッとキメた “工藤ちゃん” のモノクロ・ジャケットだった。他の凡百のCDジャケットが霞んでしまうような圧倒的存在感を放つそのCDを慌てて手に取った私の目に飛び込んできたタイトルが「探偵物語 Remix ~これにて一件落着~」で、CDのオビには小西康陽を始めとする錚々たる顔ぶれがリミックスを担当していると書かれていた。「松田優作の探偵物語」に対して人一倍思い入れの強い私は即購入した。
 まずは何と言っても小西康陽①「Bad City –readymade 524 mix-」がめちゃくちゃカッコイイ。いきなり電話のベルの音に続いて工藤ちゃんの声で「ハイ もしもし 工藤探偵事務所ですが...」ときて激しいビートが響き渡り、ベース音が右へ左へと振り分けられ、「サンダーバーズ・アー・ゴー」みたいなノリでショーグンの“バッシティ バッ、バッシティ、ファッシティ バッ♪” へとなだれ込む。息をもつかせぬ疾走感溢れる展開が圧巻だ。小西も持てるテクニックを集中投下してサバービアなミックスに仕上げている。
 池田正典⑦「Mansfield Loves Shunsaku mix」でも工藤ちゃんのセリフがサウンド・コラージュ的に随所に散りばめられていて涙ちょちょぎれる。2分15秒の「帰ったらキスしてやるから」もファンにはたまらないし、3分33秒の「服部さ~ん!」でイスから転げ落ちる人もいるかもしれない(笑) しかし何と言っても0分59秒に挿入される「熱いぜ、ベイビー!」が最高だ。
 間奏の歌心溢れるスパニッシュ・ギター・ソロがエエ感じの須永辰雄②「Shunga t'Experience's mix」や「リッジレーサー」(←古い!)のBGMみたいなKURO@③「Goa Trance mix」、ジャジーなピアノが絶妙なグルーヴを生む奥原貢の⑧「SWINGIN LONELY 329 mix」も聴き応え十分だ。
 私のような “優作ファン” は日本中にゴマンといると思うが、工藤ちゃんのセリフを楽しみながらのハイスピード・ドライビングのBGMには最適の1枚だ。

探偵物語 OP ED


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