shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

音楽センスが光るカッコいいパクリ(?)特集

2023-07-09 | J-Rock/Pop

 音楽ファンの中にはちょっと似た曲を見つけるとまるで鬼の首でも取ったかのように “パクリだ!” と糾弾したがる了見の狭い人達がいるが、前回のビートルズ・オマージュ特集の時にも書いたように、私はこういったオマージュ(パクリ?)曲が大好きだ。もっと言うと、既存のリフやメロディーを基にして新しい音楽を創造していくのは大いにアリだと思うし、初めて聴く曲の中に自分の知っている曲のフレーズが出て来て、そこに元ネタに対する愛情やユーモアの精神が垣間見えるとめちゃくちゃ嬉しくなってしまうのだ。今日はそんな私が思わず唸ってしまった “カッコいいパクリ” の代表例として私が大好きな日本の2大グループを取り上げよう。

①Mr.Children「シーソーゲーム」
 私は90年代半ばから後半にかけての、いわゆるアッパーなロックンロールに載せて自己諧謔性に満ちた歌詞を速射砲のように乱射していた “尖った” ミスチルが大好きなのだが、そんな彼らの中でも特に好きな私的3大名曲が「名もなき詩」「Everybody Goes」、そしてこの「シーソーゲーム」だ。この曲はプロモ・ビデオからしてモロにエルヴィス・コステロ「Pump It Up」のパロディーで、これだけでも笑撃のケッ作なのだが、楽曲自体もとても良く出来ていて、一線級のキャッチーなロックンロールに仕上がっている。初めて聴いた時、全体の雰囲気が何となくコステロの「Veronica」(←コステロと桜井さんって声質が似てるよな...)と佐野元春の「アンジェリーナ」を足して2で割ったような感じやなぁと思いながら聴いていたら後半部でいきなり「Born To Run」でのクラレンス・クレモンズそっくりなサックス・ソロが出てきてイスから転げ落ちそうになったのが懐かしい。和製スプリングスティーンの異名を取る佐野元春をベースにし、その種明かしというか伏線回収とばかりにボスの代表曲のサックス・ソロをぶち込んでくるというユーモアのセンスが最高ではないか! このアレンジが誰のアイデアなのかは知らないが、とにかくすべての点においてカッコいい邦楽ロックの大傑作だ。
Mr.Children「シーソーゲーム」

Elvis Costello「Veronica」
佐野元春「アンジェリーナ」

Bruce Springsteen「Born To Run」


②B'z「BURN ~フメツノフェイス~」
 B'zというとアンチの連中はすぐにパクリを連呼するが、ハッキリ言って的外れも甚だしい。作曲を担当している松本さんはロックを中心に色んなジャンルの音楽に造詣が深く、過去の優れた音楽のエッセンスを抽出して新しい楽曲を生み出していくのが得意であり、楽曲としてのクオリティーが上がるのであればむしろそっちの方が良いと考えているふしがある。そしてその創作の過程でユーモアと音楽センスがきらりと光る仕掛けをブッ込んでくるという遊び心に溢れたところがあるのだ。ここでポイントなのは聴く人に “あっ、あの曲だ!” と気付いてもらえるように作ってあることで、コソコソとパクっているのではなく、“わかる人にはわかる...” というノリで “このフレーズをこんな風に使うと面白いでしょ?” みたいな感じが伝わってくるのだ。2008年にリリースされたこの「BURN ~フメツノフェイス~」を聴くと、“ヘビメタとフォーク・ロックと昭和歌謡を組み合わせて新しくカッコ良いロックンロール曲を作ってみたんですけど、どうですか...(^.^)” という松本さんの茶目っ気たっぷりな笑顔が目に浮かぶ。まずはモトリーの「Same Ol' Situation」そっくりなイントロに続いて曲のイメージを決定づけるリフをS&Gの「Hazy Shade Of Winter」(←雰囲気的にはバングルズによるカバー・ヴァージョンの方に近いか...)からアダプト、ヴォーカル・パートはピンク・レディー「サウスポー」を想わせるキャッチーなメロディーから一気呵成に畳み掛け、気が付けばザ・ワン・アンド・オンリーなB'z流ロックンロールになっているというのが何よりも凄い。やっぱりB'zはエエなぁ... (≧▽≦)
B'z「BURN ~フメツノフェイス~」

Motley Crue「Same Ol' Situation」

Simon & Garfunkel「Hazy Shade Of Winter」

ピンク・レディー「サウスポー」
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