
私は昔から “Alternate Version”、いわゆる “別テイク” が大好きだ。CDでもボーナス・トラックで好きな曲の別テイクが入ってたりするとレコード会社の戦略にまんまと乗せられてついつい買ってしまうし、本テイクと聴き比べをしてどっちがエエとかこれは掘り出し物やとか言って一人悦に入ったりしている。元々自分の音楽の聴き方が “広く浅く” ではなく “狭く深く” なので、100種類の凡曲を聴くぐらいなら10種類の名曲を10ヴァージョンずつ聴く方が絶対に楽しい。
私と “別テイク” との出会いは古い。初めて買ったLP「ジェム・オブ・カーペンターズ」に入っていた「プリーズ・ミスター・ポストマン」のカレンのヴォーカルがそれまで聴いてきたシングル・ヴァージョンとは違うミックスだったし、「トップ・オブ・ザ・ワールド」のイントロ・アレンジもオリジナルとは異なっていた。当時の私は超ド素人で “別テイク” の存在など知る由もなく、不思議に思いながらも “何かチョットちゃうような気がする...” ぐらいの軽い気持ちで聴いていたのだが、そんな私が本格的に “別テイク” の存在を意識したのが太田裕美の「木綿のハンカチーフ」アルバム・ヴァージョンだった。それは耳に馴染んだシングル・ヴァージョンに比べて遥かにシンプルなアレンジで、“同じ曲やのに何か全然雰囲気がちゃうなぁ...” と興味を持つようになった。このようにアルバム・ヴァージョンはシンプルに、逆にシングルは万人向けのサウンド・プロダクションを施して聴きやすく、というパターンは他にも彼女の「失恋魔術師」やキャンディーズの「春一番」など、当時のCBS系アーティストには時々見られる傾向なのだが、それに気がついたのはずっと後になってからで、リアルタイムで聴いていた頃はただ単に “大好きな曲が2パターンで聴けてラッキー(^o^)丿” と喜んでいた。
で、肝心のビートルズはというと、USキャピトル盤を筆頭に Alternate Stereo(ステレオの別ミックス)、Simulted Stereo(擬似ステレオ)、アルバム「ロックンロール・ミュージック」用のジョージ・マーティン・ミックスなど、挙げていけばキリがないぐらい色んなミックスが混在していたが、普通に聴いている分には大した違いはないように思ったし、そもそもまるでカラオケみたいな初期の “左右泣き別れミックス” も、気持ち悪い擬似ステレオの音も好きではなかったので、世に氾濫していた有象無象のステレオ・ミックスにはまったくの無関心だった。
しかし1980年代の初めにリリースされたUS盤「レアリティーズ Vol. 2」に入っていた「ペニー・レイン」USプロモ・ヴァージョンを聴いた時はシビレた。例のエンディングにトランペット音が入っているヤツだ。今でこそ「アンソロジー」なんかで簡単に聴けてしまうが、当時はめっちゃ新鮮に聞こえ、コレをきっかけにビートルズの別テイクを強烈に意識するようになった。
結局アナログ時代末期に発売されたこの8枚組アルバム “リヴァプール・ボックス” を別テイク目当てに購入(笑)、先の「ペニー・レイン」はもちろんのこと、アタマの部分でハイハットが5回打ち鳴らされる「オール・マイ・ラヴィング」とか、イントロのギター・リフが最初の1回分だけ左チャンネルのみから聞こえ2回目のリフから両チャンネルになる「デイ・トリッパー」(←コレって単なるミスなんか、それとも段階的に始まるように故意にこういうミックスにしたのか、どっちやろ?)とか、間奏が1小節分長い「アイ・アム・ザ・ウォルラス」(←たったの1小節やのに複雑な曲の構造とタイミングの問題か、受ける感じがかなり違うように思う...)とか、もう別テイク、レア・ヴァージョンの宝庫である。しかもオーディオ的にもめっちゃエエ音で、迫力満点のオリジナル盤とはまた違った、まるでキングのブルーノート盤のような整然とした感じの音作りがなされており、私としては買って大正解のボックス・セットだった。
ただ、細かいヴァージョン違いなんて純粋に音楽を楽しむ上では別にどーでもいいことなので、このようなマニアックな聴き方は決して万人にはオススメしません。寝ても覚めてもビートルズ、という方はどーぞ(笑)
The Beatles - Penny Lane - 45 RPM Promotional Copy With Trumpet Ending
私と “別テイク” との出会いは古い。初めて買ったLP「ジェム・オブ・カーペンターズ」に入っていた「プリーズ・ミスター・ポストマン」のカレンのヴォーカルがそれまで聴いてきたシングル・ヴァージョンとは違うミックスだったし、「トップ・オブ・ザ・ワールド」のイントロ・アレンジもオリジナルとは異なっていた。当時の私は超ド素人で “別テイク” の存在など知る由もなく、不思議に思いながらも “何かチョットちゃうような気がする...” ぐらいの軽い気持ちで聴いていたのだが、そんな私が本格的に “別テイク” の存在を意識したのが太田裕美の「木綿のハンカチーフ」アルバム・ヴァージョンだった。それは耳に馴染んだシングル・ヴァージョンに比べて遥かにシンプルなアレンジで、“同じ曲やのに何か全然雰囲気がちゃうなぁ...” と興味を持つようになった。このようにアルバム・ヴァージョンはシンプルに、逆にシングルは万人向けのサウンド・プロダクションを施して聴きやすく、というパターンは他にも彼女の「失恋魔術師」やキャンディーズの「春一番」など、当時のCBS系アーティストには時々見られる傾向なのだが、それに気がついたのはずっと後になってからで、リアルタイムで聴いていた頃はただ単に “大好きな曲が2パターンで聴けてラッキー(^o^)丿” と喜んでいた。
で、肝心のビートルズはというと、USキャピトル盤を筆頭に Alternate Stereo(ステレオの別ミックス)、Simulted Stereo(擬似ステレオ)、アルバム「ロックンロール・ミュージック」用のジョージ・マーティン・ミックスなど、挙げていけばキリがないぐらい色んなミックスが混在していたが、普通に聴いている分には大した違いはないように思ったし、そもそもまるでカラオケみたいな初期の “左右泣き別れミックス” も、気持ち悪い擬似ステレオの音も好きではなかったので、世に氾濫していた有象無象のステレオ・ミックスにはまったくの無関心だった。
しかし1980年代の初めにリリースされたUS盤「レアリティーズ Vol. 2」に入っていた「ペニー・レイン」USプロモ・ヴァージョンを聴いた時はシビレた。例のエンディングにトランペット音が入っているヤツだ。今でこそ「アンソロジー」なんかで簡単に聴けてしまうが、当時はめっちゃ新鮮に聞こえ、コレをきっかけにビートルズの別テイクを強烈に意識するようになった。
結局アナログ時代末期に発売されたこの8枚組アルバム “リヴァプール・ボックス” を別テイク目当てに購入(笑)、先の「ペニー・レイン」はもちろんのこと、アタマの部分でハイハットが5回打ち鳴らされる「オール・マイ・ラヴィング」とか、イントロのギター・リフが最初の1回分だけ左チャンネルのみから聞こえ2回目のリフから両チャンネルになる「デイ・トリッパー」(←コレって単なるミスなんか、それとも段階的に始まるように故意にこういうミックスにしたのか、どっちやろ?)とか、間奏が1小節分長い「アイ・アム・ザ・ウォルラス」(←たったの1小節やのに複雑な曲の構造とタイミングの問題か、受ける感じがかなり違うように思う...)とか、もう別テイク、レア・ヴァージョンの宝庫である。しかもオーディオ的にもめっちゃエエ音で、迫力満点のオリジナル盤とはまた違った、まるでキングのブルーノート盤のような整然とした感じの音作りがなされており、私としては買って大正解のボックス・セットだった。
ただ、細かいヴァージョン違いなんて純粋に音楽を楽しむ上では別にどーでもいいことなので、このようなマニアックな聴き方は決して万人にはオススメしません。寝ても覚めてもビートルズ、という方はどーぞ(笑)
The Beatles - Penny Lane - 45 RPM Promotional Copy With Trumpet Ending
Day Tripperのイントロが左chから始まるミックスは、最初につくられたミックスで米盤yerterday and today用です。
両chで始まるミックスはOldies用に再ミックスされたもので、こちらが公式ミックスとされているようです。
しかしなぜかアナログLPの赤盤ではUSミックスが使われています、CDはOldiesミックスですね
そういうことでしたか。キャピトルの仕業やったんですね。
思いっ切り納得です。
そういえば赤盤の「アイ・フィール・ファイン」にも
確かレアなミックスが使われてたような気がします。
ミックス違いって奥が深いですね。
赤盤LPのアイフィールファインは曲の頭でスタジオノイズがほんの少し入っているだけで曲そのものの違いはないです。
ミックス違いと言えばYesterday and Todayがあなどれないですよ。
Yesterday and Todayのときあまり聞いたことがないとおっしゃっていましたがぜひ聞いて見て下さい。
ステレオ盤ならDay Tripper,I'm Only Sleeping,We Can Work It Outがミックス違いです。
I'm Only Slepingはテープ逆回転の効果音が入る箇所が違います。(これはステレオ、モノそれぞれ英盤と違います)
We Can Work It Outはハーモニウムのステレオポジションが違います。
ただし日本盤Yesterday and Todayは英ミックスを使用しているので違いはないそうです。
今、さっそく取り出して聴きました。
私のカウンターフィット盤は英ミックスのようです。
やっぱりニセモノはダメですね。
こーなったらキャピトル・ボックス買うしかないか...
でもあれって確かCCCDとか、偽モノ騒動とかあったような気が...
US盤は不勉強なのでしっかり調べてみます。
キャピトル・ボックスVol1,2は国内盤はCCCDでしたが輸入盤は通常のCDです(まったく東芝は、、)しかしYesterday and Todayは入ってないです。
Vol3が出れば収録されるはずですが今のところ予定はないようです。
Day Tripper,I'm Only SleepingはリバプールBOX収録のはずです。
手持ちのCDを調べてみたら
We Can Work It Out は The World's Best、
I'm Only Sleeping は Revolver Mono Matrix 1 Superior Version という
ブートCD に入ってました。
灯台下暗しとはこのことですね。
この3曲はキャピトルがYesterday...
を出すにあたって英でアルバムに未収録の曲を先行して収録したいといい、Revolverを製作中だったGマーチンが暫定盤のI'm Only Sleepingとシングル曲2を米キャピトルに送り、最終ミックスされたものががRevolver及びOldiesに収録されたというのが真相だったと思います。
へぇ~、そういうウラがあったんですか!
勉強になりました。感謝感謝です。
事実は小説より...と言いますが、
ビートルズのエピソードは
ヘタな小説より遥かに面白いですね。