shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

松原みきのアルバム特集

2021-08-29 | J-Rock/Pop
①Pocket Park
 松原みきのデビュー・アルバムにして最高傑作と断言できるのがこの「Pocket Park」だ。世界制覇を成し遂げた名曲「真夜中のドア」が入っていることももちろん大きいが、何よりもこのアルバムが素晴らしいのはシングル曲以外にもクオリティーの高い曲が数多く入っているところで、全11曲捨て曲ナシと言っても過言ではないくらいレベルの高いアルバムになっている。私が一番好きなのは彼女お得意の哀愁舞い散る疾走系ナンバーA⑤「His Woman」で、昭和歌謡っぽいアレンジが絶妙なスパイスとして効いているし、中学校の英語の授業を思い出させるような(笑)“He, his, him, his woman~♪” のラインは何度聴いてもそのカッコ良さに痺れてしまう。尚、アルバム冒頭を飾るA①「真夜中のドア」はシングルとは別ミックスで、イントロで彼女のヴォーカルがオーバーダブされておらずコーラスのみ。後半部のリフレインも長めでトータルタイムはシングルより30秒ほど長いロング・ヴァージョンになっている。
Miki Matsubara (松原みき) - His Woman (Pocket Park / 2009 / HQ Version)


②Who Are You?
 彼女の2ndアルバム「Who Are You?」はそのジャケットやインナー・スリーヴの写真からもわかるように所属プロダクションやレコード会社が彼女をアイドル路線で売り出そうとしていたのがミエミエで、アルバムのコンセプトを「Pocket Park」から大きく変えて弾むようなポップさを前面に打ち出している。特筆すべきは当時竹内まりやの「BEGINNING」や「UNIVERSITY STREET」への参加でノリにノッていた “日本のジェフ・リン” こと杉真理の起用で、シングルにもなったA①「あいつのブラウンシューズ」(←シングル・ヴァージョンとは異なるド派手なエンディングが面白い...)、そしてこのアルバム中で私が最も気に入っているA②「気まぐれうさぎ」と、アルバムのカラーを決定づけるホンワカしたポップさを見事に表現している。後にシングル・カットされるA⑤「Jazzy Night」も彼女の魅力溢れる名曲名演だ。「Pocket Park」を日本ポップス史に名を残す大名盤とするなら、このアルバムは彼女のファンが目を細めて聴き入るタイプの、長~く愛され続ける好盤だと思う。
MIKI MATSUBARA 松原みき — KIMAGURE USAGI —RUN RABBIT RUN—『 WHO ARE YOU?・2009・HQ VERSION 』


③Cupid
 アーバンな和製AORの1st、キャッチーで親しみやすいポップスの2ndに続く彼女の3rdアルバム「Cupid」はゴリゴリのファンキーな内容で、特にロス録音のA面はブラック・コンテンポラリー色が強く、バックを務めたファンク・バンド Dr. Strut の生み出す強烈なグルーヴに驚かされるし、どんなタイプの音楽でも歌いこなしてしまう彼女のヴォーカリストとしての資質にも惚れ惚れする。白眉は何と言ってもアルバム冒頭を飾るA①「10カラット・ラヴ」で、イントロからいきなり大爆発するブラスが痛快そのもの。負けじと挑んでいく彼女のソウルフルなヴォーカルとのガチンコ勝負に圧倒されること間違いなしだ。間奏で味のあるトロンボーン・ソロを聴かせる向井滋春もさすがと言う他ない。尚、このアルバムに収録されたB②「ニートな午後3時」は洗練されたシングル・ヴァージョンとは違い、よりゴージャスでグルーヴィーな仕上がりになっている。
Miki Matsubara (松原みき) - 10カラット・ラブ / 10 Carat Love (-Cupid- / 2009 / HQ Version)


④Cool Cut
 シングル盤特集の時に書いたように、松原みきのキャリアの後期の作品は水を得た魚のように活き活きと歌うアニソンやサントラ曲を除けば私的にはイマイチで、アルバムはどれもこれも心に残るメロディーの無い薄味な楽曲と歌心を感じられないフュージョンっぽいサウンドばかり。初期のアルバムとは違って彼女のヴォーカルが全く活かされていないのは「歌」をないがしろにしてサウンド志向に走ったプロデュースの失敗以外の何物でもないだろう。そんな駄盤凡盤だらけの後期だが(←あくまでも個人の感想です...)、1枚だけ突然変異的に初期のポップさが復活した貴重なアルバムがある。それが7作目の「Cool Cut」で、アイドル・ポップスみたいなA①「真夏のゲーム」、シングル・カットされたA②「Knock, Knock, My Heart」、クールでポップなA③「チャイナタウンの殺人鬼」(←それにしても凄いタイトルやな...)、軽快そのもののB①「ウイークエンドは軽い病気」、雰囲気抜群のB②「Caribbean Night」など、聴いてて思わず口ずさみたくなるようなメロディーに溢れているのだ。これはおそらくプロデュースを担当した森園勝敏の力によるところが大きいと思う。とにかく後期の松原みきはアニソンとこの「Cool Cut」で決まり!なのだ。
Miki Matsubara (松原みき) - チャイナタウンの殺人鬼
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